私が就職活動をしたのは、今から10年くらい前。
ちょうど、前の就職氷河期の、求人数が底に近い年でした。
なんだか、懐かしいなぁ。
まぁ、私は決して本の標題にあるようなエリートではないので、
適当にぼちぼちやって、就職が決まった覚えがあります。
で、この本では、”就活エリート”が就職してから、
離職率が高かったり、使い物にならなかったりする原因を分析し、
それが今の就職活動のシステムにある、というお話です。
それでは、就職活動をどのようにすれば
いいのかについても提案されています。
結局、エントリーシートで自分のやりたいことを明確にしすぎると、
就職してからのギャップがでかかったりすることがあるそうです。
やりたいこと、やれること、就職が決まって、自分が認められたと思う。
そのことから、やりたいことをやらせて
もらえる権利があると錯覚してしまうのかも。
あと、最近の若い人は人に合わせるというか、
当たり障りのないコミュニケーションが得意な部分があって、
面接でも、どのような自分を演じたらいいのか、
わかっている人が多いらしい。
だから、就職活動という、非日常的なイベントでは、企業も学生も、
本当にマッチしているのか、判断がつきかねるのが現状。
エントリーシート・自己分析が取り入れられてきた背景や、
日本・アメリカのインターンシップの違いなんかも触れられていて、
いわゆる、ちょっとした知識になることもたくさん載ってます。
まぁ、就職活動のシステムがすぐに変わるわけではないので、
就活エリートがどのようなものかを知ることは、
これから新卒で就職活動をする人には参考になるのでは。
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就活エリートの迷走 (ちくま新書 880) 新書 – 2010/12/8
豊田 義博
(著)
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購入オプションとあわせ買い
超優良企業の内定をゲットした「就活エリート」。彼らが入社後に、ことごとく戦力外の烙印を押されている……。採用現場の表と裏を分析する驚愕のレポート。
- ISBN-104480065857
- ISBN-13978-4480065858
- 出版社筑摩書房
- 発売日2010/12/8
- 言語日本語
- 本の長さ235ページ
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2010/12/8)
- 発売日 : 2010/12/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 235ページ
- ISBN-10 : 4480065857
- ISBN-13 : 978-4480065858
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,008,832位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,434位ちくま新書
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2011年1月20日に日本でレビュー済み
2016年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
わりと冗長な感じがする。
大きく以下の通りかな。
・就活で色々な事を聞きまくられた挙句、仮想のアイデンティティを形成し、それが結局入社してから即座に崩壊する問題(入社してから「自分のやりたい事はこれじゃない」となる)
・学生時代に培った「空気読み」の技術をそのまま会社に持ち込んで消極的に働く(空気は読めるから面接は突破できてしまう)
それに対応する策は、問題になるものをすべて無くそう、欧米の真似をしよう、というものだったので、ちょっと微妙。
大きく以下の通りかな。
・就活で色々な事を聞きまくられた挙句、仮想のアイデンティティを形成し、それが結局入社してから即座に崩壊する問題(入社してから「自分のやりたい事はこれじゃない」となる)
・学生時代に培った「空気読み」の技術をそのまま会社に持ち込んで消極的に働く(空気は読めるから面接は突破できてしまう)
それに対応する策は、問題になるものをすべて無くそう、欧米の真似をしよう、というものだったので、ちょっと微妙。
2013年11月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
就活という見方によっては茶番とも思えるような競争を勝ち抜いたエリートが、
就職後、苦難を迎えるというエピソードを皮切りに
ではその人物に何が足りず、これから就活する人は何を考えなければならないのかといった内容
よくある就活本にあるようなノウハウの類はないのでご注意を
就職後、苦難を迎えるというエピソードを皮切りに
