著者とほぼ同じ年代の私には、新宿の懐かしい匂いがプンプンしていて、懐かしいやら。
しかも単なるノスタルジーでないところがいい。
中ごろは少しダレた感じだが、後半になってベルクの話になるとまた盛り上がっている。これもジャズの演奏のメリハリといったところか。
ところで、実際によき時代の新宿はどこに残っているのだろうか。ションベン横丁は昔からあるというだけで、それほどらしくはない。キクヤの薄いチューハイぐらいか。地下にある、名前は忘れたトリスバーか。ゴールデン街も懐かしいという感じはない。昔の新宿文化裏の一帯がかろうじてらしい感じかもしれない。
何もかもが新しくなる昨今だが、記憶に残す意味で新宿は今でも古く、それがいい。
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愛と憎しみの新宿 半径一キロの日本近代史 (ちくま新書 858) 新書 – 2010/8/6
平井 玄
(著)
新宿生まれそだちの著者がいとおしく新宿を活写する
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2010/8/6
- ISBN-104480065555
- ISBN-13978-4480065551
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2010/8/6)
- 発売日 : 2010/8/6
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4480065555
- ISBN-13 : 978-4480065551
- Amazon 売れ筋ランキング: - 550,644位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
待望していました!平井さんの新刊です。ミッキーマウスの〜でガツンと殺られて以来、平井さんの文章は紀伊国屋の書評ブログなども含めて見れるだけ見ているつもりです。自分は77年生まれの地方郊外育ちなので、今回の作品が描き出す新宿の光景はリアルタイムでは知り得ませんが、第一章「街を貪る」のスピード感は、まさに平井節全開で唸りました!いか天丼や木須肉!縦横に畳み込まれる記憶の光景に目眩がしました。繰り返し読みたいです。
2012年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
期待はずれでした。アングラ気どった左翼かぶれが自分の若い頃を懐かしんでるだけの文章。そいつが新宿に詳しいだけという印象です。ネットで買ったので、「地下文化史」という宣伝文句や「近現代史」というタイトルだけで買ったのですが「史」ではないですね。エッセイです。歓楽街や新宿の町の形成が綿密な調査の上客観的に書かれてることを期待してたのですが大間違いでした。文庫ならともかく新書で出版する理由がわかりません。
2010年8月27日に日本でレビュー済み
著者の平井さんより3つ下の私がおぼえている新宿は、工事中でいつもびしょびしょの狭い地下道、開演に遅れて席を探していたりすると蹴飛ばされる日活名画座、紀伊国屋書店はもちろん行ったけれど64年で9階建てって、そんなに立派だったかなあ(もっと小さかった印象)。
この本は2丁目の洗濯屋の息子として生きた平井さんの記憶、新宿という街の歴史、60年代文化、闘争、漱石さんら文学者の目を通しての新宿などを、ノスタルジーに閉じ込めることなく活写している。そして最後にはこの街を拠点に活動する店ベルクの持つ意味合いが描かれる。
敷石をもう一度はがすように書き抜かれるこの本を通して気がついたことは、現在の知性や面白い事象がじつはきわめて抑圧的なもので、つねに何かを隠そう忘れさせようと作用しているということ。ノスタルジーにひたったり、もっともらしい知識を消費して、もう一度面白いことに出会えないかと待っていてはダメなんだ。ここにいることを認めさせるような停滞しない知性を持って生きなければということ。
勉強になりました。ありがとう。
この本は2丁目の洗濯屋の息子として生きた平井さんの記憶、新宿という街の歴史、60年代文化、闘争、漱石さんら文学者の目を通しての新宿などを、ノスタルジーに閉じ込めることなく活写している。そして最後にはこの街を拠点に活動する店ベルクの持つ意味合いが描かれる。
