単なる批判に終わるのではなく。災害弱者の視点に立脚して、生活の創意工夫からそれに代わる代替案を提示している良書。
心のケアについては、通常痛みを除去するよりも、被災者自らが記録を書いたりし、痛みを「温存する」考え方の方を指示するのは本書を読んでいてページをめくるごとに「なるほど」と思わされます。
コミュニティの中での心のケアも重要視されていて、なかでも高齢の男性が独居になるとアルコール依存になるという「常識」が私たちにはありますが、あえて飲みたくなる気持ちを排除せず、会を開いて、共同飲食することで飲み過ぎが逆にセーブされるという柔軟性が紹介されています。
津波による行方不明の多い大震災で「死者」をどのように受け止めるのかが、霊性にまで話が及び、でもいろんなテーマに触れつつも、読後感は生活にピタッと密着してひとつのテーマに収斂されていきます。
リスク論では、防潮堤を取り上げながら高さの問題ではなく、まして眺望の問題ではなく、ゼロメートルの防潮堤を指向してきた気仙沼の事例を紹介しながら歴史的文化的に培ってきたウミ・オカの交通権は、都市の理屈ではない形の新たな生命倫理観を提示するものになっています。
新書ですが、まるで被災地の方々の思いを代弁するかのような中身のある一冊です。
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震災学入門: 死生観からの社会構想 (ちくま新書 1171) 新書 – 2016/2/8
金菱 清
(著)
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東日本大震災によって、災害への対応の常識は完全に覆された。科学的なリスク対策、心のケア、コミュニティ再建など、被災者の視…
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2016/2/8
- 寸法10.8 x 1.1 x 17.4 cm
- ISBN-104480068783
- ISBN-13978-4480068781
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2016/2/8)
- 発売日 : 2016/2/8
- 言語 : 日本語
- 新書 : 208ページ
- ISBN-10 : 4480068783
- ISBN-13 : 978-4480068781
- 寸法 : 10.8 x 1.1 x 17.4 cm
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2024年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本は好みです。ページ数がそんなに無いので電車の中でスマホばかりにせずたまにはイイかも
2016年3月7日に日本でレビュー済み
震災関係の学術志向の出版物の中では、群を抜く良書。外部からの視点ではなく、内部の当事者の視点に立って、被災地をめぐる諸問題を論じているところに特徴があり、心のケアから、災害死者への向かい方まで横断的に論じるものは他にない。防潮堤のあり方に焦点をあてたリスクでは、社会学はもちろんこと、心理学、宗教学、建築工学、社会福祉学に興味を持つ人に読んでいただきたい。霊性の章では、宗教者や宗教団体を調査するのではなく、普通の人々の生活に分け入ることで、宗教現象、死生観、死者儀礼を捉えようとする。よって、宗教者や宗教団体を主たる調査対象者としがちな宗教学・宗教社会学の知見とは異なるものが提示される。当事者たちの「生きやすさ」のようなものを構想する 上で非常に参考になる。震災にとどまらず、地域の行く末を考えるきっかけとして広く読まれたい一冊である。
2017年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東日本大震災を上から目線ではなく、下からの目線で捉えようという意図に異論はないのだが、一部の下からの目線だけでは汎用的な結論は導き出せない。もっと多角的な視点を統合することが必要だと思う。
本書のタイトルにある死生観からの…というサブタイトルは本書全体からはずれている。タイトルを決めた編集者は何を考えていたのだろうか。
著者は事実関係をいくつか誤認しているところがあるようだ。その誤認を元に上から目線はダメだと論じているので、説得力がない。事実関係ぐらいきちんと確認された方が良いのではないか。
本書のタイトルにある死生観からの…というサブタイトルは本書全体からはずれている。タイトルを決めた編集者は何を考えていたのだろうか。
著者は事実関係をいくつか誤認しているところがあるようだ。その誤認を元に上から目線はダメだと論じているので、説得力がない。事実関係ぐらいきちんと確認された方が良いのではないか。
2016年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文献からの引用が次から次へと出てきて、まるで多くの文献をまとめた装いで、著者が主張したいことがみえ
ない。心のケア、霊性、リスク、コミュニティ、原発災害という観点をもって、被災者の視点から災害対策を
見直す試みということだが、成功しているとは言い難い。震災に関しては、現場を離れての議論は空虚なものだ。
