先日、友人ふたりがネットカフェ難民について、
「ネットカフェ難民ってなに!?」
「まともに働いて月10万もいかないなんて考えられない。」
などと嘲笑的に話しているのを聞いた。
生田さんのお供をさせてもらい、
釜ヶ崎の夜回りに参加したこともあり、
内心反論したい気持ちでいっぱいだったが、
感情ばかりで反論するだけの理論武装がなく、
苦虫を噛みつぶす思いで気持ちを抑えてやり過ごした。
そのようなこともあり、夜回り直後に購入してあった
生田さんのルポ「最底辺」を大変興味深く読んだ。
前半は、実体験に基づいて
野宿者≒日雇労働者の実態や釜ヶ崎での出来事について
臨場感たっぷりに書かれており、
生田さんやその他の方の感情がぼくの内に蘇るようで、
つらい気持ちになったり、不安になったりしながら夢中で読んだ。
後半は、野宿者問題に対する考察が書かれており、
特に、仕事をイスに見立てた「イス取りゲーム」の話、
落ちるときは一段一段だが、
上がるときは大きな崖になっているという
カフカの階段の話はとても分かりやすく参考になった。
また、野宿者を差別する人たちの持つ偏見の根底には
「この国には望めば万人すべてに仕事がある」
「この国では十分な社会保障制度がある」
「助けてくれる家族や友人などが人には必ずいる」
といった妄想があることも解説している。
これらを妄想としてしまうのは、大げさすぎるかもしれないが、
本当に最底辺の生活をしている人ほど、
これらが現実である機会は少ないのも事実だろう。
失業率が上昇しているといったニュースを
日ごろから頻繁に見聞きしているにも関らず、
当事者でない自分にはまったく臨場感がないまま、
「望めば万人に仕事がある」的な考えを、
ぼくも持っていたことに気づいて、
自分の想像力のなさが恥ずかしくなった。
今ならば、冒頭のふたりの友人の顔に浮かぶ嘲笑を
消すくらいの説明はできそうな気がする。
夜回りに参加した後、
野宿者の販売する雑誌ビッグイシューを
購入する程度のこと以外、特になにもしてこなかったが、
改めてなんとかしたいという思いが込み上げてきた。
生田さんについて、
他の職業をやりながらでもいいだろうに、
あえてなぜ日雇労働者として生きながら、
野宿者を支援するのかとの疑問を持っていたが、
その答えとして生田さんの気持ちをそのまま、
ぼくの内心においてもらったような気がする。
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ルポ最底辺: 不安定就労と野宿 (ちくま新書 673) 新書 – 2007/8/1
生田 武志
(著)
- ISBN-104480063773
- ISBN-13978-4480063779
- 出版社筑摩書房
- 発売日2007/8/1
- 言語日本語
- 本の長さ254ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2007/8/1)
- 発売日 : 2007/8/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4480063773
- ISBN-13 : 978-4480063779
- Amazon 売れ筋ランキング: - 685,514位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 2,002位ちくま新書
- - 66,427位ビジネス・経済 (本)
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
路上生活者の実態を20年に渡り追いかけた集大成。著者は彼等の実態を追うばかりではなく、実際に路上生活をして肌で感じている所が凄い。記述には若干の偏りがあると見受けられるがそもそもルポだししょうがない。またその偏りを除去しても余りある最底辺の現状が浮き彫りになっている。
最先進国の日本に居ながらにして伝染病にかかり、路上で凍死し、若者から暴行を受け悪徳業者の金づるにされる。学歴が低すぎたり身体に障害があり普通の仕事に就けないが生活保護は受けられない。そんな人々がどんどん底辺に転落していく。しかし世の中は彼等に冷たく偏見の眼が止む事は無い。
浮浪者に関して親が子供にこう言う。
「自業自得だ」
「目を合わせるな」
「話しかけられても無視しろ」
「悪い事しているとあんなになるぞ」 と。
身体障害者にこのような事は言えないはずだ。だが浮浪者には平気で言える。
何か違和感を感じたら、是非一読していただきたい。本書にきっと手がかりがあるはずだ。
最先進国の日本に居ながらにして伝染病にかかり、路上で凍死し、若者から暴行を受け悪徳業者の金づるにされる。学歴が低すぎたり身体に障害があり普通の仕事に就けないが生活保護は受けられない。そんな人々がどんどん底辺に転落していく。しかし世の中は彼等に冷たく偏見の眼が止む事は無い。
浮浪者に関して親が子供にこう言う。
「自業自得だ」
「目を合わせるな」
「話しかけられても無視しろ」
「悪い事しているとあんなになるぞ」 と。
身体障害者にこのような事は言えないはずだ。だが浮浪者には平気で言える。
何か違和感を感じたら、是非一読していただきたい。本書にきっと手がかりがあるはずだ。
2008年1月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近、街がどんどん綺麗になっている。
街だけじゃない、駅も、公園も、街全体が。
そこには、昔はよく見かけた野宿者の姿は無い。
彼らは無事に野宿者から脱したのだろうか?
