茫漠たる霧の中にゾロアスターはすっぽりと包まれ、なかなか正体を現さない。読み進むうちに、多くの英知や情熱の前に徐々にその正体が現れてくる。(あくまで西洋的視点で)
結局ゾロアスターのベールは完全には脱がせることはできないながらも近い将来、今以上に解明が進むであろうことを期待させる内容である。
ゾロアスターは英語読みで、ペルシア語ではザラスシュトラ、ドイツ語ではツァラトゥストラ。ニーチェを始め多くの西洋人に影響を与えていることをこの本で知った。
ゾロアスターの生きた時代、活躍した土地についても、東方バクトリア説や西方メディア説があるようで、最近では東南シースターン説が唱えられているようである。
しかしアケメネス朝ペルシアとバクトリア地方との深い関係を考えると前6世紀のバクトラに生きた人物だったのではないかと思われる。
書題「宗祖ゾロアスター」とするには、あまりにゾロアスター当人のイメージが薄弱で、「ゾロアスター探求の歴史」とした方が良いように思う。
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宗祖ゾロアスター (ちくま学芸文庫 マ 23-1) 文庫 – 2003/7/1
前田 耕作
(著)
- 本の長さ237ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2003/7/1
- ISBN-10448008777X
- ISBN-13978-4480087775
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2003/7/1)
- 発売日 : 2003/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 237ページ
- ISBN-10 : 448008777X
- ISBN-13 : 978-4480087775
- Amazon 売れ筋ランキング: - 301,988位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 1,080位ちくま学芸文庫
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年12月12日に日本でレビュー済み
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ゾロアスター教の聖典アベスタは世界最古の経典である。 ゾロアスターが独自に構築した宗教観ではなく当時の民族、世俗宗教を彼が集大成したもので旧約聖書よりはるかに古いと考えられる。 基本的な枠組みはユダヤ教、キリスト教やイスラム教、仏教、神道に共通している。 人類が最初に神と崇めたのは太陽である。 これなくしては生物の生存が保証されないことを古代の人々は直観していた。その地上における具現者として火の礼拝を祭礼儀式に取り入れたのである。 奈良の水取を始めとする各所での火祭りはゾロアスター教の日本伝来を示唆しているのではないか。魂は不滅で冥界の入り口で最後の審判を受けるのは全宗教共通である。 マリアの処女懐胎も新約聖書の専売ではなくゾロアスター教にすでにその記述が見られる。 奇怪なことは処女懐胎できるマリアが夫ジョゼフとの間に数人の子供を産んでいることである。 ここに新約聖書の偽善性がすでに見られる。 ギリシャの哲学者たちもゾロアスター教の影響を受けていたという。 アケメネス朝ペルシャは古代の大帝国でギリシャの都市国家は全て隷属していた。 毎年の年貢支払いを拒絶したためにペルシャ戦争が起こったのである。 アレキサンドル大王はこの貴重な金文字で書かれたアベスタを散逸させている。 ササン朝ペルシャでゼンダ・ アベスタが再編集されたが3分の1程度しか残存していないという。 ボルテールやニーチェ達も反キリストのためにアベスタの現代語訳を期待していたという。 アフラ・マツダは数多くの神を従えた世界最古の唯一神であった。
2012年5月26日に日本でレビュー済み
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今から十数年前、大学生であった頃にニーチェの『ツァラトゥストラはこう語った』を読んだのですが、正直なところ難しくて良くわかりませんでした。 そもそもツァラトゥストラ=ゾロアスターであ
ること自体を最近まで知らなかったので、理解できるはずもなかったのですが。
『ツァラトゥストラはこう語った』を再読する前に、まずはゾロアスターについての基本的な知識を得たいと思い、本書を手にしました。 読み進めるごとに少しずつ「ゾロアスターとは何者か?」ということを知り得る構成にしてあるのだと思いますが、予備知識のない私のような読者にとっては、まず冒頭で「伝説ではこのように言われています」というような紹介をして頂いた方がありがたいように思います。 その上で、ゾロアスターの実像に迫っていけば良いと思うのです。 何もわからないまま読んでいくことにはかなりの忍耐力が求められますので、半分にも満たないところでやめてしまう方が多く出てしまう可能性があります。 実際、途中までは謎解きのような雰囲気もありそれなりに楽しめたのですが、あまりにも多くの説が紹介され過ぎている為、何が信用に足る見解なのかが見えなくなりました。 また、登場する人物名前の表記もたくさんの言語で記載されているので、それが誰の話をしているのか、同一人物の話なのかもわからなくなりました。
著者のたどり着いたゾロアスター像は『ゾロアスターの生涯』の章(P.114-158)に描かれています。 私のような初心者はこの章をまず読んで、最初に戻るのが良いのかもしれません。
諸説あるからこそ魅惑的な存在なのかもしれませんが、あえて、ある程度説を絞り、著者なりのゾロアスター像をより鮮明に描かれた方が良かったのではないでしょうか。
***
P.78 『未知の世界に挑戦するために、デュペロンはまず現場に行き、言語を学び、歴史と宗教を理解することが必要であることを知っていたのである。』『とりわけ宗教の歴史を知るには、原典の言葉をわが物にしてから原典を読まなければばらないというのがデュペロンの信条であった。 そうして初めて原典の時代をおさえることができる。』
