歴史に疎い人間として、優れた思想家の書くもので学びたいと常々思っているが、
氏もまた私にとって良き先生だった(もちろん、面識はない)。私が氏に共感を覚えた
のは、組織流に考えない人であり、イデオロギーに振り回されぬ個人の思想家として
発言していると思われたからだ。
この本では、北一輝と斉藤隆夫に関する印象が強かったが、特に北一輝が単なる
右翼でなかったことがわかり、良かった。また、「粛軍演説」、「反軍演説」をした斉藤
隆夫を採り上げたことからも、氏の願いが、この国が二度と戦争を起こさないように
というものだったとわかる。そして、今後その恐れのある近隣諸国に対し、「東アジア
共同体」構想を示すなど、実際的な努力もしていた。
私には、氏の提案がどれほど妥当なものかわからない。だが、庶民目線で文章を
書き、自分の足でしっかり立っていた思想家がこの世からいなくなってしまったことは
残念で仕方ない。
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日本のナショナリズム (ちくま新書 846) 単行本 – 2010/5/8
松本 健一
(著)
近代日本のナショナリズムはどこで道を誤ったのか。一九一五年の対支二十一カ条の要求や、統帥権干犯問題、斎藤隆夫の粛軍演説の問題、北一輝の思想などを題材に、戦前日本のナショナリズムが迷走し、暴走した原因を追究する。さらに、現代の東アジアにおけるナショナリズムが惹き起こしてきた領土や歴史認識をめぐる各国間の軋轢を根源から再考察し、民主党への政権交代で注目を集めている東アジア共同体構想を含め、ナショナリズムを超えた東アジアの未来像を展望する。
- 本の長さ187ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2010/5/8
- ISBN-104480065504
- ISBN-13978-4480065506
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2010/5/8)
- 発売日 : 2010/5/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 187ページ
- ISBN-10 : 4480065504
- ISBN-13 : 978-4480065506
- Amazon 売れ筋ランキング: - 869,124位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大学のレポートの為に購入。
内容は論評できるほど博学ではないのでそれはさておき
読んでいると所々で自分の実績やら頼まれて政治家達に講義をしたやらとアピールしてくるのがうざい。
同じレポートを書いた仲間内で「日本のナルシズム」と呼ばれていたほどである。
内容は論評できるほど博学ではないのでそれはさておき
読んでいると所々で自分の実績やら頼まれて政治家達に講義をしたやらとアピールしてくるのがうざい。
同じレポートを書いた仲間内で「日本のナルシズム」と呼ばれていたほどである。
2010年5月26日に日本でレビュー済み
民主党議員に対して講義した内容だが、このなかで「政権をとることが自己目的化する二大政党政治の最大の矛盾」という言葉がある。民主党は政権奪取のための公約を示しておきながら、その公約を果たしていない。この著者の言葉を民主党の議員はどのように聞いていたのか、確認してみたいところである。
本書の中で、斎藤隆夫の反軍演説が取り上げられ、広田弘毅内閣を批判したとある。この広田内閣で外務大臣に入閣予定だったのが吉田茂だが、戦後、その吉田茂内閣に入閣したのが斎藤隆夫である。斎藤隆夫が吉田茂内閣への入閣を拒否していないのは何故だろうか。仮に吉田茂が広田内閣に入閣していたならば、斎藤隆夫は吉田をも批判することになるが、この点はどうだったのだろうか。広田弘毅が総理の座につく前、陸軍内部の権力闘争である2.26事件が勃発し、陸軍は広田内閣を妨害しまくったことも誤解を防ぐために書き添えておくべきではなかったか。
日本のナショナリズム、というタイトルで民主党議員に対して講義した内容だが、怖れるのは、民主党議員がこの内容をコピーペーストして歴史を語るのではないかということ。あくまでも、著者の個人的見解であることを踏まえずに、政権中枢の意見として語られると方向性を間違うことになる。
語られる内容を鵜呑みにせず、批判の目を持って読み通してもよいと思う。
本書の中で、斎藤隆夫の反軍演説が取り上げられ、広田弘毅内閣を批判したとある。この広田内閣で外務大臣に入閣予定だったのが吉田茂だが、戦後、その吉田茂内閣に入閣したのが斎藤隆夫である。斎藤隆夫が吉田茂内閣への入閣を拒否していないのは何故だろうか。仮に吉田茂が広田内閣に入閣していたならば、斎藤隆夫は吉田をも批判することになるが、この点はどうだったのだろうか。広田弘毅が総理の座につく前、陸軍内部の権力闘争である2.26事件が勃発し、陸軍は広田内閣を妨害しまくったことも誤解を防ぐために書き添えておくべきではなかったか。
日本のナショナリズム、というタイトルで民主党議員に対して講義した内容だが、怖れるのは、民主党議員がこの内容をコピーペーストして歴史を語るのではないかということ。あくまでも、著者の個人的見解であることを踏まえずに、政権中枢の意見として語られると方向性を間違うことになる。
語られる内容を鵜呑みにせず、批判の目を持って読み通してもよいと思う。