マハーバーラタの第3巻、森林の巻の前半1−178章を含む。この巻も他の巻と同様、訳者が一般読者に不要と判断した部分は省略されてるので(たとえば46-48, 79, 82章のすべてと83章1-64)、全訳ではない。本書は、本筋に関係のない挿話が多いが、そのなかで、本巻に含まれている有名なナラ王物語の部分に省略は見られないようなので、この部分は原典の全訳といえる。他には、助けを求める鳩の命を、自分の命と引き換えに守ろうとするシビ国のウシーナラ王の話などは重要(p364)。主筋では、アルジュナが父親にあたるインドラの世界に行く話やビーマの闘いなどが描かれているが、マハーバーラタの本筋を左右するような重要な出来事は、本巻にはない。ちなみに、インドラから神聖な武器を得て無敵となったアルジュナは、インドラに敵対するとはいえ、何も悪さをしていない阿修羅の勇士を何千万人も殺し、親族を殺された女性達を絶望させるという、はなはだ疑問の残る大殺戮を行っている(p482-497)。同じ風神の子ということで、ビーマとハヌマーン(この訳ではハヌーマット)は兄弟にあたり、兄であるハヌマーンがゲストとして10ページほど登場。ラーマヤナの後の老いてなお健在のハヌマーンが弟のビーマに貫禄をみせている。この巻の名言は以下。
“愛着が心の苦しみの根。人々は愛着から執着し、苦しみと結びつく。諸々の恐れは愛着より生ずる(p24)”
“愚者はいつも不満であり、賢者は満ち足りる。満足は最高の幸福である。若さ、容色、寿命、蓄財、権力、愛しいものとの交際は無常である。賢者はそれらを切望しない。蓄えある者で不幸でない者は誰もいない。泥に触れないことが、泥を払うことよりも遥かに優れている(p25-26)”
“忍耐と威光は常に優れているとは限らない。いつも忍耐する者は多くの災いを見る。従者も彼を軽蔑する。もし常に喜んでいる彼らがほんの少しでも主人から罰を受ければ、彼等は反逆して害をなす。彼の妻も、好き勝手にふるまう。(一方)その力(威光)にまかせて種々の暴力を行使する者は、友人と不和になる。害をなすにも益をなすにも、同じように力をもって臨めば、世人は彼を嫌悪する。それ故に、適切な時に柔和で適切な時に厳しくする人は、幸福を得る(p80-81)。”
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マハーバーラタ 3 第3巻(1-178章): 原典訳 (ちくま学芸文庫 マ 14-3) 文庫 – 2002/5/1
上村 勝彦
(翻訳)
- 本の長さ524ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2002/5/1
- ISBN-10448008603X
- ISBN-13978-4480086037
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2002/5/1)
- 発売日 : 2002/5/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 524ページ
- ISBN-10 : 448008603X
- ISBN-13 : 978-4480086037
- Amazon 売れ筋ランキング: - 888,066位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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