素晴らしい言葉だと思います。
ること自体を最近まで知らなかったので、理解できるはずもなかったのですが。
『ツァラトゥストラはこう語った』を再読する前に、まずはゾロアスターについての基本的な知識を得たいと思い、本書を手にしました。 読み進めるごとに少しずつ「ゾロアスターとは何者か?」ということを知り得る構成にしてあるのだと思いますが、予備知識のない私のような読者にとっては、まず冒頭で「伝説ではこのように言われています」というような紹介をして頂いた方がありがたいように思います。 その上で、ゾロアスターの実像に迫っていけば良いと思うのです。 何もわからないまま読んでいくことにはかなりの忍耐力が求められますので、半分にも満たないところでやめてしまう方が多く出てしまう可能性があります。 実際、途中までは謎解きのような雰囲気もありそれなりに楽しめたのですが、あまりにも多くの説が紹介され過ぎている為、何が信用に足る見解なのかが見えなくなりました。 また、登場する人物名前の表記もたくさんの言語で記載されているので、それが誰の話をしているのか、同一人物の話なのかもわからなくなりました。
著者のたどり着いたゾロアスター像は『ゾロアスターの生涯』の章(P.114-158)に描かれています。 私のような初心者はこの章をまず読んで、最初に戻るのが良いのかもしれません。
諸説あるからこそ魅惑的な存在なのかもしれませんが、あえて、ある程度説を絞り、著者なりのゾロアスター像をより鮮明に描かれた方が良かったのではないでしょうか。
***
P.78 『未知の世界に挑戦するために、デュペロンはまず現場に行き、言語を学び、歴史と宗教を理解することが必要であることを知っていたのである。』『とりわけ宗教の歴史を知るには、原典の言葉をわが物にしてから原典を読まなければばらないというのがデュペロンの信条であった。 そうして初めて原典の時代をおさえることができる。』
素晴らしい言葉だと思います。
2009年4月8日に日本でレビュー済み
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本書は西欧におけるゾロアスターの伝聞を中心に描いたものであり、「宗祖ゾロアスター」というよりは、「ゾロアスター物語」といった方が似つかわしいかもしれない。
したがって宗教としてのゾロアスター教や、開祖としてのゾロアスターの人物像などを求める方には、まったく方向違いといわざるおえない。
むろんゾロアスターの歴史的実態は、21世紀の現在も9割がたは霞の向こうであるから、仕方のないことではあるが。
もし本書が目指すものが、西欧におけるゾロアスターというものであるなら、それぞれの思想や宗教との接点などを詳しく講じた上、掘り下げた考察が欲しかった。
したがって宗教としてのゾロアスター教や、開祖としてのゾロアスターの人物像などを求める方には、まったく方向違いといわざるおえない。
むろんゾロアスターの歴史的実態は、21世紀の現在も9割がたは霞の向こうであるから、仕方のないことではあるが。
もし本書が目指すものが、西欧におけるゾロアスターというものであるなら、それぞれの思想や宗教との接点などを詳しく講じた上、掘り下げた考察が欲しかった。
2013年8月23日に日本でレビュー済み
ゾロアスターの生涯や、その教えの内容を記した部分もあるが、
本の内容の大部分は、ヨーロッパ世界が、どのようにゾロアスターを見ていたのか、という点になっている。
アリストテレスや、プラトンから、ヴォルテール、ニーチェに至るまで、
ヨーロッパ人にとっては、ゾロアスターは、なぜか、ずっと関心の的だった。
中でも、その聖典を求めて、インドにまで到達した、18世紀のデゥペロンという人物の話がおもしろかった。
本の内容の大部分は、ヨーロッパ世界が、どのようにゾロアスターを見ていたのか、という点になっている。
アリストテレスや、プラトンから、ヴォルテール、ニーチェに至るまで、
ヨーロッパ人にとっては、ゾロアスターは、なぜか、ずっと関心の的だった。
中でも、その聖典を求めて、インドにまで到達した、18世紀のデゥペロンという人物の話がおもしろかった。
2010年2月15日に日本でレビュー済み
1933年に生まれ、64年に名古屋大学アフガニスタン学術調査団に参加して以来、中央アジア文化に魅せられた研究者が、断片的な情報をつなぎ合わせて1997年に刊行したゾロアスターの「漂伝」。スピターマ家出身のゾロアスター(ザラスシュトラ)は西洋世界が初めて知ったアジアの宗教者であったが、その生没年(前1000〜前600年のいつかに生まれたらしい)も生誕地(バクトリアかメディアか)も未だ特定されていない、謎の人物である。そのため、古代ギリシア人以来、西洋人たちはこの祖師に対して、律法者、バクトリア王、魔術師、占星術師、あるいは聖書を相対化しうる存在など、さまざまなイメージを膨らませてきた。近世になり、ペルシアやインドでゾロアスター教徒が未だ残存していることを知った西洋人たちは、その教えや習慣を記録し始め、とりわけアンクティル・デュペロンはインドに渡り、東方イランの独特の言語で書かれた聖典アヴェスタ(ササン朝期に編集)を入手し、その翻訳に努力した。これにより、ゾロアスターの実像の断片が、西洋でも少しずつ知られるようになる。彼は祭官であり、30歳で神と対話し、祖先崇拝的な多神教を批判し、牛や酒の供犠の禁止、善悪二元論とアフラ・マズダー崇拝、火の祭儀、救世主による最後の審判を説き、ウィシュタースパ王の帰依を受けたという。しかし、それ以上のことは未だになかなか分からず、ニーチェに見られるように、この祖師に自由な想像力を働かせる動きはその後も続く。著者はゾロアスターを西洋人が母斑のように気にし続けた存在であるとし、以上のような西洋におけるゾロアスターおよびゾロアスター教(徒)イメージの変遷を追っている。ただ私見では、著者自身が漂伝と言っている通り、叙述が整理されずに並べられている感もあった。