現時点でこの本の出版(2008年)からは12年が経っており、ミクシィなどのSNSやガラケーなどは既に過去の産物と化し、「メールを送り合う」という文化も「LINEでメッセージをやり取りする」という文化に置き換わっている。現役大学生としてはどうしても「ケータイ」という言葉に違和感を覚えたが、それも時代が流れた結果であろう。
このように時代の流れによる些細な違いはあるものの、ついこの前まで高校生だった人間からしても、筆者の根幹の主張には納得した。「優しい関係」という言葉はまさに現代の10代・20代をはじめとする若者の人間関係を巧みに言い表していると感じた。「誰も傷つけたくないのは勿論のこと、誰からも傷つけられたくない。」これは私が切に思っていることでもあるし、2020年時点でも多くの若者が感じていることだろう。
現代の若者はつながりが希薄な世代とよばれるがそうではない。現状のコロナ禍で、面と向かって直接会えなくなった人々が、Zoomなどのオンライン会議システムでせめてものつながりを求めようとしたことは記憶に新しいし、それは若者だって同じことだ。現代の若者だってつながろうとはしている。ただそのつながり方が、昔のそれとは根本的に違っているということだ。お互いがお互いの空気を読み合い、双方ともに疲れてしまう。
「今、このグループでうまくいかないと、自分はもう終わりだ」という言葉(p17)からもうかがえるように、「一度人間関係のグループから脱落してしまったら、新たな人間関係のグループに入ることは難しい」という現状がある。いくらそのグループにいることで苦しい思いをしていても、笑顔を作り、自分を殺してやり過ごさなければいけない状況の若者は少なくない。そのグループが自分の人間関係の全てであるように錯覚してしまい、周りの人間関係のあり方と比較して相対化することができていないからである。
ここ最近はLINEだけではなく、TwitterやInstagram、TikTokなどのSNSが目白押しである。特にInstagramで巻き起こっている「インスタ映え」という現象は、まさに本書中の「自己顕示欲」の発露でしかない。自分が世の中に存在する意義が見出しにくくなっている現代において、「インスタ映え」のような現象も、自分が世間に認められたいという思いから生じてきたのだろうか。
最後に、リストカット少女の2人を描いたくだりは、彼女たちが書いた「日記」がそのまま引用されていること、その内容も伴ってなかなかにリアルで、読んでいて恐ろしさを感じた。こんなことがたかだか20年前に行われていたことも、その恐ろしさに拍車をかけた。
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友だち地獄 (ちくま新書) 新書 – 2008/3/6
土井 隆義
(著)
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浮いたらオシマイ!?
いじめ、ひきこもり、リストカット...。
毎日がサバイバルなケータイ世代、
そのキツさと希望のありかを描く。
いじめ、ひきこもり、リストカット...。
毎日がサバイバルなケータイ世代、
そのキツさと希望のありかを描く。
- ISBN-104480064168
- ISBN-13978-4480064165
- 出版社筑摩書房
- 発売日2008/3/6
- 言語日本語
- 本の長さ235ページ
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商品の説明
著者について
土井隆義(どい・たかよし)
1960年山口県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。社会学を専攻。博士(人間科学)。著書に『<非行少年>の消滅』(信山社)、『「個性」を煽られる子どもたち』(岩波ブックレット)が、共編著に『社会構築主義のスペクトラム』(ナカニシヤ出版)がある。
1960年山口県生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。社会学を専攻。博士(人間科学)。著書に『<非行少年>の消滅』(信山社)、『「個性」を煽られる子どもたち』(岩波ブックレット)が、共編著に『社会構築主義のスペクトラム』(ナカニシヤ出版)がある。
著者について
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2020年10月17日に日本でレビュー済み
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2013年11月19日に日本でレビュー済み
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メールを「即レス」しないことやLINEの「既読スルー」が問題となっています。
大人からしたら「そんなこと」と思うかもしれませんが、子どもたちにとっては死活問題です。
なぜなら、習い事などをしていれば少し別ですが、基本的には家庭と学校が子どものコミュニティーだからです。
大部分は学校で過ごすため、その学校でつまはじきにされるのは耐えがたいことなのです。
嫌われないようお互い探り合って生きています。
無理に話を合わせたり、内容は二の次にとりあえず返信をする。
これは本当に「友だち」なのでしょうか。
そういったことを考えさせられます。
大人からしたら「そんなこと」と思うかもしれませんが、子どもたちにとっては死活問題です。
なぜなら、習い事などをしていれば少し別ですが、基本的には家庭と学校が子どものコミュニティーだからです。
大部分は学校で過ごすため、その学校でつまはじきにされるのは耐えがたいことなのです。
嫌われないようお互い探り合って生きています。
無理に話を合わせたり、内容は二の次にとりあえず返信をする。
これは本当に「友だち」なのでしょうか。
そういったことを考えさせられます。
2017年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