ではその人物に何が足りず、これから就活する人は何を考えなければならないのかといった内容
よくある就活本にあるようなノウハウの類はないのでご注意を
2013年3月7日に日本でレビュー済み
実に読後感が悪い本だった。
一見、まともな主張に見える「就活エリートの迷走」。著者はリクルート社の人間である。
就活に過剰適応した学生が見事に大手企業に就職を果たした後に現実に適応できずにドロップアウトしていくことを問題提起したかに見えるこの本。
実はよく読むと「リクルートによるリクルートのためのマッチポンプ本」だと気が付くのに、そう時間はかからない。
「エントリーシート(ES)」「自己分析」「面接」が採用選考の三本柱であり、大手企業の一斉採用が現実の就活の源であると主張する本書。
ES、自己分析、面接にうまく適応した学生が就職後に肥大化した自画像に悩む姿を「就活ゲーム」のせいとし、「ゲームのルール変更」を主張している。
問題点を指摘しながら原因の究明は避け、それでいながら解決策が提示される手際の良さ。
対策は「採用活動時期の分散化」「採用経路の多様化」だと。
なんだか、新社会人の早期ドロップアウトに全く役に立たなそうな対策である。
はっきり言おう。
就職をゲーム化したのはリクルートである。
リクナビに学生を集め、メールで洗脳して就活を煽り、大学まで出張って学生相手に「業界研究」「ES対策」「自己分析」「面接対策」を行ってぼろもうけをしたのはリクルートである。
本書で取り上げられていない就活での最大のゲーム、適性診断(SPI)を提供しているのはリクルートである。
企業に役にも立たない「構造化面接」を指導し、儲けているのはリクルートである。
そのリクルートがなぜ、「ゲーム化」「就活ナビによる学生マーケティング」「大学での『指導』」などをやめて「採用活動時期の分散化」などと言い出したのか。
理由は一つ、ナビなどが他社の追い上げによって値崩れし、儲からなくなったので、次なる「獲物」を提示したに過ぎない。
「分散化」→就活の長期化=採用活動の長期化→リクルートの「収穫期間」の長期化=リクルートの儲けのアップ。
ただ、これだけの理由である。
本当に早期離職する学生を救いたいなら、採用の応募を手書きに戻せばよい。
採用情報はホームページで公開するが、ネットでのエントリーをやめさせればよいだけの話。
このことで学生は厳選応募せざるを得なくなるし、そうなればOBに会いに行くなど、人を通じた適正な就職活動が戻ってくる。
しかし、リクルートに都合の悪い事実は一切伏せられている。
学生が早期離職をせざるを得ない環境を作り出したのはリクルートである。
その事実を隠して「提言」とはおこがましいにもほどがある。
筑摩書房の編集者は騙せても、関係者は騙せないぞ。
一見、まともな主張に見える「就活エリートの迷走」。著者はリクルート社の人間である。
就活に過剰適応した学生が見事に大手企業に就職を果たした後に現実に適応できずにドロップアウトしていくことを問題提起したかに見えるこの本。
実はよく読むと「リクルートによるリクルートのためのマッチポンプ本」だと気が付くのに、そう時間はかからない。
「エントリーシート(ES)」「自己分析」「面接」が採用選考の三本柱であり、大手企業の一斉採用が現実の就活の源であると主張する本書。
ES、自己分析、面接にうまく適応した学生が就職後に肥大化した自画像に悩む姿を「就活ゲーム」のせいとし、「ゲームのルール変更」を主張している。
問題点を指摘しながら原因の究明は避け、それでいながら解決策が提示される手際の良さ。
対策は「採用活動時期の分散化」「採用経路の多様化」だと。
なんだか、新社会人の早期ドロップアウトに全く役に立たなそうな対策である。
はっきり言おう。
就職をゲーム化したのはリクルートである。
リクナビに学生を集め、メールで洗脳して就活を煽り、大学まで出張って学生相手に「業界研究」「ES対策」「自己分析」「面接対策」を行ってぼろもうけをしたのはリクルートである。
本書で取り上げられていない就活での最大のゲーム、適性診断(SPI)を提供しているのはリクルートである。
企業に役にも立たない「構造化面接」を指導し、儲けているのはリクルートである。
そのリクルートがなぜ、「ゲーム化」「就活ナビによる学生マーケティング」「大学での『指導』」などをやめて「採用活動時期の分散化」などと言い出したのか。
理由は一つ、ナビなどが他社の追い上げによって値崩れし、儲からなくなったので、次なる「獲物」を提示したに過ぎない。
「分散化」→就活の長期化=採用活動の長期化→リクルートの「収穫期間」の長期化=リクルートの儲けのアップ。
ただ、これだけの理由である。
本当に早期離職する学生を救いたいなら、採用の応募を手書きに戻せばよい。
採用情報はホームページで公開するが、ネットでのエントリーをやめさせればよいだけの話。
このことで学生は厳選応募せざるを得なくなるし、そうなればOBに会いに行くなど、人を通じた適正な就職活動が戻ってくる。
しかし、リクルートに都合の悪い事実は一切伏せられている。
