"完全に商品と化した文化は、スペクタル社会の花形商品となる運命にある。"'1967年発刊の本書は、資本主義と消費社会の拡張の果てに行き詰まり、またメディアによるスペクタル(見世物)化により『受身』『非現実性』のシステムに支配されている事への異議申し立て書にして、五月革命時に武器となった理論書。
個人的には、暇さえあればスマホを弄ってスペクタル(見世物)を眺めてしまっている自分への警鐘のために。手にとってみました。
さて、そんな本書は第二次世界大戦後の復興が完了し、冷戦時代、日本と同じく経済成長、大量消費時代を迎えたフランスを時代的な背景に全てが『商品化』され、現実性が『見世物』としてメディアイメージの内部にしか存在を許されなくなったスペクタル社会の【予定調和な物語に消費されることを拒むための戦術】として『221の様々な断片的な散文の積み重ね』という叙述形式で、資本、商品、都市や文化を対象にして書かれた【スペクタル社会を破壊する為】の弁証法的、能動的な対話や行動を促すこと『状況の構築』が意図された一冊なのですが。
率直に言って完全に『受動的に楽しめるサービス文化』YouTubeやSNS。あるいはメディアによって『パターン化された洗脳的、予定調和の物語』に慣れきっている私にとって、また当時のヨーロッパの社会的状況の把握をある程度『前提にしている』と思われる本書。著者の【テキスト単体では率直に言えば難解】だったのですが。【60ページにわたる訳者による解説】著者の状況派(シチュアシオニスト・インタナショナル)としての活動、そして本書に対する丁寧な紹介のおかげで何とか理解が追いつく?ことが出来ました。
またその上で『理論書』としてはともかく、著者が言葉にして何度も繰り返す『スペクタル(見世物、光景、見せ場)』社会。"目的は無であり、発展こそすべてである"社会に対する約50年前の指摘は、私も含めてスマホの画面で繰り広げられる映像、ゲームや動画、SNSに支配されて"我が家にいながらどこにもいない感覚を覚えている"【現代人の多くに当てはまっている気がして】その先見性に、はっと驚かされ、システムによって【観客として益々考えないようにされている】事への危機感を再確認させてくれました。
資本主義、消費社会、そしてネットやスマホ、メディア社会といった『価値システム』の弊害や行き詰まりが表出している。と、現代社会に危機感を覚えている人に特にオススメ。またシュルレアリスムやダダといったアート活動の補助線としてもオススメ。
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スペクタクルの社会 (ちくま学芸文庫 ト 8-1) 文庫 – 2003/1/8
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- ISBN-104480087354
- ISBN-13978-4480087355
- 出版社筑摩書房
- 発売日2003/1/8
- 言語日本語
- 本の長さ282ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2003/1/8)
- 発売日 : 2003/1/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 282ページ
- ISBN-10 : 4480087354
- ISBN-13 : 978-4480087355
- Amazon 売れ筋ランキング: - 230,803位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 166位フランス・オランダの思想
- - 427位西洋哲学入門
- - 826位ヨーロッパ史
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2021年3月28日に日本でレビュー済み
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初めて読んだのが今から数年前。こんなにも読み辛い本が存在するのかと・・。
しかしながら、慣れてくると癖になります。特にSNSにおいての議論というよりは「煽り合い」が好きな方へ。
しかしながら、慣れてくると癖になります。特にSNSにおいての議論というよりは「煽り合い」が好きな方へ。
2017年7月31日に日本でレビュー済み
高度資本主義社会ではあらゆる"スペクタクル"が幅をきかせている。
テレビ、新聞、ラジオ、パソコン、スマホ。
イメージやそれに附随する心理作用によって人々の世界観や"常識"が構築されていく。
また、それを疑問に付す暇もなく、次々と新たなスペクタクルが作られ、従順な人々は貪るようにそれらを消費する。
"芸術"はもはや大衆の消費物であり、システムを支えるものとなっている。
個人的にはボードリヤールの消費社会論の方が共感できる所が多いが、芸術に人生をかけたドゥボールの消費社会への苛立ちが本書から痛切に感じとることができる。
この本はまだまだ有効であり、読み返されるべき古典のひとつであろう。
テレビ、新聞、ラジオ、パソコン、スマホ。
イメージやそれに附随する心理作用によって人々の世界観や"常識"が構築されていく。
また、それを疑問に付す暇もなく、次々と新たなスペクタクルが作られ、従順な人々は貪るようにそれらを消費する。
"芸術"はもはや大衆の消費物であり、システムを支えるものとなっている。
個人的にはボードリヤールの消費社会論の方が共感できる所が多いが、芸術に人生をかけたドゥボールの消費社会への苛立ちが本書から痛切に感じとることができる。
この本はまだまだ有効であり、読み返されるべき古典のひとつであろう。
2013年6月28日に日本でレビュー済み
スペクタル、言葉をキーワードにして、現代社会を分析している。
1967年に出版され、1968年のフランスにおける社会運動にも大きな影響を与えたというが、
その内容は、現在にもほとんどが当てはまり、決して古くなっていない。
マルクス理論や、プロレタリア革命を批判的に分析しているが、その思想の基本は社会主義思想。
社会主義思想の未来への可能性を感じることもできる。
1967年に出版され、1968年のフランスにおける社会運動にも大きな影響を与えたというが、
その内容は、現在にもほとんどが当てはまり、決して古くなっていない。
マルクス理論や、プロレタリア革命を批判的に分析しているが、その思想の基本は社会主義思想。
社会主義思想の未来への可能性を感じることもできる。
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2020年3月22日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
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