ない。心のケア、霊性、リスク、コミュニティ、原発災害という観点をもって、被災者の視点から災害対策を
見直す試みということだが、成功しているとは言い難い。震災に関しては、現場を離れての議論は空虚なものだ。
2017年4月8日に日本でレビュー済み
政府・被災地の外野からの無責任で短絡的な復興の押し付けを社会学的見地から批判した書。
【仮設の運営や復興住宅へのあり方】
この作者のオリジナルな発想ではないにしても、ハード優先の土建屋からは聞こえてこない、
相対的には影響力の低い主張であり、全面的に同意できるものです。
【慰霊の肯定】
心霊や民俗学というとすぐオカルトに結びつける「科学教徒」が思想の左右を問わず跋扈しています。
ですが、科学的にもほどほど納得のいく説明はつけられるものです。
不慮の災害で亡くなった近親者への思い入れが強ければ、遺族とか、地元の人達の目には見えてしまう
というのは過去の戦災・被災地でもよくあること。それを現代的に言えば心理学の現象となり、
原発神話をあっさり受け入れるような自称「科学好き」の下らないプライドを満たすために、
無闇に否定するようなものでもない。
それを利用して、あから様に金儲けだけを目的とした新宗教・カルトが入るリスクとか、
「慰霊すればいいでしょ」と言わんばかりに宗教を利用し責任問題から逃げた行政関係者の罠はあります。
(過去にも、戦争責任を問われた政治家や軍人が頻繁に使ってきた手垢の付いた指し手でもある)。
この話は以前から地元に氏子や檀家で繋がってきた神社仏閣とか、隣近所のテリトリーです。
政府や土建屋の利益を代弁する右派だけが敵ではありません。東京に住んでるコスモポリタンで人間疎外を体現する
一部無能リベラルも、「田舎のコミュニティなんて壊れればいい」と言ってますから。
表面的に脱原発とか言ってても良く観察しないとダメですね。
【放射能】
私は政府がリスクを過小に見積もっていると思いますが、強制移住の押し付けは帰還の押し付け同様、人生を壊します。
低線量被曝リスクを受入れた上で住むのなら、その選択を一部の「科学的な」反原発派が小馬鹿にしたようなことは
出来ないでしょうね。勿論、疾病罹患の危険に応じた補償はするべきです。そこが無いものとして扱う安全派と私の違い。
【津波防災批判】
これは著者が稚拙と感じます。
まず、気仙沼は震災前から津波ハザードマップの配布を全国でも先駆けて行ってきた地域の一つであり、
津波防災先進地だったという事実が書かれてない。
次に、津波防災の科学的なツールは防潮堤や嵩上げ以外にも様々なメニューがある事も書かれていない。
港湾の静謐性を保つことも兼ねて沖合に津波防波堤を構築するとか、高台への階段を整備する、
避難ビルを指定する、避難訓練を定期的に実施することは著者の言う「オカとウミの分断」を起こさないので、
三陸で積極的に取り入れられていました。大体、ハザードマップ・避難訓練と言えば近代の香りがするでしょうが、
それらは津波石碑・てんでんこの知恵を活かした面がある。
防潮堤に小窓を付けるのが土建屋の限界という記述も、著者の無知。
震災前の東北では、陸閘を積極的に整備・管理していたことを知らない(陸閘自体を知らない)のが良く分かります。
よくある反論に影響されてる節があるので自然主義信仰に当てられた馬鹿が、自然には勝てないなどと言って、
ハザードマップの不備やら南三陸の防災庁舎を引き合いに出してくるので、ついでに触れておきましょう。
恐らく著者の防災無線批判もその影響ですが、物には完全無欠は無い・ケースバイケースとしか言えないですね。
上記の各種津波防災で一命を取り留めた人たちも沢山いるのが実態です。
そういうニュースを無視するとこの本の間違いに気づかなくなる。
3番目。著者は、集団移転した先での町作りが行政主導の無機質さで進められたことと嵩上げを並べて書きます。
でも、嵩上げは標高の話であって、オカとウミの問題を除けば、上物の建物を住民の希望を入れることも可能です。
両立出来る部分も多い。
4番目として、先ほど挙げた慰霊の関心も、死者の復活を希望する流れが書かれているように、
根本では生への欲求とか価値を認めている。著者が主張するような、近代人に限った考え方ではありません。
東北以外でも水害や津波被害のあった土地では堤防の建設と共に水神を祭り、慰霊と啓発を兼ねることは
江戸時代以前から行われています。『君の名は。』が被災地で受容された
(現地の映画館で私も直接見る機会があったので知ってます)のもそういうことです。
慰霊に関心を抱くのはいいが、死を納得するために生み出した民俗信仰を「死んでもいい」的に書くのは
著者にとって他人事だからでしょう。死んでもいいなら復興住宅での孤独死を問題視する必要などない筈です。
でも違うでしょ。だから矛盾してるんです。
とは言え、星1つへの批判者達もどうかなと。中には星1つを連発するタイプもいますが、
レビュー全体の信用が無くなるから私はしたくないなぁ。
あらゆる本に5つ星を進呈する方と相似だし、「いや~俺本読まなくても良い程賢くないんだよね」という感想を抱きます。
【仮設の運営や復興住宅へのあり方】
この作者のオリジナルな発想ではないにしても、ハード優先の土建屋からは聞こえてこない、
相対的には影響力の低い主張であり、全面的に同意できるものです。
