著者は観戦免疫学・ワクチン学の専門家。国立感染症研究所で、新型/鳥インフルエンザを研究している。
本書は、ハンセン病、黒死病、梅毒、結核、新型インフルエンザを取り上げ、古代〜現代までの歴史を語ったもの。
たとえば黒死病なら、その症状、死者数、病人の苦しみ、ちゃんとした治療法などなかったこと、屍体であふれかえる町、人々の悲惨な生活などが活写される。ただ、その描き方はあまりに定型的であり、かつ時代遅れ。50年前に書かれた本かと疑うレベルだ。病気の歴史について知りたいなら、ほかの本に当たるべきだろう。
ただ、専門なのであろうインフルエンザについては最新の知識が盛り込まれ、非常に詳しく書かれている。発生のシステム、予防・対策、日本の体制の遅れなどが、かなり厳しい口調で書かれている。しかし、内容に繰り返しが多いなど、とても読みにくい。
また、文章に難あり。日本語としておかしい。編集者がきちんと仕事をしなかったのか?
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感染症は世界史を動かす (ちくま新書 580) 新書 – 2006/2/1
岡田 晴恵
(著)
- ISBN-104480062866
- ISBN-13978-4480062864
- 出版社筑摩書房
- 発売日2006/2/1
- 言語日本語
- 本の長さ286ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 286ページ
- ISBN-10 : 4480062866
- ISBN-13 : 978-4480062864
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,024,578位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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共立薬科大学薬学部大学院修士課程修了。順天堂大学医学部大学院博士課程中退。ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所留学。国立感染症研究所ウ イルス第三部研究員を経て、現在、21世紀政策研究所シニア・アソシエイト。医学博士。専門は感染免疫学、ワクチン学、ウイルス学(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『病気の魔女と薬の魔女 ローズと魔法の地図』(ISBN-10:405203354X)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
感染症は人類が誕生して以来ずっと闘ってきたものである。
ときには小さく、ときには大きな感染を引き起こしながら、ものによっては克服され、ものによっては今も闘いは続いている。
本書ではそのような感染症と人間の闘いを扱っている。
ハンセン氏病・ペスト・梅毒・結核・インフルエンザ。
時代と感染症は変わってもその流行に人間の営為が深く結び付いていることには驚かされる。そもそも始終大流行していては宿主が死に絶えてしまうから、適度な共生関係が保たれているはずである。そのバランスを崩すのは環境の変化。人間の活動の範囲が広がることにより、流行が引き起こされるということが歴史から学ぶことができる。
そして医学のいまだ進歩していない時代においては現代以上に感染症は恐怖以外の何物でもあり得ない。今から思えばまったく効果のないような対策を講じながら必死に闘ってきたことがわかる。そのような多くの対策の中から現代に通じる公衆衛生が作り上げられていったことも。
著者の専門が歴史ではなく、感染症対策ということもあってか、医学的な説明が詳しい。それも専門的すぎず、一般の読者にも理解できるように平易に述べられているのはよいことであろう。
ただ、専門性が悪い方向に出ている部分もある。最後の章で新型インフルエンザの危機管理に多くのページが割かれているることである。どうも題名の「世界史」からみると勇み足とも言おうか、将来的には世界史的な出来事になるのかもしれないが、現時点では歴史の範疇には入れがたいというのが実際の印象である。また、インフルエンザウイルスの変異について詳細に述べているのも歴史にかんする叙述とは多少相性が悪い気もする。ただ、スペインかぜがなぜあそこまではやったのか、インフルエンザは将来の世界史を動かす感染症になりる可能性についての示唆にはなる。著者の気持ちは分からなくもないが、題名から見ると少し肩に力を入れすぎたかなと思った。
ときには小さく、ときには大きな感染を引き起こしながら、ものによっては克服され、ものによっては今も闘いは続いている。
本書ではそのような感染症と人間の闘いを扱っている。
ハンセン氏病・ペスト・梅毒・結核・インフルエンザ。
