本書は意気込みとして「深層文化」という名文句を使っている。稲(米)の文化が表層文化で、粟の文化が深層文化か、ということになりかねない。穿ちの評価ができないではないが、謙虚に落穂拾いと言っておくのがいいのかもしれない。イネ一辺倒で見てきた従来の常識に警鐘を鳴らすものかどうかは、著者自らか言うことばではなく、第三者の評言であるべきだろう。
内容については、これまで見落とされた視点で、陽の目をみなかったもの、人ならば「在野の逸物」に目を向け、人材の発掘に類している。「野の役割を見直す」という第3章が百ぺーじにわたり本論の中軸となり、野に関わる古今の事物を網羅しようとする意欲が見られ、総花式ながら参考になることが多い。本書のタイトルにするには、地味ながら、もともとこれらの野にあるものの価値を見出す姿勢というものは、地味でいいのだろう。「やはり野に置け蓮華草」役に立つことが満載されているから、いずれ必要に応じて再びひもとこう。「野」のつく地名など必ず役立つと思っている。
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日本の深層文化 (ちくま新書 791) 新書 – 2009/7/1
森 浩一
(著)
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- 本の長さ284ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2009/7/1
- ISBN-104480064761
- ISBN-13978-4480064769
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登録情報
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 284ページ
- ISBN-10 : 4480064761
- ISBN-13 : 978-4480064769
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上位レビュー、対象国: 日本
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2009年8月5日に日本でレビュー済み
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2015年6月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の経歴からすれば、新しいどころではないのだろうが、教科書的なありきたりの語り口とはひと味違った古代史を見せてくれた。しかし、文章の端々からにじむ、著者の面倒くさいこだわりも感じられ、こうして書物で教えを乞うのがベストな人だとも思う。
2009年7月23日に日本でレビュー済み
本書は森浩一氏の「長年にわたって蓄積した知識が凝縮したもの」というだけあって、相当に読み応えのある、濃い一冊である。
「普段は忘れかけているこの国の深層文化を抉りだし、現在の文明の混迷から抜けだす手がかり」にしたいという思いから出発している。今につながる日本の歴史というのは、稲作伝来にる弥生時代の開始以降、ひたすらにエネルギー生産を増大させてきた「文明化」の歴史である。その文明化が息詰まるとき、これを相対化するのは一つの知恵であろう。
粟、田、野、猪、鹿などのテーマが取り上げられ、膨大な文献史料・考古学資料と深い思索から導かれ、展開する議論は重厚だが説得力と知的興奮に満ちている。おぼろげながらも、我々の先祖の生活の息吹が蘇ってくるようだ。
派手さはないが、質実剛健な、良質の日本文化論である。
「普段は忘れかけているこの国の深層文化を抉りだし、現在の文明の混迷から抜けだす手がかり」にしたいという思いから出発している。今につながる日本の歴史というのは、稲作伝来にる弥生時代の開始以降、ひたすらにエネルギー生産を増大させてきた「文明化」の歴史である。その文明化が息詰まるとき、これを相対化するのは一つの知恵であろう。
粟、田、野、猪、鹿などのテーマが取り上げられ、膨大な文献史料・考古学資料と深い思索から導かれ、展開する議論は重厚だが説得力と知的興奮に満ちている。おぼろげながらも、我々の先祖の生活の息吹が蘇ってくるようだ。
派手さはないが、質実剛健な、良質の日本文化論である。
2013年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
実はこの本は購入したもののペラペラ見た程度で読み込んでいませんが、じっくり他の本を読み終わり次第取り掛かろうと思っています。そう思わせる内容があるようです