この200年間の金融史を見るには、良い本だと思います。しかし、残念ながら、著者の倉都さんには、経済史の発達理論がないため、封建時代の商人資本も、資本主義や、金融資本主義のすすんだ金融資本も、平板的に述べているため、歴史がないというか、質的な発展段階の差を感じられない叙述となっています。もちろんマルクスを勉強してない人には、1000年前の商業資本も、500年前の商業資本も現在と同じようにしかとらえられないということでしょう。
また、金融技術の進展を、金儲けのため、ということを無視して、金融技術の進展が、国民経済や、世界経済の進歩にどう絡むかという観点はないと思います。様するに、リスク回避の技術は進んだが、危機はいつまでたっても終わらないということで終わっています。
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金融史がわかれば世界がわかる: 「金融力」とは何か (ちくま新書 516) 新書 – 2005/1/1
倉都 康行
(著)
- ISBN-104480062165
- ISBN-13978-4480062161
- 出版社筑摩書房
- 発売日2005/1/1
- 言語日本語
- 本の長さ238ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2005/1/1)
- 発売日 : 2005/1/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 238ページ
- ISBN-10 : 4480062165
- ISBN-13 : 978-4480062161
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,242,989位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,242位一般・投資読み物 (本)
- - 2,640位ちくま新書
- - 111,894位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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鳥取県倉吉市出身 1955年生まれ 東京大学経済学部卒業
東京銀行で東京5年、ロンドン10年、香港2年勤務、バンカース・トラスト、チェースマンハッタン・バンクを経て2001年に金融シンクタンクのRPテック(株)設立、代表取締役就任。
NHKマネーワールド・コメンテーター、中央大学大学院客員教授、金融庁意見申立委員、預金保険機構買取審査委員など歴任。
現在、産業ファンド投資法人執行役員、マネタリー・アフェアーズ誌編集人、立教大学専任講師などを兼務。金融学会会員。
有料メルマガ「デイリー・マネタリー・アフェアーズ」、週刊「世界潮流アップデート」などの執筆のほか、論壇誌や雑誌、学会誌などへの寄稿も多数。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年12月21日に日本でレビュー済み
国際金融の歴史が本書でつづられているので、現代までの国際金融史を易しく理解するなら買って損はないでしょう。最近の世界金融不安はふれていないのでそれを知りたいなら最新の本を買うべきだと思います。
2013年7月31日に日本でレビュー済み
著者は、東京銀行、バンカーストラスト、チェース・マンハッタンなどを渡り歩いた人である。ポンドからUSドルへの基軸通貨移行の経緯、変動相場や金融技術についての解説を通して「金融力」というキーワードを定義していく、という内容。多少、読みにくい。
曰く・・・
インドの綿製品が人気となり、インド製に負けない綿製品を製造する試みがなされたことが産業革命の呼び水になったといわれる。やがてイギリスはアメリカから綿花を輸入し、アフリカへ綿製品を輸出し、アフリカからアメリカに奴隷が輸出される、という三角貿易が成立。インドの綿工業は没落。主要国貿易の20%が綿製品などの繊維製品で、その中でもイギリスのシェアは半分近いため、ポンド建て取引が多かった。これがポンドが基軸通貨になった理由。ドイツとスペインのような第3国同士の輸出入でもイギリスの銀行が決済をする。しかし、第一次世界大戦でイギリスは疲弊し、工業力の優位性が薄れていく。イギリスのマネーは対外投資に向かい、国内は投資不足が加速。イギリスは金準備が減少し、金本位制を離脱し、ポンドは急落。市場は、ドルを買ってアメリカの金と交換するようになる。イギリスでは伝統産業は衰退したが、保険などの新産業は勝ち組であり、新産業に携わる労働者にとってはそれほど危機感もなかった。
