原著初版の1978年当時としては相当刺激的な内容だったのではないかと思います。
その後自然科学の分野は目覚しい発展を続けており、本書の内容を裏付ける検証結果が数多く出てきていることから、
改めて本書の先見性に驚かされます。
自然科学によって、これまで社会科学・人文科学の専門分野とされてきた領域が理解されてきています。
また、これらの科学を統合する分野として、進化心理学や認知神経科学といった領域も発展してきています。
しかし、未だ自然科学と社会科学・人文科学の間の大きな溝は十分には埋まっていないようです。
著者も「知の挑戦(原著初版1998年)」において、再度、最新知見に基づいて統合を図ろうとしています。
最近では、脳科学・神経科学を取り入れた心理学が出てきていますので、
これからは社会科学・人文科学サイドからの統合の試みにも期待したいと思います。
2008/3/8読了
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人間の本性について (ちくま学芸文庫 ウ 8-1) 文庫 – 1997/5/1
- 本の長さ410ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1997/5/1
- ISBN-104480083359
- ISBN-13978-4480083357
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1997/5/1)
- 発売日 : 1997/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 410ページ
- ISBN-10 : 4480083359
- ISBN-13 : 978-4480083357
- Amazon 売れ筋ランキング: - 672,573位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,926位ちくま学芸文庫
- - 2,545位科学読み物 (本)
- - 9,962位生物・バイオテクノロジー (本)
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トップレビュー
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2005年5月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、E.O.ウィルソンの三部作の完結編として書かれたものであり、ピュリッツァー賞受賞作でもある。三部作の他の二作『昆虫の社会』『社会生物学』の考え方を人間にまで敷衍して論及しようとするのが本書である。1978年に出版されたものであるが、その内容は現在においても充分大きな意味を持っており、本書においてすでに解決されていることがらについて未だに無益な論争があちらこちらでなされていることを考えても、本書は素直な気持ちでもっとよく読まれるべき書であると思う。
E.O.ウィルソンは遺伝決定論者的に見られがちであるが、決してそうではなく、あくまでも科学的・論理的に全うな立場を貫こうとしているだけであり、環境要因の影響に対しても充分に認めていることは、本書を読めば明らかである。
人間を対象とする生物学(行動遺伝学、進化心理学などを含む)は、人間の心理や行動に対する遺伝的要因の影響を完全に排除したがる一部の過激な人々から痛烈な批判を受けるだけでなく、人間を「冷めた目」で観察することをよしとしない多くの人々からもなかなか理解されにくい。しかしこの分野の学問によって人間の心理や行動はどんどんと説明されてきているのであり、人の心の「なぞ」の解明が急速に進んでいるのである。
そのことの重要性が社会一般に認知されるためにも、本書のような啓蒙的書物が必要なのだといえる。
E.O.ウィルソンは遺伝決定論者的に見られがちであるが、決してそうではなく、あくまでも科学的・論理的に全うな立場を貫こうとしているだけであり、環境要因の影響に対しても充分に認めていることは、本書を読めば明らかである。
人間を対象とする生物学(行動遺伝学、進化心理学などを含む)は、人間の心理や行動に対する遺伝的要因の影響を完全に排除したがる一部の過激な人々から痛烈な批判を受けるだけでなく、人間を「冷めた目」で観察することをよしとしない多くの人々からもなかなか理解されにくい。しかしこの分野の学問によって人間の心理や行動はどんどんと説明されてきているのであり、人の心の「なぞ」の解明が急速に進んでいるのである。