もしや、見えない存在にさせられてるのでは?
長年、野宿や日雇いの支援を続けてきた筆者が、
統計の数字や行政発表のマジックを明らかにし、
また自らを日雇い労働者と同じ立場に置いて、
その苦渋に満ちた生活を白日の下にさらしている。
野宿者は怠惰な人生の末路なのか? 否。
望んでも意欲があっても仕事そのものが無い、
障害を持った子供と一緒に暮らせるのは野宿だけ、
DVから逃げても子供と一緒には施設に入れない、
帰れる家が無ければ生活保護も受けられない、
そもそも支援する行政の受け皿さえない・・・。
私有地に入り込んだら、それは犯罪になる。
では、駅や公園、河原や道端等の公共スペースから
締め出された人は、次はどこへ行けば良いのだろう?
選挙権どころか生存権すら危うい彼・彼女達の声は、
あまりにもか細く、小さく、振り返られる事が無い。
きらびやかな街の影に広がる、見えないスラム。
世界の事例を紹介しながら、自分にできることを
考えさせられる一冊。
街だけじゃない、駅も、公園も、街全体が。
そこには、昔はよく見かけた野宿者の姿は無い。
彼らは無事に野宿者から脱したのだろうか?
もしや、見えない存在にさせられてるのでは?
長年、野宿や日雇いの支援を続けてきた筆者が、
統計の数字や行政発表のマジックを明らかにし、
また自らを日雇い労働者と同じ立場に置いて、
その苦渋に満ちた生活を白日の下にさらしている。
野宿者は怠惰な人生の末路なのか? 否。
望んでも意欲があっても仕事そのものが無い、
障害を持った子供と一緒に暮らせるのは野宿だけ、
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そもそも支援する行政の受け皿さえない・・・。
私有地に入り込んだら、それは犯罪になる。
では、駅や公園、河原や道端等の公共スペースから
締め出された人は、次はどこへ行けば良いのだろう?
選挙権どころか生存権すら危うい彼・彼女達の声は、
あまりにもか細く、小さく、振り返られる事が無い。
きらびやかな街の影に広がる、見えないスラム。
世界の事例を紹介しながら、自分にできることを
考えさせられる一冊。
2012年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大学時代から大阪の釜ヶ崎にある日雇い労働者密集地区に深く関わり続けた著者が自身の活動を振り返る著書。
他の同ジャンルの本との決定的な違いは、外側から見て論じるのではなく、著者が自ら日雇い労働者生活に飛び込んで、
長年に渡って路上生活者や貧困者たちと深く関わってきた視点で論じているのだということです。
かつては
・東京の山谷
・横浜の寿
・名古屋の笹島
と並んで「四大寄せ場」と呼ばれたが、現在で機能しているのは最早「釜ヶ崎のみ」となった模様。
その釜ヶ崎な現代日本社会が抱える矛盾の縮図と呼ばれるような場所で、異世界のような雰囲気を醸し出している。
路上で平気で人が寝ていたり、昼間から酒盛りがあちこちで行われていたり、路上死が日常茶飯事だったり。
日雇いの仕事は手配師と呼ばれる人間が斡旋し、それに群がる人間と毎日毎日その日限りの雇用関係を結ぶ。
一見、対等な関係のように思えるがそこは景気に左右される面が大きく、バブル期は時給を大幅に上げても人手が到底足らず、
労働時間を短くする等の特典を付与するなどの「売り手市場」だった。
それから月日は流れて平成の世に入るとバブルは崩壊し、立場は逆転する。
賃金は下がり、拘束時間は延びても仕事にあぶれる人間が出てくるようになる。
周辺の簡易宿泊施設にさえ寝泊りできなくなる人間が増えて、野宿者は一気に増加。
正に釜ヶ崎は現在日本の縮図であるかのように、景気を反映して浮き沈みしたのだった。
昭和から平成と時代の流れの中で様変わりした釜ヶ崎を間近で見てきた著者の視点は鋭い。
だが、年月の経過は住民の高齢化を呼び、若者のホームレスはネットカフェ等を泊まり歩くなどの形態に移行する者が増えた。
そうなると、釜ヶ崎の存続についても今後は不透明な部分が多く、やがて自然消滅する可能性もある。
だが、野宿者はもっと根本的な問題から発生しているため、単純に姿が見えなくなったから「問題が解決した」と思うなかれ。
政府が発表する「野宿者の全国的な減少」など、単純に野宿者が生活保護者へと移行しただけに過ぎない。
データは万能ではない。データの奥に潜む真実を見抜く目が必要なのだが、それを持っていると断言できる人が日本にどれほどいるだろうか?