金を通貨制度の中心に据えると、国は金の保有高を高めようとする。金が減少すると自国通貨金利を引き上げて海外資本を流入させようとするが国内産業は犠牲にされる。金本位制とは、国内の失業や物価の安定よりも金準備を優先する傾向にある。金本位制の時代は国際経済が安定していたが、金の威光によるものかもしれないし、金によって経済活動が犠牲にされていたのかもしれない。
イギリスが衰退しても、すぐにドルが基軸通貨になったわけではない。イギリスはインドやオーストラリアなどの英連邦でポンド決済をしていたのでポンドもしぶとかった。しかし、米国の工業力をバックとした輸出増大によりドルが浸透していく。
1944年、イギリスのケインズとアメリカのハリー・ホワイトは国際経済体制について議論する。ケインズは世界中央銀行を提案し、ホワイトは各国が資金を出しあって基金をつくることを提案。結局、ホワイト寄りで決着し、IMF協定成立。
ポンドからドルへの覇権移行は、貿易取引が舞台。1970年代までの国際金融の大半は輸出入決済だった。貿易決済は期間が短い金融であるため、基軸通貨にはその通貨を扱う銀行のネットワークや貿易規模、短期金融市場の存在などがもとめられた。徐々に、有価証券取引(資本取引)が増大し、金融が長期化してくる。メインユーザーも輸出入業者から機関投資家に移る。レーガンはアメリカの財政赤字をファイナンスするために強いドルを標榜したが、しだいにドル安になってくる。それでも、ドル建て資本市場のメニューの豊富さやヘッジの豊富さなどの優位性により、対米投資は継続されている。
過去においては経済力と金融力が一致していたが(貿易取引中心の金融力だったので)、資本取引時代になると経済力だけでは金融力を維持できない。
みたいな話。
曰く・・・
インドの綿製品が人気となり、インド製に負けない綿製品を製造する試みがなされたことが産業革命の呼び水になったといわれる。やがてイギリスはアメリカから綿花を輸入し、アフリカへ綿製品を輸出し、アフリカからアメリカに奴隷が輸出される、という三角貿易が成立。インドの綿工業は没落。主要国貿易の20%が綿製品などの繊維製品で、その中でもイギリスのシェアは半分近いため、ポンド建て取引が多かった。これがポンドが基軸通貨になった理由。ドイツとスペインのような第3国同士の輸出入でもイギリスの銀行が決済をする。しかし、第一次世界大戦でイギリスは疲弊し、工業力の優位性が薄れていく。イギリスのマネーは対外投資に向かい、国内は投資不足が加速。イギリスは金準備が減少し、金本位制を離脱し、ポンドは急落。市場は、ドルを買ってアメリカの金と交換するようになる。イギリスでは伝統産業は衰退したが、保険などの新産業は勝ち組であり、新産業に携わる労働者にとってはそれほど危機感もなかった。
金を通貨制度の中心に据えると、国は金の保有高を高めようとする。金が減少すると自国通貨金利を引き上げて海外資本を流入させようとするが国内産業は犠牲にされる。金本位制とは、国内の失業や物価の安定よりも金準備を優先する傾向にある。金本位制の時代は国際経済が安定していたが、金の威光によるものかもしれないし、金によって経済活動が犠牲にされていたのかもしれない。
イギリスが衰退しても、すぐにドルが基軸通貨になったわけではない。イギリスはインドやオーストラリアなどの英連邦でポンド決済をしていたのでポンドもしぶとかった。しかし、米国の工業力をバックとした輸出増大によりドルが浸透していく。
1944年、イギリスのケインズとアメリカのハリー・ホワイトは国際経済体制について議論する。ケインズは世界中央銀行を提案し、ホワイトは各国が資金を出しあって基金をつくることを提案。結局、ホワイト寄りで決着し、IMF協定成立。
ポンドからドルへの覇権移行は、貿易取引が舞台。1970年代までの国際金融の大半は輸出入決済だった。貿易決済は期間が短い金融であるため、基軸通貨にはその通貨を扱う銀行のネットワークや貿易規模、短期金融市場の存在などがもとめられた。徐々に、有価証券取引(資本取引)が増大し、金融が長期化してくる。メインユーザーも輸出入業者から機関投資家に移る。レーガンはアメリカの財政赤字をファイナンスするために強いドルを標榜したが、しだいにドル安になってくる。それでも、ドル建て資本市場のメニューの豊富さやヘッジの豊富さなどの優位性により、対米投資は継続されている。
過去においては経済力と金融力が一致していたが(貿易取引中心の金融力だったので)、資本取引時代になると経済力だけでは金融力を維持できない。
みたいな話。
2015年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
つかみどころがなく、流し読みしてしまいました。 結論から書いてもらいたい。
2009年3月29日に日本でレビュー済み
19世紀から21世紀まで、世界の金融覇権史を追う一冊。経済力や政治力だけでは定義されない、金融市場の整備度や金融機関の経営力を含む「金融力」という概念を定義し、「金融力」のある、つまり魅力溢れる市場にこそ世界の資金が集まり、金融覇権が形成される、というのが筆者の主張。
