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無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書 924) 新書 – 2011/9/5

3.8 5つ星のうち3.8 8個の評価

最初は無料で商品を提供しながら、最終的には利益を得ようとする「無料ビジネス」。こんな手法が社会的に求められるのはなぜか? 日本経済のゆくえを考える。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2011/9/5)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2011/9/5
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 237ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480066306
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480066305
  • カスタマーレビュー:
    3.8 5つ星のうち3.8 8個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2022年9月28日に日本でレビュー済み
なぜ「無料」で提供するサービスが成り立っているのかが解説されている。
「最初の一杯目が無料のコーヒー」と「おかわりが無料のコーヒー」のどちらがビジネスモデルとして優れているか、など実例に即した内容なので分かりやすい。

新しいビジネスモデルが次々に生まれている2022年現在のいまから考えても、フリーミアムの根本的な考え方に馴染みが薄いものにとって、ビジネスの裏側の構造を学ぶのには適している。
2012年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
無料ビジネスを2種類に分類し、「個々のお客さんとの取引において、一時的に無料で何か(商品や景品)を提供するが、トータルで利益を上げるという、従来からよくあるタイプの商売」と、この本の主題である「一部のお客さんについては、完全に無料のままタダ乗りされてもよい、という前提で、お金に余裕のあるお客さんから利益を上げるように計算した商売」について述べています。
どちらが正しいということは、もちろんありません。が、著者は後者について、お金のない客からはお金を取らず、お金のある客からたっぷり払ってもらうというやり方なので、前者よりも不景気のときに利益を上げやすいはず。だから営利企業はもっとこの方法を検討するべきだ。ただし、そのためには顧客ごとのきめ細かいマーケティング戦略が必須で、やみくもにタダで商品やサービスをばら撒けばよいというものではない。と、説いてます。

この無料ビジネスとして、典型的なところでは、携帯電話やパソコンの「基本無料」ゲームがそれです。お客さんは、自分がそう望むなら、ずっと無料でゲームを楽しめるし、一方、お金に余裕のある人はお金を払ってゲームのアイテムを買うことにより、付加的な楽しみをえることができます。(「無料」ゲームについては、金を払ってもアイテムが手に入らないことがあるギャンブル的な「ガチャ」の問題をはじめ、金を払わないとゲームのストーリーが行き詰るようにゲームの内容が細工されている場合もあり、無料と称している詐欺ビジネスではないかという点については、著者は問題点の存在を認めた上でひとまず棚上げにしています)

経済学の初歩にある「一物一価の法則」にとらわれず、「高くても金を払うことに躊躇しない人には高く、安くなければ買わない人には安く売る」というのを、カモからぼったくるアンフェアな商売と見る人もいるかも知れませんが、有料と無料で提供される商品やサービスについてきちんとした情報が示された上で、お金のある人が自分の意思で余分に払うという限りにおいては、なんら不公正ではないと思います。(無料ゲームについては、情報がきちんと提示されているかという点に問題あり)

一定の人数の客については最後までタダで商品を利用することを許容しつつ商売を成立させるためには、緻密なマーケティング戦略と顧客管理が必要で、ある会社の持つ顧客情報は非常に重要な資産であることが強調されており、この点についても同感です。

ただ、本の最後のほうにあった、公共の図書館が持っている貸し出しや閲覧の個人情報を顧客情報として出版社や本の著者に提供せよ、という主張については、ちょっと恐怖を感じました。どこの国でも、思想犯取締りの一環として、図書館の使用履歴を調査していた時代があります。図書館で借りた本の履歴が図書館の中に閉じ込められている限り、あるいはアマゾンで買った商品の履歴が、アマゾンの中に閉じこめられている限り、私は特に心配することはありません。でも、ある本を読むというのは、その思想に何らかの関心があるからなので、そういう情報が外に出るというのはかなり危うい問題をはらんでいます。「無料」どころか、どえらく高い被害を受けかねない。例えばの話、政治思想や社会運動、個別のテーマ例としては、公害や原子力発電、人種差別などに関する本の閲覧履歴が、自分のあずかり知らぬところに流れていくようなら、図書館なんて使えません。著者や出版社が自分の味方とは限らないですし。

