本書は、教育社会学をご専門とされる著者が、東西の「超進学校」である、開成中学高等
学校と灘中学高等学校の卒業生に質問紙調査を行い、その結果を一般大学卒業生のものと
比較することで、卒業後に何の仕事をどのようにしていて、そこに中学高校時代の教育が
どう関係しているかを探究した新書である。
近年、こういった超進学校の内実を取り上げた書籍が多く見られるが、本書はその中でも、
非常に読み応えがあり、考える契機を多く与えてくれる良書である。それは、本書にはいく
つもの特長があるからである。
まず本書のデータは、一部の著名な卒業生のものではなく、両校の校長の了解と協力の下、
多くの卒業生に実際に行った質問紙調査結果に基づいているということである。卒業生たち
がどのように成長し、キャリアを積み、学生時代を評価しているのかを問うことで、「人材
の成長を学校経験と結びつけて吟味した」(p. 192)ことがある。このようなかたちの本は
希少であるし、著者による適切なデータ処理と論理的な考察に基づいて浮かび上がる、「開成
・灘の順当な、世間の羨望を集めるキャリアを歩んでいる」卒業生像は、なるほどそうかと、
納得ができるものである。
また、開成・灘の卒業生が抱える葛藤の部分にも迫り、中高を終えるまでに学校に馴染めな
かった人も5%程度いて、就業後に自分の能力を発揮できていないと感じる卒業生も2~3割いる
ことも指摘されている。指摘だけでなく、体力がないこと、大規模組織に勤務していること、
そして興味深いのは中高時代に大きな努力と引き換えに高成績を残したことが、能力の発揮を
阻む要因として分析されている。
大変興味深く、あまり探究されていないテーマに対して、適切に分析、考察され、分かりや
すく読者に説明した大変読みごたえのある新書である。是非、後続を期待したい。
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「超」進学校 開成・灘の卒業生: その教育は仕事に活きるか (ちくま新書 1174) 新書 – 2016/3/7
濱中 淳子
(著)
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東西の超進学校、開成と灘に初めて大規模アンケート。中高時代の生活や悩みから現在の職業、年収まで赤裸々に。そこから日本の教…
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2016/3/7
- 寸法10.8 x 1.2 x 17.4 cm
- ISBN-104480068791
- ISBN-13978-4480068798
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登録情報
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- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4480068791
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- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年8月2日に日本でレビュー済み
2024年3月4日に日本でレビュー済み
本書は、灘高校、開成高校の卒業後を追いかけた一冊である。これらの高校の卒業生がその後、社会で活躍しているのか?リーダーシップを発揮しているか?など、他の高校の卒業生との比較をデータに基づいて社会学的に議論する一冊。データの解釈の話がメインなので、退屈に感じる人もいるかもしれない。また、調査は本人の自己評価に基づいているので、そこにもどれだけ信頼性がおけるのか?などが気になった。
2018年5月8日に日本でレビュー済み
有名校の出身者は、「上から目線」「変人」など、何かとイメージだけで語られがちだ。皆、自分の知っている狭い範囲の印象だけで主観を語っているからだろう。
本書はそこにメスを入れた本。著者の濱中氏が語る通り、確かにこれまでにない視点ではある。大変、興味を持って、なおかつ期待して読んだ。
結論から言えば、その機体が叶えられた部分と、がっかりした部分の両方がある。まず、様々な視点で関連データを提供し、例えば「人間関係が不得手」と行ったステレオタイプな見方をロジカルに覆したのは素晴らしい。
その反面、限界も露呈した。特に前半に述べられている分析は甘いような気がする。何度か、「えー、そうかなー」と思わされた。
何より、調査の質問内容そのものが「当人はどう思ったか」であって、それが客観的な事実かどうかはわからない。さらに、回答を寄せてくれた人は、卒業生の中でもおそらく比較的成功している人たちだろう。その一群と一般大卒者を比較するというのは・・・。かなりのバイアスがあると疑ってかからねばなるまい。
あと日本語も所々変だ。例えば、「他人には描けられないような」(90頁)って何語? さらに、「大きな苦労せず」という表現が何度も出てくるが、苦労「を」せず、が正しいのでは? 「大して苦労せず」とは言うけれど。
本書はそこにメスを入れた本。著者の濱中氏が語る通り、確かにこれまでにない視点ではある。大変、興味を持って、なおかつ期待して読んだ。
結論から言えば、その機体が叶えられた部分と、がっかりした部分の両方がある。まず、様々な視点で関連データを提供し、例えば「人間関係が不得手」と行ったステレオタイプな見方をロジカルに覆したのは素晴らしい。
その反面、限界も露呈した。特に前半に述べられている分析は甘いような気がする。何度か、「えー、そうかなー」と思わされた。
何より、調査の質問内容そのものが「当人はどう思ったか」であって、それが客観的な事実かどうかはわからない。さらに、回答を寄せてくれた人は、卒業生の中でもおそらく比較的成功している人たちだろう。その一群と一般大卒者を比較するというのは・・・。かなりのバイアスがあると疑ってかからねばなるまい。
あと日本語も所々変だ。例えば、「他人には描けられないような」(90頁)って何語? さらに、「大きな苦労せず」という表現が何度も出てくるが、苦労「を」せず、が正しいのでは? 「大して苦労せず」とは言うけれど。
2017年8月28日に日本でレビュー済み
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このような進学校に入れようと思っている方には、雰囲気は伝わると思います。ただ、データについて、「本人の評価」が中心になっているのは気になりました。ここで書いてあることと、私が一緒に仕事をさせていただいたこのような進学校の方々とでは、ずいぶん差があるなあというのが正直なところでもあります。