時代と感染症は変わってもその流行に人間の営為が深く結び付いていることには驚かされる。そもそも始終大流行していては宿主が死に絶えてしまうから、適度な共生関係が保たれているはずである。そのバランスを崩すのは環境の変化。人間の活動の範囲が広がることにより、流行が引き起こされるということが歴史から学ぶことができる。
そして医学のいまだ進歩していない時代においては現代以上に感染症は恐怖以外の何物でもあり得ない。今から思えばまったく効果のないような対策を講じながら必死に闘ってきたことがわかる。そのような多くの対策の中から現代に通じる公衆衛生が作り上げられていったことも。
著者の専門が歴史ではなく、感染症対策ということもあってか、医学的な説明が詳しい。それも専門的すぎず、一般の読者にも理解できるように平易に述べられているのはよいことであろう。
ただ、専門性が悪い方向に出ている部分もある。最後の章で新型インフルエンザの危機管理に多くのページが割かれているることである。どうも題名の「世界史」からみると勇み足とも言おうか、将来的には世界史的な出来事になるのかもしれないが、現時点では歴史の範疇には入れがたいというのが実際の印象である。また、インフルエンザウイルスの変異について詳細に述べているのも歴史にかんする叙述とは多少相性が悪い気もする。ただ、スペインかぜがなぜあそこまではやったのか、インフルエンザは将来の世界史を動かす感染症になりる可能性についての示唆にはなる。著者の気持ちは分からなくもないが、題名から見ると少し肩に力を入れすぎたかなと思った。
2012年9月17日に日本でレビュー済み
スペイン風邪をスペイン・インフルエンザとよぶようにしたほうが良いのではないか。
こんなに沢山の人間が死んだなんて知っている人は少ないのではないか。
この本をきっかけに各感染症ごとに詳しく紹介した本を読まれる事をお勧めします。
こんなに沢山の人間が死んだなんて知っている人は少ないのではないか。
この本をきっかけに各感染症ごとに詳しく紹介した本を読まれる事をお勧めします。
2015年9月13日に日本でレビュー済み
死亡率の高い感染症のまん延、もしくはパンデミックが歴史の流れを大きく変える原動力となるという視点は興味深く、本書を手に取りました。しかしながら期待が大きすぎたのかもしれませんが、感じ取れるものが少なく読了にはいたりませんでした。出来事を並べただけの構成、同じ主張の繰り返しが原因だと思います。著者は薬学の出身であるのに、感染症の治療や克服に関する記述もあまり見受けられませんでした。
2020年8月23日に日本でレビュー済み
なぜか家の書棚にあった2006年発行の書
コロナ以前に購入していたらしい
家人はこの人を知っていたとは思えず、タイトルから選んだのか
読み始めると、ワイドショーで熱っぽく語る教授の姿とはかなり印象が異なる
ヨーロッパ中世
黒死病、ペスト、
感染症は多くの人類を食い付くし、町村を滅ぼし、
戦争の行方を変え、国家を傾けてきた
汚染されつくした街は死体と汚染物で悪臭が漂い
誤った指摘で差別され、血祭にあげられたひとたち
お城、王・女王、貴族の優雅なイメージは打ち消され
苦しみ悶え息絶えて行った著名人の末路が記される
彼女の語りは翻訳小説のように滑らかで、一般素人向けに徹している
‘少女’の部分を残して大人になったような妙なロマンチックさが
却って読みやすく、かつ衝撃も大きい
つい先日インタビュー番組で、著作が紹介されていて驚いたのだが
研究書ばかりでなく、小説、絵本、かるたまで出版されている
なるほど、この文章力、その自信は合点がゆく
最終章、21世紀の感染症と題して
新型インフルエンザの脅威、警鐘を呼びかけるブロック
一転して研究実績から溢れ出る
政府のフットワークのぬるさ、意思決定のつまずきに対する
警鐘、反論、反省と攻撃
現在の日々の発言の根幹がここにあるのだろう
理解はできるが、前半からの落差には途惑いが感じえない
マスコミからは悪評が勝り気の毒ですらあるが
生番組の限られた時間、発言範囲のなかで言い足りないことは
もっと著してほしいものだが
まだまだその余裕を持つことは許されないのだろう
わたしはこの書に彼女の才能を充分見つけられた
コロナ以前に購入していたらしい
家人はこの人を知っていたとは思えず、タイトルから選んだのか
読み始めると、ワイドショーで熱っぽく語る教授の姿とはかなり印象が異なる
ヨーロッパ中世
黒死病、ペスト、
感染症は多くの人類を食い付くし、町村を滅ぼし、
戦争の行方を変え、国家を傾けてきた
汚染されつくした街は死体と汚染物で悪臭が漂い
誤った指摘で差別され、血祭にあげられたひとたち
お城、王・女王、貴族の優雅なイメージは打ち消され
苦しみ悶え息絶えて行った著名人の末路が記される
彼女の語りは翻訳小説のように滑らかで、一般素人向けに徹している
‘少女’の部分を残して大人になったような妙なロマンチックさが
却って読みやすく、かつ衝撃も大きい
つい先日インタビュー番組で、著作が紹介されていて驚いたのだが
研究書ばかりでなく、小説、絵本、かるたまで出版されている
なるほど、この文章力、その自信は合点がゆく
最終章、21世紀の感染症と題して