敷石をもう一度はがすように書き抜かれるこの本を通して気がついたことは、現在の知性や面白い事象がじつはきわめて抑圧的なもので、つねに何かを隠そう忘れさせようと作用しているということ。ノスタルジーにひたったり、もっともらしい知識を消費して、もう一度面白いことに出会えないかと待っていてはダメなんだ。ここにいることを認めさせるような停滞しない知性を持って生きなければということ。
勉強になりました。ありがとう。
2015年7月25日に日本でレビュー済み
新宿文化の全盛期をふりかえる書物は山ほどあるが、そのうち新宿ネイティヴによるものは?となると、おそらくその半分も無いのではなかろうか。そう感じるのは、現在隆盛の秋葉原文化に関する言説の多くが神田どころか下町エリアにも縁の薄そうな他所者によるものだからである。ひとつの街をネタにしたSF小説という気がしなくもない本だが、60年代新宿を店に業者として出入りする地元個人商店の人間として観察してきたという原体験が平井の思想のベースにあるということはよくわかった。やはり自身が生まれ育った街への『愛と憎しみ』を吐露し続ける小林信彦が、『わが街』から逃亡して二度と帰らない道を選んだのに対して平井は『わが街』に戻った。『故郷』とは愛だけではふりかえることができない厄介なものなのだ。
2010年10月10日に日本でレビュー済み
元活動家であり、ドキュメンタリー作家であり、
新宿二丁目の洗濯屋の家に育った著者の私的な新宿回想録。
客観性はハナから度外視で、60年代後半当時の新宿の様子をひたすら自分の視点で綴る、
という新書らしからぬ怪作。
でも資料を集めたり、人に話を聞いたり、分析してみたりするかわりに
新宿にまつわる自身の記憶と思いを第一人称で描いたことで、
当時の新宿の空気を後世に残すという役割はじゅうぶんに果たしたと思う。
通常、読者が新書に期待するような内容ではまったくないけど。
こんなのもあってもいいと思う。
書中にも挿入されていた渡辺克己氏の写真集は、
プレミアがついてえらい値段になってしまっているけど、
当時のワイルドな新宿の様子がビリビリと伝わってくる名著ですよ。
新宿 1965‐97―娼婦、ヤクザ、オカマ、ヌード嬢…彼らが「流しの写真屋」の客だった (フォト・ミュゼ)
新宿二丁目の洗濯屋の家に育った著者の私的な新宿回想録。
客観性はハナから度外視で、60年代後半当時の新宿の様子をひたすら自分の視点で綴る、
という新書らしからぬ怪作。
でも資料を集めたり、人に話を聞いたり、分析してみたりするかわりに
新宿にまつわる自身の記憶と思いを第一人称で描いたことで、
当時の新宿の空気を後世に残すという役割はじゅうぶんに果たしたと思う。
通常、読者が新書に期待するような内容ではまったくないけど。
こんなのもあってもいいと思う。
書中にも挿入されていた渡辺克己氏の写真集は、
プレミアがついてえらい値段になってしまっているけど、
当時のワイルドな新宿の様子がビリビリと伝わってくる名著ですよ。
新宿 1965‐97―娼婦、ヤクザ、オカマ、ヌード嬢…彼らが「流しの写真屋」の客だった (フォト・ミュゼ)
2010年10月15日に日本でレビュー済み
評者が出会った早稲田出身者は、そのほとんどが狡猾なお調子者だった。「おかまと吃る女に馬鹿はいない」「みどりという名の女に美人はいない」というくらいの真実である。本書の著者が忌まわしい大学から追放された人だというのは幸いだ。
この新宿の原住民の舌や唇の震わせ方は意外にも繊細だし、修辞はひねくれていてときにブッキッシュな平板さが目立つにせよ、空疎な気取りがないぶん好ましい文体だ。更地になるや以前何が建っていたのかわからなくなるのが記憶の不可思議。だから地元の人がこんな地誌を遺すのはいいことだ。池袋あるいは渋谷…適材適所でシリーズ化してほしいくらい。巻末の人名解説もグッド・アイディア。
「召命」のドイツ語(223頁)の語頭は大文字にしなはれ。三島の首(94頁)が落ちたんはバルコニーではない(あるいはこれは文彩なのか)。
この新宿の原住民の舌や唇の震わせ方は意外にも繊細だし、修辞はひねくれていてときにブッキッシュな平板さが目立つにせよ、空疎な気取りがないぶん好ましい文体だ。更地になるや以前何が建っていたのかわからなくなるのが記憶の不可思議。だから地元の人がこんな地誌を遺すのはいいことだ。池袋あるいは渋谷…適材適所でシリーズ化してほしいくらい。巻末の人名解説もグッド・アイディア。
「召命」のドイツ語(223頁)の語頭は大文字にしなはれ。三島の首(94頁)が落ちたんはバルコニーではない(あるいはこれは文彩なのか)。