他の同ジャンルの本との決定的な違いは、外側から見て論じるのではなく、著者が自ら日雇い労働者生活に飛び込んで、
長年に渡って路上生活者や貧困者たちと深く関わってきた視点で論じているのだということです。
かつては
・東京の山谷
・横浜の寿
・名古屋の笹島
と並んで「四大寄せ場」と呼ばれたが、現在で機能しているのは最早「釜ヶ崎のみ」となった模様。
その釜ヶ崎な現代日本社会が抱える矛盾の縮図と呼ばれるような場所で、異世界のような雰囲気を醸し出している。
路上で平気で人が寝ていたり、昼間から酒盛りがあちこちで行われていたり、路上死が日常茶飯事だったり。
日雇いの仕事は手配師と呼ばれる人間が斡旋し、それに群がる人間と毎日毎日その日限りの雇用関係を結ぶ。
一見、対等な関係のように思えるがそこは景気に左右される面が大きく、バブル期は時給を大幅に上げても人手が到底足らず、
労働時間を短くする等の特典を付与するなどの「売り手市場」だった。
それから月日は流れて平成の世に入るとバブルは崩壊し、立場は逆転する。
賃金は下がり、拘束時間は延びても仕事にあぶれる人間が出てくるようになる。
周辺の簡易宿泊施設にさえ寝泊りできなくなる人間が増えて、野宿者は一気に増加。
正に釜ヶ崎は現在日本の縮図であるかのように、景気を反映して浮き沈みしたのだった。
昭和から平成と時代の流れの中で様変わりした釜ヶ崎を間近で見てきた著者の視点は鋭い。
だが、年月の経過は住民の高齢化を呼び、若者のホームレスはネットカフェ等を泊まり歩くなどの形態に移行する者が増えた。
そうなると、釜ヶ崎の存続についても今後は不透明な部分が多く、やがて自然消滅する可能性もある。
だが、野宿者はもっと根本的な問題から発生しているため、単純に姿が見えなくなったから「問題が解決した」と思うなかれ。
政府が発表する「野宿者の全国的な減少」など、単純に野宿者が生活保護者へと移行しただけに過ぎない。
データは万能ではない。データの奥に潜む真実を見抜く目が必要なのだが、それを持っていると断言できる人が日本にどれほどいるだろうか?
2014年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の考えが偏っていてフェアな文章ではありません。
本のタイトルにルポと書いてあるが全体的には著者のホームレスびいきの内容ばかりです。
個人的にはそういう人がいても良いと思いますがあまりにもひいきが過ぎる印象です。
本のタイトルにルポと書いてあるが全体的には著者のホームレスびいきの内容ばかりです。
個人的にはそういう人がいても良いと思いますがあまりにもひいきが過ぎる印象です。
2021年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何不自由なく生活しているのに
不満ばかりを口にしている自分が
恥ずかしくなります
行政の問題、家族のあり方、人間の本質など
さまざまなことを考えさせられる
非常に深い本だと思います。
たくさんの人に読んでもらいたい。
社会を変えることができるかもしれない一冊です
不満ばかりを口にしている自分が
恥ずかしくなります
行政の問題、家族のあり方、人間の本質など
さまざまなことを考えさせられる
非常に深い本だと思います。
たくさんの人に読んでもらいたい。
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2010年12月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
町の中でホームレスの方を見かけると、ついつい目をそらせてしまう。
そんな私の行動の根拠が、どこにもなかったことに気付かされた。
どうしてホームレス(野宿者)になってしまうのか、そのプロセスを著者自身が日雇い労働者になることで、野宿者の側から説明している。
著者の一言一言に彼らの姿が浮かびあがる。
そんな私の行動の根拠が、どこにもなかったことに気付かされた。
どうしてホームレス(野宿者)になってしまうのか、そのプロセスを著者自身が日雇い労働者になることで、野宿者の側から説明している。
著者の一言一言に彼らの姿が浮かびあがる。
2021年7月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いい本でした。将来自分もそうなる、ならないは判りませんが後学の為に同ジャンルの書籍を読んでいます。自治体と警察の雑な対応、ホームレスに人権を認めない若者、頭痛がしてきます。