私は戦争は嫌いだ。なべて反対である。かといって何をするわけではない。戦闘行為に参加したことはないから、無垢の高みに安住している。そういう自分の立ち位置を振り返らされた。考えることの多い本だった。
また、私は偽善者である。利己的であることを否まない。他者に自らに奉仕せよと命じることなく、かつ、視野狭窄で中途半端な私利私欲で墓穴を掘りたくない。私の大事な人たちが幸せでないとき、私もまた幸せを満喫することはできない。私のために、私は他者の幸福を願い、平和を祈り、環境を守り、健康を恃む。そういう回路において、私はとことん利己的な偽善者でありたい。
戦争は、今もどこかで行われている。たとえば、グローバルな経済に巻き込まれている自分も無関係ではありえない。戦争を知らないと言い切るのは、自らの鈍感さを露呈しているだけなのかもしれない。
殺しあう苛烈さに思いを馳せることは、正直なところ、私には難しい。しかし、大事な人を失う悲しみや、自らが死ぬかもしれない恐怖であれば、私は思うことはできるだろう。
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戦争の記憶をさかのぼる (ちくま新書(552)) 新書 – 2005/8/8
坪井 秀人
(著)
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2005/8/8
- ISBN-104480062521
- ISBN-13978-4480062529
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2005/8/8)
- 発売日 : 2005/8/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 240ページ
- ISBN-10 : 4480062521
- ISBN-13 : 978-4480062529
- Amazon 売れ筋ランキング: - 738,508位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2007年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2005年9月21日に日本でレビュー済み
戦争の記憶を「忘れずに記憶すべき」だとする教条主義的な規範論からいったん離れ、人間は本来「忘れる動物」である、と確認することから本書は始まる。
その上で、戦後日本におけるさまざまな言説の分析を通して、忘却と隣り合わせの記憶という営みを浮かび上がらせていく。決して明晰な叙述ではなく、ズバッと答えが出るテーマでもないから、そうした点からすれば読みにくい本かもしれない。
ともあれ、人は忘れていく存在であると同時に忘れられていく存在でもあるのだ。「そんなことは、知らないよ」と言い放つ人間は、そう言い放たれる人間にいつ転化するか知れたものではない。そこまでの想像力を、我々は持っているだろうか。
筆者の持つ「危機感」はそのあたりにあるように思われる。
その上で、戦後日本におけるさまざまな言説の分析を通して、忘却と隣り合わせの記憶という営みを浮かび上がらせていく。決して明晰な叙述ではなく、ズバッと答えが出るテーマでもないから、そうした点からすれば読みにくい本かもしれない。
ともあれ、人は忘れていく存在であると同時に忘れられていく存在でもあるのだ。「そんなことは、知らないよ」と言い放つ人間は、そう言い放たれる人間にいつ転化するか知れたものではない。そこまでの想像力を、我々は持っているだろうか。
筆者の持つ「危機感」はそのあたりにあるように思われる。