この文庫のオリジナル版は、昭和6年に発行されておりまして、恐らくは、水木しげる先生も佐藤有文先生も参考に使われたであろうと思われる、まさに妖怪本の金字塔です。鬼太郎アニメや子供向け妖怪図鑑などで目にする、ややマイナーな外国妖怪たちの名前が、カタカナ表記ではなく、英字(!)でポンポンポーンと次々に紹介されています。トンデモ妖怪ファンの方でしたら、手元に置いといても、決して損はない一冊だと言えるでしょう。
しかし、それ以上に、この本の内容のどこが衝撃的かと言いますと、プラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」(1897年)の事を「近頃、最も売れた本」などと書いている点でして、つまり、翻案に用いた原書の内容からして、そこまで古いのであります。我々現代人の思い描く吸血鬼のイメージは完全にドラキュラ伯爵さまですが、この「吸血妖魅考」では、実に、ドラキュラ登場以前の吸血鬼がどんなものであったかが、当時の人間の感覚で書かれていて、たいへん勉強になるのでありました。
解説は、井村君江女史が担当しており、この本の学術的権威を、さらに高めています。
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吸血妖魅考 (ちくま学芸文庫 ヒ 7-1) 文庫 – 2003/8/1
モンタギュー サマーズ
(著),
日夏 耿之介
(著)
- 本の長さ413ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2003/8/1
- ISBN-104480087826
- ISBN-13978-4480087829
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2003/8/1)
- 発売日 : 2003/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 413ページ
- ISBN-10 : 4480087826
- ISBN-13 : 978-4480087829
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,117,006位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,574位昔話・伝承
- - 2,465位ちくま学芸文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2003年12月16日に日本でレビュー済み
イギリスの悪魔学研究者サマーズの2冊の著作、The Vampire; his Kith and Kin(1928)とThe Vampire in Europe(1929)を、日夏が再構成して一冊にまとめた吸血鬼についての事例紹介本。全訳ではない。純粋な翻訳でもなく、日夏の言葉が随所に挿入されている。もともとは1931年に出された著作であり、古い文章を読み慣れていない人には難しいかも知れない。
第一編では古代における吸血鬼思想の発生について、第二編では近代ヨーロッパ各地の吸血鬼が取り上げられている。サマーズの原著がもともと様々な著者による報告や物語を集めた内容であり、本書も事例の羅列が中心になってる。
本書では腐らない死体と吸血鬼(生ける死者)との関連性が強調されており、吸血鬼の発生と死体の発掘、死体を滅ぼすことによる退治が常にセットになって語られる。腐らない死体については、プリングル『ミイラはなぜ魅力的か』や原克『死体の解釈学』など数多くの書物が書かれている。しかしそれらが具体的に吸血鬼や狼男と結び付いて研究されることは少ないように思う。そのあたりの綜合が今後は必要になってくるのではないだろうか。
第一編では古代における吸血鬼思想の発生について、第二編では近代ヨーロッパ各地の吸血鬼が取り上げられている。サマーズの原著がもともと様々な著者による報告や物語を集めた内容であり、本書も事例の羅列が中心になってる。
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