そのことの重要性が社会一般に認知されるためにも、本書のような啓蒙的書物が必要なのだといえる。
2013年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正直、理解するに安易な著作とは言い難い。しかし、何回か読むうちに理解し得るこの内容には、まさに人間という生き物の核心がふんだんに盛り込まれている。人類の持つ動物的限界と最早それを超越して先に進もうとする文明の進展。このともすれば矛盾する二つのベクトルに文字通りわが身を引き裂かれんとする人類とは如何なる生物であるのか。また、そのような人類に今後訪れる未来は輝けるものか、あるいは悲劇的なものか。自然科学と人文科学の融合を以前より提唱してきた著者の力作である。
2017年8月8日に日本でレビュー済み
人間という生き物の特徴・概要が書いてある本
人の起こすあらゆる行動や事象に対して
この本の内容を引用しながら「それはこれ」「あれはこれ」と当てはめていくことができると思う
あらゆる学問や理屈もこの一冊に集約されてしまうのでは
哲学者ショーペンハウアーの言葉に「賢い人はいつも朗らかなものだ」とある
手元にあって損は無い良書です
人の起こすあらゆる行動や事象に対して
この本の内容を引用しながら「それはこれ」「あれはこれ」と当てはめていくことができると思う
あらゆる学問や理屈もこの一冊に集約されてしまうのでは
哲学者ショーペンハウアーの言葉に「賢い人はいつも朗らかなものだ」とある
手元にあって損は無い良書です
2003年6月3日に日本でレビュー済み
著者は、いやしくも人間に関する科学は、ヒトを生物として捉える立場から展開されなければならないと主張し、その根拠を提示する。
あとがきに、著者が、アメリカ科学振興協会の席上で、著者の理論が人種差別を助長すると主張する若者から水をかけられたエピソードが紹介されているが、そもそも、このような本が敢えて書かれなければならない現状のほうがどこかおかしい。
自分たち人間は特別で価値ある存在なのだと考え、人間の特性のみに注目し、ヒトが他の生物と共有する性質から目をそらしても、人間の存在意義を高めることにはならないし、
逆に、ヒトの研究に、生物学手法、及びその成果を導入したからといって、冒涜だなどと考える必要は全くない。
本書が提唱するような誠実な態度をとること!のない、人文科学や社会科学の研究は、砂上の楼閣とならざるを得ないだろう。
あとがきに、著者が、アメリカ科学振興協会の席上で、著者の理論が人種差別を助長すると主張する若者から水をかけられたエピソードが紹介されているが、そもそも、このような本が敢えて書かれなければならない現状のほうがどこかおかしい。
自分たち人間は特別で価値ある存在なのだと考え、人間の特性のみに注目し、ヒトが他の生物と共有する性質から目をそらしても、人間の存在意義を高めることにはならないし、
逆に、ヒトの研究に、生物学手法、及びその成果を導入したからといって、冒涜だなどと考える必要は全くない。
本書が提唱するような誠実な態度をとること!のない、人文科学や社会科学の研究は、砂上の楼閣とならざるを得ないだろう。
2011年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人間の進化論をわかりやすく説明している本であると思います。生命進化で人間が出来てきているという考え方が、非常によくまとまっており、この本の大ファンになりました。
学んだポイントは以下のとおり。
・生命進化の過程で(特に多様化)人間もできており、進化の視点では、動物と人間は同じ。
・自分ひとりが生きるてまでなく、組織的に動くようになって、人類は発展した。(蟻もおなじ)
・こころの働きは、進化の過程からできている。すべて意味がある機能である。
E・Oウイルソンさん有り難うございます。
学んだポイントは以下のとおり。
・生命進化の過程で(特に多様化)人間もできており、進化の視点では、動物と人間は同じ。
・自分ひとりが生きるてまでなく、組織的に動くようになって、人類は発展した。(蟻もおなじ)
・こころの働きは、進化の過程からできている。すべて意味がある機能である。
E・Oウイルソンさん有り難うございます。
2009年6月5日に日本でレビュー済み
動物の社会行動を進化の視点から研究する「社会生物学」。