学生が早期離職をせざるを得ない環境を作り出したのはリクルートである。
その事実を隠して「提言」とはおこがましいにもほどがある。
筑摩書房の編集者は騙せても、関係者は騙せないぞ。
2010年12月22日に日本でレビュー済み
「ゲーム化し始めた就職活動」という冒頭の小見出しが効いている。大企業の人事部長すら「人柄を見切る自信がない」と言わしめる。今の大学生は、面接テクニックが余りに高度化しすぎ、人格すら切り替えて面接に対応しまっているという。「
近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 (光文社新書)
」も指摘しているが、キャラ作りが余りにうまくなりすぎている。そして、キャリア観念が強くなり、自分のキャリアデザインと異なる配属に対する拒否反応を示すことが多い。面接もキャリアデザインも、大学も企業も「よい」としてきたことだ。学生は「こういうことがしたい」「やりたいことを実現したい」と訴えて入ったのに企業は「総合職」として採用しローテで部署を回していく。その結果、「失敗を恐れる」「批判ばかりする」「やりたくないことをやりたがらない」。「新人の8割は使えない」という企業まであるという。
著者は企業と学生のマッチングを両者とも本音ベースでやりましょうという。社会の半数を大卒が占めるのに、未だにその「幹部候補生」として採用するのを改め、ごく少数の幹部候補以外は「専門職」として採り、適宜入れ替えればよいというもの。大半がリーダーになれるわけもないのにやたらリーダーシップを問う面接もどうか、というのは確かにそうだ。また、「共に働ける人材か見極める」という観点から長期のインターンシップ、縁故採用も提言している。縁故と言っても親戚や政治家といった実力と関係ないコネではなく、大学や取引先など信頼できる筋から「出来る」と推薦された人材を採る、という真っ当な縁故だ。
「横並びの就活は止めましょう」的な主張は、これまでの就活改革系の新書と同様に感じたし、理想論じゃないかとも思うが、毎年これだけの新卒者が漂流するのを見ると、なんとかならないかなあと思うのも確かだ。
著者は企業と学生のマッチングを両者とも本音ベースでやりましょうという。社会の半数を大卒が占めるのに、未だにその「幹部候補生」として採用するのを改め、ごく少数の幹部候補以外は「専門職」として採り、適宜入れ替えればよいというもの。大半がリーダーになれるわけもないのにやたらリーダーシップを問う面接もどうか、というのは確かにそうだ。また、「共に働ける人材か見極める」という観点から長期のインターンシップ、縁故採用も提言している。縁故と言っても親戚や政治家といった実力と関係ないコネではなく、大学や取引先など信頼できる筋から「出来る」と推薦された人材を採る、という真っ当な縁故だ。
「横並びの就活は止めましょう」的な主張は、これまでの就活改革系の新書と同様に感じたし、理想論じゃないかとも思うが、毎年これだけの新卒者が漂流するのを見ると、なんとかならないかなあと思うのも確かだ。
2010年12月23日に日本でレビュー済み
本書の指摘は事実かもしれないなと感じます、
社内で、
いくつか同じような状況を、
目の当たりにしたことがあります。
「キャリアとは」
「自分とは」
これらは入社に至る選考プロセスで、
学生が問われる命題ですが、
入社後は、
それらの答えとは関係なく、
配属され、マネジメントされていく、
日本企業の採用と仕事の進め方の、
いわばダークサイドを指摘した1冊です。
最終章が秀逸で、
この迷走状況の解決に向けた提言が並んでいます。
特に「就職」でなくて「就社」という考えは賛同しました。
就職というのは、
いつの時代にも悩みの多いものですが、
現在の大学生は息苦しく、自分を偽らなければ行けない点等、
同情するところが多々ありました。
社内で、
いくつか同じような状況を、
目の当たりにしたことがあります。
「キャリアとは」
「自分とは」
これらは入社に至る選考プロセスで、
学生が問われる命題ですが、
入社後は、
それらの答えとは関係なく、
配属され、マネジメントされていく、
日本企業の採用と仕事の進め方の、
いわばダークサイドを指摘した1冊です。
最終章が秀逸で、
この迷走状況の解決に向けた提言が並んでいます。
特に「就職」でなくて「就社」という考えは賛同しました。
就職というのは、
いつの時代にも悩みの多いものですが、
現在の大学生は息苦しく、自分を偽らなければ行けない点等、
同情するところが多々ありました。
2011年1月19日に日本でレビュー済み
「就活エリート」という病理現象の発生メカニズム分析それ自体は面白い。厳しい「就活戦線」を勝ち抜いて大企業に入社したはずの「就活エリート」という勝ち組が、入社3年もしないうちに使えないという烙印を押されて脱落していく病理現象。
読んでいて思ったのだが、こういう本はいったい誰が読むのだろうか? いや、いったい誰に向けて書かれた本なのだろうか?