そして何かと話題の金融工学にも筆者は肯定的。サブプライム問題前に上梓という事情もあろうが、金融工学のうち半分は今も健在であり、いたずらな悲観論に走らない姿勢も必要だ。ただ残り半分の金融工学について現在はどう評価するのか、筆者の近著を見てみたいところ。
日本の金融力のポテンシャルは高く、市場規模も大きい。ただし金融機関も政治も市場参加者も基本的には内向き。かつて世界的な金融機関に伍する収益力を、と唱えた邦銀があった。金融機関の貪欲さが金融覇権の必須条件だとすれば、そのような覇権的経営とは一線を画すのも、金融機関として認められうる道かもしれない。
そして何かと話題の金融工学にも筆者は肯定的。サブプライム問題前に上梓という事情もあろうが、金融工学のうち半分は今も健在であり、いたずらな悲観論に走らない姿勢も必要だ。ただ残り半分の金融工学について現在はどう評価するのか、筆者の近著を見てみたいところ。
日本の金融力のポテンシャルは高く、市場規模も大きい。ただし金融機関も政治も市場参加者も基本的には内向き。かつて世界的な金融機関に伍する収益力を、と唱えた邦銀があった。金融機関の貪欲さが金融覇権の必須条件だとすれば、そのような覇権的経営とは一線を画すのも、金融機関として認められうる道かもしれない。
2005年2月7日に日本でレビュー済み
金融の近現代史を、金本位制からポンド中心、そしてドルの覇権からさらにユーロとドルの二軸へと、基軸通貨を視座の一つしつつ、解きほぐす。デリバティブなどの金融技術など、経済力とは異なる「金融力」というコンセプトをつかって世界の金融市場の成り立ちを考察している。類書のない金融史の書として読んでもよく、また、日本の金融市場のこれからを考える一つの手がかりともなる。
2005年5月5日に日本でレビュー済み
最近の国際金融の移り変わりと、その中で生まれた金融技術の発展について、
コンパクトにまとまった良書です。
イギリスのポンド、アメリカのドル。固定相場制から変動相場制。
そして、そうした動きの中で生まれてきたスワップやオプションに代表される
金融技術。本書ではそうした近現代の金融取引の流れが実に要領よくまとまっています。
本書の特徴はやはり、筆者の持つ、実務家という視点であろう。
デリバティブズが為替変動性に伴って生じた価格変動リスクに対応するという、
市場の要請によって生まれたという件や、欧州金融再編の解説など、
今の金融を理解する上で必要不可欠な知識がわかりやすく説明されています。
欲を言えば、今後の国際金融の展望についての記述がもっとあれば良かった。
実務を経験した者が占う、ドルやユーロ、円、元の行方。
と言われただけで興味が沸いてきます。
ただ、それを差し引いても、中身の充実した、良質な一冊であることは間違いないでしょう。
これから金融を学びたいという方や、金融を知る取っ掛かりの本を探している方にお勧めの一冊です。
コンパクトにまとまった良書です。
イギリスのポンド、アメリカのドル。固定相場制から変動相場制。
そして、そうした動きの中で生まれてきたスワップやオプションに代表される
金融技術。本書ではそうした近現代の金融取引の流れが実に要領よくまとまっています。
本書の特徴はやはり、筆者の持つ、実務家という視点であろう。
デリバティブズが為替変動性に伴って生じた価格変動リスクに対応するという、
市場の要請によって生まれたという件や、欧州金融再編の解説など、
今の金融を理解する上で必要不可欠な知識がわかりやすく説明されています。
欲を言えば、今後の国際金融の展望についての記述がもっとあれば良かった。
実務を経験した者が占う、ドルやユーロ、円、元の行方。
と言われただけで興味が沸いてきます。
ただ、それを差し引いても、中身の充実した、良質な一冊であることは間違いないでしょう。
これから金融を学びたいという方や、金融を知る取っ掛かりの本を探している方にお勧めの一冊です。
2008年1月20日に日本でレビュー済み
正直、新書なので、コンパクトな分、専門的な話や個別の企業の話にまで言及されていません。個別論の話を期待する方には物足りないかもしれません。ただし、金融のダイナミックな動きがコンパクトにまとまっており、理解しやすいのは良い点だと思います。金融は門外漢の私が本書を読んでためになったと思ったのは、以下の点です。第一に、金融力≠経済力ではないこと。そのため、80年代から90年代にかけて日本やドイツの経済力がいかに強まっても金融力がなぜ期待されていたほど伸びなかったかがわかります。(3章)第二に日本のバブルからの失われた10年でなぜ、あれほど不良債権問題で苦しんだのかということがわかりました。(4章)本書は、2005.1に発行されているが、サブプライム問題が発生している現在においてもその歴史的文脈を理解するうえでも示唆に富むように思われます。