【慰霊の肯定】
心霊や民俗学というとすぐオカルトに結びつける「科学教徒」が思想の左右を問わず跋扈しています。
ですが、科学的にもほどほど納得のいく説明はつけられるものです。
不慮の災害で亡くなった近親者への思い入れが強ければ、遺族とか、地元の人達の目には見えてしまう
というのは過去の戦災・被災地でもよくあること。それを現代的に言えば心理学の現象となり、
原発神話をあっさり受け入れるような自称「科学好き」の下らないプライドを満たすために、
無闇に否定するようなものでもない。
それを利用して、あから様に金儲けだけを目的とした新宗教・カルトが入るリスクとか、
「慰霊すればいいでしょ」と言わんばかりに宗教を利用し責任問題から逃げた行政関係者の罠はあります。
(過去にも、戦争責任を問われた政治家や軍人が頻繁に使ってきた手垢の付いた指し手でもある)。
この話は以前から地元に氏子や檀家で繋がってきた神社仏閣とか、隣近所のテリトリーです。
政府や土建屋の利益を代弁する右派だけが敵ではありません。東京に住んでるコスモポリタンで人間疎外を体現する
一部無能リベラルも、「田舎のコミュニティなんて壊れればいい」と言ってますから。
表面的に脱原発とか言ってても良く観察しないとダメですね。
【放射能】
私は政府がリスクを過小に見積もっていると思いますが、強制移住の押し付けは帰還の押し付け同様、人生を壊します。
低線量被曝リスクを受入れた上で住むのなら、その選択を一部の「科学的な」反原発派が小馬鹿にしたようなことは
出来ないでしょうね。勿論、疾病罹患の危険に応じた補償はするべきです。そこが無いものとして扱う安全派と私の違い。
【津波防災批判】
これは著者が稚拙と感じます。
まず、気仙沼は震災前から津波ハザードマップの配布を全国でも先駆けて行ってきた地域の一つであり、
津波防災先進地だったという事実が書かれてない。
次に、津波防災の科学的なツールは防潮堤や嵩上げ以外にも様々なメニューがある事も書かれていない。
港湾の静謐性を保つことも兼ねて沖合に津波防波堤を構築するとか、高台への階段を整備する、
避難ビルを指定する、避難訓練を定期的に実施することは著者の言う「オカとウミの分断」を起こさないので、
三陸で積極的に取り入れられていました。大体、ハザードマップ・避難訓練と言えば近代の香りがするでしょうが、
それらは津波石碑・てんでんこの知恵を活かした面がある。
防潮堤に小窓を付けるのが土建屋の限界という記述も、著者の無知。
震災前の東北では、陸閘を積極的に整備・管理していたことを知らない(陸閘自体を知らない)のが良く分かります。
よくある反論に影響されてる節があるので自然主義信仰に当てられた馬鹿が、自然には勝てないなどと言って、
ハザードマップの不備やら南三陸の防災庁舎を引き合いに出してくるので、ついでに触れておきましょう。
恐らく著者の防災無線批判もその影響ですが、物には完全無欠は無い・ケースバイケースとしか言えないですね。
上記の各種津波防災で一命を取り留めた人たちも沢山いるのが実態です。
そういうニュースを無視するとこの本の間違いに気づかなくなる。
3番目。著者は、集団移転した先での町作りが行政主導の無機質さで進められたことと嵩上げを並べて書きます。
でも、嵩上げは標高の話であって、オカとウミの問題を除けば、上物の建物を住民の希望を入れることも可能です。
両立出来る部分も多い。
4番目として、先ほど挙げた慰霊の関心も、死者の復活を希望する流れが書かれているように、
根本では生への欲求とか価値を認めている。著者が主張するような、近代人に限った考え方ではありません。
東北以外でも水害や津波被害のあった土地では堤防の建設と共に水神を祭り、慰霊と啓発を兼ねることは
江戸時代以前から行われています。『君の名は。』が被災地で受容された
(現地の映画館で私も直接見る機会があったので知ってます)のもそういうことです。
慰霊に関心を抱くのはいいが、死を納得するために生み出した民俗信仰を「死んでもいい」的に書くのは
著者にとって他人事だからでしょう。死んでもいいなら復興住宅での孤独死を問題視する必要などない筈です。
でも違うでしょ。だから矛盾してるんです。
とは言え、星1つへの批判者達もどうかなと。中には星1つを連発するタイプもいますが、
レビュー全体の信用が無くなるから私はしたくないなぁ。
あらゆる本に5つ星を進呈する方と相似だし、「いや~俺本読まなくても良い程賢くないんだよね」という感想を抱きます。
2016年3月15日に日本でレビュー済み
あの人は逝ってしまったのだろうか?ポーリンボスの「さよならのない別れ」のなかで向きあう方法は?生ける死者という言葉から、外部ではなく内部の当事者にとって大切な何かに気づかせてくれている。
2016年3月11日に日本でレビュー済み
広告には何やら新しいことが書いてあるように見えたのですが、読んでみると、第1章では今までの復興は全然だめだ!と他者に喧嘩を売っておきながら、第2章以降は、今までの研究者の言説の引用と、自らの乏しい経験で物を言っている。一番問題だと思ったのは、”生命第一優先主義”はダメだとしながら、それをどう読者に納得させるかという点がない所。”死んでもいから海近くに住みたいと言うなら住ませてあげたらいいだろう””というなら、それを促進する仕組みを提示してほしい。