本書の著者ウィルソンは、その主要な研究者の1人である。
進化の視点から人間を含めた動物の社会行動を説明するということは、
一見すると遺伝子還元論のようにも聞こえるため、社会生物学論争とし
て議論をよんだ。しかし、社会生物学が通常とるスタンスは、遺伝的影
響と環境(文化)による影響の相互作用のもと社会行動を説明するとい
うものである。遺伝子は動物の行動を明確に決めないまでも、それを方向
付ける。しかし逆に、環境(文化)はどのような遺伝子が競争的に優位
に立つのか、あるいは個体数の上昇へとつながるのかという意味で作用
する。社会生物学の視点は、相互作用する2つの要素をもって成立して
いる。
特に、人間の場合はこの相互作用が複雑で、行動の可変幅が大きい(遺伝
子による曖昧な方向付け)ため、遺伝決定論と文化決定論の双方の
折衷案的な社会生物学的スタンスは困難がつきまとう。なぜなら、どこ
までが生物学的に決定付けられた社会行動なのか、どこまでが文化に
よって決定付けられた社会行動なのか、区別を明確にすることは非常に
難しいからである。
人間を含めた社会性動物の研究をする場合、対象となる動物によって、
<遺伝子−環境>という2つの要素のウエイトを変えていかざるをえない。
例えば、アリやハチだと本書でも指摘されているように、遺伝子によって
その行動の多くの部分が説明されるだろう。対して、人間の場合は、より
環境要因が強く作用するだろう。
人間社会を研究する社会科学が、生物学的要素を無視しているとして批判
されることもあるだろう。それは多くの場合、アリやハチの社会行動が
文化という要素を無視して語られるように、人間の社会行動から遺伝子と
いう要素を無視して語っているのである。ようはウエイトの問題で、理論・
モデルの構築は単純な前提から始めたほうが望ましいので、ノイズとして
無視しえる情報は括弧に入れて考えるのが通常の手続きだろう。個人的に
は一概に社会科学が批判されることもないように思う。
著者のスタンスに私が賛同できたかどうかは別にして、本書が興味深い
見解を多々示してくれたことは事実である。また、マックスウェーバーや
デュルケム、フロムなどの社会科学者を広く引用して、論を展開していく
のについては、教養の広さを感じた。
本書の著者ウィルソンは、その主要な研究者の1人である。
進化の視点から人間を含めた動物の社会行動を説明するということは、
一見すると遺伝子還元論のようにも聞こえるため、社会生物学論争とし
て議論をよんだ。しかし、社会生物学が通常とるスタンスは、遺伝的影
響と環境(文化)による影響の相互作用のもと社会行動を説明するとい
うものである。遺伝子は動物の行動を明確に決めないまでも、それを方向
付ける。しかし逆に、環境(文化)はどのような遺伝子が競争的に優位
に立つのか、あるいは個体数の上昇へとつながるのかという意味で作用
する。社会生物学の視点は、相互作用する2つの要素をもって成立して
いる。
特に、人間の場合はこの相互作用が複雑で、行動の可変幅が大きい(遺伝
子による曖昧な方向付け)ため、遺伝決定論と文化決定論の双方の
折衷案的な社会生物学的スタンスは困難がつきまとう。なぜなら、どこ
までが生物学的に決定付けられた社会行動なのか、どこまでが文化に
よって決定付けられた社会行動なのか、区別を明確にすることは非常に
難しいからである。
人間を含めた社会性動物の研究をする場合、対象となる動物によって、
<遺伝子−環境>という2つの要素のウエイトを変えていかざるをえない。
例えば、アリやハチだと本書でも指摘されているように、遺伝子によって
その行動の多くの部分が説明されるだろう。対して、人間の場合は、より
環境要因が強く作用するだろう。
人間社会を研究する社会科学が、生物学的要素を無視しているとして批判
されることもあるだろう。それは多くの場合、アリやハチの社会行動が
文化という要素を無視して語られるように、人間の社会行動から遺伝子と
いう要素を無視して語っているのである。ようはウエイトの問題で、理論・
モデルの構築は単純な前提から始めたほうが望ましいので、ノイズとして
無視しえる情報は括弧に入れて考えるのが通常の手続きだろう。個人的に
は一概に社会科学が批判されることもないように思う。
著者のスタンスに私が賛同できたかどうかは別にして、本書が興味深い
見解を多々示してくれたことは事実である。また、マックスウェーバーや
デュルケム、フロムなどの社会科学者を広く引用して、論を展開していく
のについては、教養の広さを感じた。