この本や、吉本さんの他の著作にもある、顧客を客層ごとにきめ細かく分類し、緻密なマーケティング戦略を立てるという行為は、「ビジネスモデルを設計する立場」から見れば、大変に面白い話題で興味はつきません。が、一方で「企業に操られる消費者」という立場から見れば、何やら薄気味悪いものも否定できません。ある企業活動が消費者の害や脅威になると目されれば、事業存続に関わる問題になりえます。その点を考えると、単なるマーケティング目的であるとしても、顧客情報を集め保管することのリスクを、企業は十分に検討する必要があるでしょう。これは、この本が扱っている話題の範囲の外の問題なので、別の本を読む必要があります。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年1月11日に日本でレビュー済み
 2011年刊行。
 ここ数年、無料で利用できるサービスや商品が増えてきて、私のようなド貧民にはありがたい限りだが、企業はどうやってそこから利益を上げるのか非常に気になっていた。企業が提供する無料の商品やサービスは、私自身は、促販のための宣伝行為という程度の理解しかしていなかったが、本書を読むと、無料の背後に企業の巧みな価格戦略があることに驚かされる。

 価値観が多様化し、収入格差が広がっている時代だからこそ、消費者を消費行動に基づいて詳細に分類し、それに沿った価格戦略が必要になる。同一の商品を販売する際にも、他の商品やサービスと組み合わせて付加価値に差を付けて、さまざまな価格帯を準備する。その中の一つの選択肢として無料のものを有効に活用する、というのが無料ビジネスの基本的な考え方だ。

 無料ビジネスを行う目的もさまざまだ。単純に促販の場合もあれば、顧客情報を獲得し、ビッグデータの作成などに利用しようとする場合もある。

 著者によると、無料ビジネスは、個別採算型と総合採算型の2種類に分けられるという。個別採算型は、初期費用や初回利用を無料にし、その消費者の継続利用の中で採算を取ろうとする。それに対し、総合採算型は、無料によって顧客数を増やし、その一部の利用者を有料へと誘導して採算を取る。
 こうしてみると両者は異なる形で金融financeが行われていることがわかる。個別採算型は、個人が支出に余裕がなくても無料を利用してもらい、支出可能な範囲の継続利用を促すことで利益を回収していくローン型だ。もう一方の総合採算型は、支払いの難しい消費者には完全に無料で利用してもらい、支払いに余裕のある利用者にだけ、付加価値を付けたサービスを提供して利益を確保する株式型になっている。

 本書が面白い点は、無料ビジネスを紹介するだけでなく、それが広がった社会的な背景にまで言及していることだ。
 ゼロ年代のデフレ経済によって物価は下がり続けたが、その極限の形が無料ということになる。無料ビジネスはまさにデフレ経済の中から登場したものだが、一方でそれは金融financeの機能も併せ持っている。つまり、無料ビジネスは正しく運用すれば、消費不況を脱するための手段になりうるということだ。

 著者はデフレ経済の要因としてさらに興味深い分析を行っている。98年から資源の国際価格は上昇しているのに対し、日本の消費者物価は同じ年から下落に転じている。本来ならインフレ傾向になるはずだが、ここから日本はデフレ経済へと入っていく。その理由として著者は、日本の輸入依存度が極めて低いため、日本の消費者物価指数は、資源価格よりも労働コストの方に左右されやすい、という点を指摘している。多くの企業が労働コストを削減することで、資源の高等に対応しようとしたことで、その結果、賃金低下とデフレを招いてしまった。雇用の非正規化が拡大した時期とまさに軌を一にしている。

 このような格差が広がると、同じ製品を売るのにも同一価格だけでは、消費は広がっていかない。無料によって消費を喚起し、払える人から払える時期に利益を確保していく無料ビジネスは、デフレを脱却するための一つの方法として非常に有効だろう。
 無料ビジネスは、スマホのゲームで広く行われているが、説明責任があいまいなまま課金が行われることや射幸性が強いことで社会問題化している。そのため一部で無料ビジネスそのものが問題であるかのような受け止められ方がされているが、本来は企業側の意向ばかりを優先し、市場のルールを作ろうとしない政治と行政の側に問題があるのだ。せっかくの新しいビジネスモデルも日本では、市場のルールを作ろうとしない政治と行政の無為無策のため、悪質な企業が跋扈して、そのビジネスモデル自体を駄目にしてしまう。これは日本で新興企業やベンチャーが育たない最大の理由の一つだろう。要は市場が無秩序なのだ。

 本書は、単に無料ビジネスを紹介するだけではなく、その経済的な背景を説明し、無料ビジネスをめぐる問題と今後の展開まで幅広く論じていて、非常に面白い。身近にある商品をめぐってさまざまな価格戦略が行われていることが分かって興味深かった。