講演、手紙、インタビューなどから構成されている本書の良いところは、とにかく分かりやすくなっているということ。「単純化」のすべての欠点に抗ってでも分かりやすい(インタビューの中で「単純化」についても言及されています)。特にデリダの場合、一度にたくさんのことを考えていることと、書くたびに用語を変えてゆくということが重なって単独の著作は決して分かりやすくないから。
特におススメなのは、ルソーとド・マンを論じた「タイプライターのリボン」。面白すぎる。
本書とともに、90年代後半以降、映像メディア支配の時代が決定的になっていながら文学に、文字にこだわるデリダの理由とその限界を考える必要があると思います。個人的には、「外部のない世界」になりがちなメディア論に対して、常に「差延」「外」「他者」を考え、かつ、そのうえでいかに連帯するかの筋道を考えたデリダは稀有な、しかしまっとうな哲学者だと思います。まず肯定する。歓待すること。同時に、「痕跡は消える」というように、文字が何かを伝える力が弱いこと(デリダは承知でそこに拘り、肯定的に評価するのですが)は、映像メディア世界の現状でもっと考えられなければならないところだと思います。
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パピエ・マシン 上 (ちくま学芸文庫) 文庫 – 2005/2/9
物質と記憶
- 本の長さ394ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2005/2/9
- ISBN-10448008889X
- ISBN-13978-4480088895
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2005/2/9)
- 発売日 : 2005/2/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 394ページ
- ISBN-10 : 448008889X
- ISBN-13 : 978-4480088895
- Amazon 売れ筋ランキング: - 549,805位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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