特に新しい発見はありませんでしたが、もし教育に携わるなら読んでおいても良い一冊です。
2017年3月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は、読んでからのお楽しみですが
外れは、有りませんよー。
是非
外れは、有りませんよー。
是非
2011年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルの通りなのだが、「こりゃ難問だ・・・・。」というのが正直な印象だ。本書は多岐にわたって現象を分析しているが、僕が興味をそそられたた論点は以下の2点。
■個性を煽られてもその実態となる外部の思想がないため、自己確立に執着するほどに周囲の関係性に依存しなくてはならなくなる。
■選択肢の豊富さは一つ一つの魅力を減じさせ、掴み取った幸福感が薄らいでゆく事。
この状況はおそらく今の若い方(大学生までと仮定)だけの問題ではないだろうと思う。〜僕自身大学時代などバブル絶頂だった世代だが、著者の指摘する関係性は同じように存在し、問題は一向に解決できていない。僕は高校生くらいから比較的「お一人様タイプ」で映画も一人で観に行ったし、休日に自宅で一人でいる事が苦にならない質だ。だが本書にも指摘され他のレビュアの方の指摘にもあるがミスター・チルドレンの『名もなき詩』を初めて聞いた時、桜井さんに描かれた歌詞の鋭さに深く共感を覚えたものだ。自分の中身など何も無いにも拘わらず、気付かない内に「自分らしさ」という得体のしれないものを作り上げ、それがあるからこそ様々な焦燥や不安が生じる。炯眼・鴻上尚史氏は著書 「空気」と「世間」 (講談社現代新書) やSPA連載エッセイにて、空気を『中途半端に壊れた世間』と定義し、そこで空気を読む事に疲れた結果の逃避という認識から沖縄旅行ブームを分析している。僕自身20年近く続けてきたサラリーマン生活にほとほと疲れ果て、ハワイに行き日本人がまずいないアラモアナに3カ月ほど遁走した事があるのだが(笑)その解放感は言い表しようがない。だが自明の事ながらそれはあくまでも非日常であり、空気にがんじがらめになっている「日本」があるからこそ相対的に成立する解放感でしかない。おそらくここで効いてくるのは本書の高野悦子の分析だ。著者の認識通り思想とは自分を相対化する手段になり、そこから主体を確立するベクトルが生まれる。それとともに南条あやの身体性という『実感できるもの』との融合の中にこそ、血肉の通った思想と自己が確立されるのではないか?予想通りに格差が開いた現在、若い人を中心にナショナリスティックな傾向が進み、 苦役列車 というブルーカラーのステロタイプな作品がヒットし、同時に曖昧な空気に支配される日常。<今・ここ>の時点だからこそ、どう生きるのか?という永遠の難問に果敢に取り組んでゆくしかない。本書はその思いを新たにさせてくれた。
■個性を煽られてもその実態となる外部の思想がないため、自己確立に執着するほどに周囲の関係性に依存しなくてはならなくなる。
■選択肢の豊富さは一つ一つの魅力を減じさせ、掴み取った幸福感が薄らいでゆく事。
この状況はおそらく今の若い方(大学生までと仮定)だけの問題ではないだろうと思う。〜僕自身大学時代などバブル絶頂だった世代だが、著者の指摘する関係性は同じように存在し、問題は一向に解決できていない。僕は高校生くらいから比較的「お一人様タイプ」で映画も一人で観に行ったし、休日に自宅で一人でいる事が苦にならない質だ。だが本書にも指摘され他のレビュアの方の指摘にもあるがミスター・チルドレンの『名もなき詩』を初めて聞いた時、桜井さんに描かれた歌詞の鋭さに深く共感を覚えたものだ。自分の中身など何も無いにも拘わらず、気付かない内に「自分らしさ」という得体のしれないものを作り上げ、それがあるからこそ様々な焦燥や不安が生じる。炯眼・鴻上尚史氏は著書 「空気」と「世間」 (講談社現代新書) やSPA連載エッセイにて、空気を『中途半端に壊れた世間』と定義し、そこで空気を読む事に疲れた結果の逃避という認識から沖縄旅行ブームを分析している。僕自身20年近く続けてきたサラリーマン生活にほとほと疲れ果て、ハワイに行き日本人がまずいないアラモアナに3カ月ほど遁走した事があるのだが(笑)その解放感は言い表しようがない。だが自明の事ながらそれはあくまでも非日常であり、空気にがんじがらめになっている「日本」があるからこそ相対的に成立する解放感でしかない。おそらくここで効いてくるのは本書の高野悦子の分析だ。著者の認識通り思想とは自分を相対化する手段になり、そこから主体を確立するベクトルが生まれる。それとともに南条あやの身体性という『実感できるもの』との融合の中にこそ、血肉の通った思想と自己が確立されるのではないか?予想通りに格差が開いた現在、若い人を中心にナショナリスティックな傾向が進み、 苦役列車 というブルーカラーのステロタイプな作品がヒットし、同時に曖昧な空気に支配される日常。<今・ここ>の時点だからこそ、どう生きるのか?という永遠の難問に果敢に取り組んでゆくしかない。本書はその思いを新たにさせてくれた。
2017年10月28日に日本でレビュー済み
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現代の子供たちの息苦しさが分かりやすく書かれていました。いじめの温床でしょうか。
2023年1月23日に日本でレビュー済み
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世間で話題になった自殺者等を挙げながら友人関係に触れるものの、その具体例の紹介で完結してしまっている。
2016年3月18日に日本でレビュー済み
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一昔前には、どの教室にも学業成績が良く、周りをぐいぐい引っ張っていくリーダーと呼ばれる子どもがいた。しかし、最近ではほとんど見られなくなった。今の子どもは必要以上に周りに気使い、対立を回避する。周囲を省みない言動ばかりでも困るが、対人関係のもつれをおそれて、何も主張できないのも困りものである。