本書で語られている日本企業とは、すべて日本の大企業の話である。この前提を知った上で、著者の言っていることを読まないと、大きく誤解しかねないだろう。
日本の大企業には、強力な存在の人事部があって採用活動をほぼ全面的に仕切っている。これは圧倒的大多数を占める中堅中小企業の現実とはまったく異なるものであることに、まずは注意しておきたい。
「就活エリート」層が、全体に占める比率がどれほどのものになるかは正確なところはわからないが、日本の総労働人口の約1/4程度しか大企業では働いていないという実態から考えれば、「就活エリート」は、さらにその一部ということになろう。
その意味では、著者は大げさに騒ぎすぎているのではないかという気がしなくもない。これは著者自身が東大の出身であり、就活には失敗した結果、アルバイトを経てその当時中小企業であったリクルートに入社した経験があるとはいえ、いわゆる一流大学卒業生に無意識のうちに親近感を抱いているためだろう。「就活エリート」たちとは、要領よく日本の大企業に就職することに成功した「勝ち組」であり、有名大学出身者の一部にみられる「病理現象」のことに過ぎない。
おそらくこの「就活エリート」問題に、真の意味で手を焼いているのは、日本の大企業の人事部ではなく、新卒者を押しつけられる現場サイドのマネージャーであろう。日本の大企業の現場マネージャーには採用権限がないからだ。日本の大企業では「長期的育成」という美名のもとに、こういった「就活エリート」が採用されるが、当事者たちにとっては Win-Win どころか Lose-Lose 状況だろう。まったくもって悪循環であり、採用する側とされる側のいずれにとっても不幸な話である。
著者は、日本の大企業における強力な人事部の存在については、いっさい疑問はさし挟んでいない。著者による「就活エリート」という病理現象の発生メカニズムの分析は興味深く読めるのに、処方箋がややお粗末なのはそのためだ。自分の商売を否定するようなことは言えないということか、それとも問題とはまったく思っていないのか。
日本の大企業の採用活動がはらむ真の問題には、最初から最後まで踏み込んでいないように私には思われた。
本書はあくまでも「就活エリート」問題に特化したものであって、現在の「就活問題」全体にかかわる問題提起ではなく、処方箋でもない。その点を了解したうえで読めば、「自己分析」シンドロームともいうべき問題の根の深さに気がつかせてくれる好著である。その意味で日本の大企業人事への警鐘と受け取られるなら、意義もあるというものだ。
現行制度を表面的に廃止したところで、真の問題解決にはならないだろう。採用する側とされる側のいたちごっこが繰り返されることになるからだ。採用活動と就職活動とはまことにもってやっかいなものである。問題の根はきわめて深い。
読んでいて思ったのだが、こういう本はいったい誰が読むのだろうか? いや、いったい誰に向けて書かれた本なのだろうか?
本書で語られている日本企業とは、すべて日本の大企業の話である。この前提を知った上で、著者の言っていることを読まないと、大きく誤解しかねないだろう。
日本の大企業には、強力な存在の人事部があって採用活動をほぼ全面的に仕切っている。これは圧倒的大多数を占める中堅中小企業の現実とはまったく異なるものであることに、まずは注意しておきたい。
「就活エリート」層が、全体に占める比率がどれほどのものになるかは正確なところはわからないが、日本の総労働人口の約1/4程度しか大企業では働いていないという実態から考えれば、「就活エリート」は、さらにその一部ということになろう。
その意味では、著者は大げさに騒ぎすぎているのではないかという気がしなくもない。これは著者自身が東大の出身であり、就活には失敗した結果、アルバイトを経てその当時中小企業であったリクルートに入社した経験があるとはいえ、いわゆる一流大学卒業生に無意識のうちに親近感を抱いているためだろう。「就活エリート」たちとは、要領よく日本の大企業に就職することに成功した「勝ち組」であり、有名大学出身者の一部にみられる「病理現象」のことに過ぎない。
おそらくこの「就活エリート」問題に、真の意味で手を焼いているのは、日本の大企業の人事部ではなく、新卒者を押しつけられる現場サイドのマネージャーであろう。日本の大企業の現場マネージャーには採用権限がないからだ。日本の大企業では「長期的育成」という美名のもとに、こういった「就活エリート」が採用されるが、当事者たちにとっては Win-Win どころか Lose-Lose 状況だろう。まったくもって悪循環であり、採用する側とされる側のいずれにとっても不幸な話である。
著者は、日本の大企業における強力な人事部の存在については、いっさい疑問はさし挟んでいない。著者による「就活エリート」という病理現象の発生メカニズムの分析は興味深く読めるのに、処方箋がややお粗末なのはそのためだ。自分の商売を否定するようなことは言えないということか、それとも問題とはまったく思っていないのか。
日本の大企業の採用活動がはらむ真の問題には、最初から最後まで踏み込んでいないように私には思われた。
本書はあくまでも「就活エリート」問題に特化したものであって、現在の「就活問題」全体にかかわる問題提起ではなく、処方箋でもない。その点を了解したうえで読めば、「自己分析」シンドロームともいうべき問題の根の深さに気がつかせてくれる好著である。その意味で日本の大企業人事への警鐘と受け取られるなら、意義もあるというものだ。
現行制度を表面的に廃止したところで、真の問題解決にはならないだろう。採用する側とされる側のいたちごっこが繰り返されることになるからだ。採用活動と就職活動とはまことにもってやっかいなものである。問題の根はきわめて深い。