新型インフルエンザの脅威、警鐘を呼びかけるブロック
一転して研究実績から溢れ出る
政府のフットワークのぬるさ、意思決定のつまずきに対する
警鐘、反論、反省と攻撃
現在の日々の発言の根幹がここにあるのだろう
理解はできるが、前半からの落差には途惑いが感じえない
マスコミからは悪評が勝り気の毒ですらあるが
生番組の限られた時間、発言範囲のなかで言い足りないことは
もっと著してほしいものだが
まだまだその余裕を持つことは許されないのだろう
わたしはこの書に彼女の才能を充分見つけられた
2007年9月23日に日本でレビュー済み
著者は薬学部出身の感染免疫学者。
ちょっとした、「トリビアの泉」的知識を得るのに良いかと思って買ったのだが、とんでもなく迫力のある本である。
迫力の理由の1つは、感染症と歴史の関係付けの研究への思い入れからくる綿密な調査と思いを込めた記述によるのだろう。
ハンセン病、ペスト、梅毒、結核などについて流行の状況、病理、当時の治療法、人々の対応、社会への影響などが分かりやすく記録されている。死に直面した人たちの文化史としても面白い。これを読んで、ヨーロッパに多く残されている「死のダンス」の絵が生まれたり理由がよく分かった。
理由のもうひとつは、現在も大流行の可能性がある、新型ウイルス対策の必要性への真剣な思いが伝わってくることによるのだろう。
H5N1型ウイルスのもたらしうる被害の大きさは知る人ぞ知るの情報なのだと思うが、この本を読んでそのリスクの大きさが実感できた。
私は情報セキュリティの研究者でコンピュータウイルスに対する疫学的研究なども実施しているが、新型インフルエンザにより全世界で最大3億6千万人の死者が出るかもしれないという記述を見ると、私たちが扱っている対象は非常に責任が軽いという気にさえなってくる。
ペストの流行時に、井戸に毒を投げ入れたといううわさからユダヤ人を虐殺した話や、梅毒をナポリではフランス病と呼び、フランスではナポリ病と読んだ話など興味深い雑学的知識もいっぱい記載されている。
ちょっとした、「トリビアの泉」的知識を得るのに良いかと思って買ったのだが、とんでもなく迫力のある本である。
迫力の理由の1つは、感染症と歴史の関係付けの研究への思い入れからくる綿密な調査と思いを込めた記述によるのだろう。
ハンセン病、ペスト、梅毒、結核などについて流行の状況、病理、当時の治療法、人々の対応、社会への影響などが分かりやすく記録されている。死に直面した人たちの文化史としても面白い。これを読んで、ヨーロッパに多く残されている「死のダンス」の絵が生まれたり理由がよく分かった。
理由のもうひとつは、現在も大流行の可能性がある、新型ウイルス対策の必要性への真剣な思いが伝わってくることによるのだろう。
H5N1型ウイルスのもたらしうる被害の大きさは知る人ぞ知るの情報なのだと思うが、この本を読んでそのリスクの大きさが実感できた。
私は情報セキュリティの研究者でコンピュータウイルスに対する疫学的研究なども実施しているが、新型インフルエンザにより全世界で最大3億6千万人の死者が出るかもしれないという記述を見ると、私たちが扱っている対象は非常に責任が軽いという気にさえなってくる。
ペストの流行時に、井戸に毒を投げ入れたといううわさからユダヤ人を虐殺した話や、梅毒をナポリではフランス病と呼び、フランスではナポリ病と読んだ話など興味深い雑学的知識もいっぱい記載されている。
2006年7月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
病気が人間の歴史を変えてきたと言うことを知ったのは、栗本慎一郎を結構読んでいた今から20年ほど前、彼の著書によってである。彼の主張にいくらかSF的な部分があるのに比べ、本書は著者が国立感染症研究所の研究員であるためか、空想的な推測を廃している。それで、産業革命が劣悪な労働条件を生み出し、それによって結核が蔓延すると公衆衛生が求められ、そのために資本家中心の社会通念が壊される、と言った人と病気が相互に影響しあってきた様を明らかにしている。『感染症は世界史を動かす』と言うタイトルに誇張はない。
2009年4月30日に日本でレビュー済み
岡田晴惠さんの著書を何冊か読みましたが、どの本でも新型インフルエンザの脅威を真剣に心配している事が伝わりました。そして、作者の予想が的中し、現在世界が新型のインフルエンザにおののいています。やはり、専門家の指摘を国も真剣に受け止めて対策をきちんとしていなかった点が悔やまれます。
被害者は、年齢の若い子どもたちです。検疫官が足りない,という舛添厚生大臣はこの岡田さんの本を読んでいたのでしょうか? 専門家である岡田さんの真剣な訴えに真摯な受け止め方をしない国の姿勢に憤りを感じますね。
ぜひ、この本を読まれる事を勧めます。
被害者は、年齢の若い子どもたちです。検疫官が足りない,という舛添厚生大臣はこの岡田さんの本を読んでいたのでしょうか? 専門家である岡田さんの真剣な訴えに真摯な受け止め方をしない国の姿勢に憤りを感じますね。
ぜひ、この本を読まれる事を勧めます。