見ることは判断し決定することの入り口であり、見ることのできるものは見るべきであり、見なければならない、と思う。
帯には写真・美術評論集とあるが、著者が問いかける本質はあくまでも見ることそのものの意味であり、写真や絵、彫像その他はそのための一つの材料に過ぎない。
内容は「なぜ動物を観るのか?」、「写真を使う」、「生きられた瞬間」の三部からなり、二部と三部はそれぞれいくつかの短い評論からなる。
・「写真を使う」のうちの一つ「写真を使う スーザン・ソンタグに捧ぐ」について・・・
ソンタグの「写真論」を引用しながら写真が有する課題に関しての論評。ここまでとは異なり言葉が入り乱れ、若干わかりづらいが私として大事なポイントは二つほどかと思う。
一つは、“写真は人々の悲劇を写しとり、我々はその写しとられた悲劇を事実として知るだけでしかない。写真の中の人に、私はあなたの悲劇を知っている、と伝える事さえできない。ただ知るだけ、あるいは悼むだけでも十分なのである”とバージャーは言う。
もう一つは、“写真は、社会的経験、社会的記憶の足りない部分、説明不足な部分を穴埋めし、そして新たな物語を作り出すのである”ということ。我々は写真を通して一つの出来事を知り、それによって自分の世界あるいは自分たちの世界の隙間を埋め、さらに膨らまし色づけていくのである。
引用しているソンタグの『写真は単なるイメージではなく、現実の解釈である』という言葉は、近藤耕人訳の「写真論」の中では『写真は単なる映像や現実の一解釈ではない』となっていて、意味的に微妙な違いがある。バージャー自身はこの本の中では、『写真は被写体を演出せず、真似せず、解釈しない』と言っている。
見解は誰しも少しずつ変って行くのはやむを得ない。
・「生きられた瞬間」・・・
ベーコンとディズニー、ローリー、ミレー、クールベ、ターナー、ルオー、マグリット、ハルス、ジャコメッティ、ロダンなどの生き方や作品の見方を解説していて勉強になる。特にローリーに関しては日本語の文献も少なくありがたい。
最後の「野原」で、バージャーは風景としての理想的な野原をイメージし、そしてその風景の中に、その風景に相応しい理想的な出来事をイメージする。“単なる”野原からこれだけのイメージを引き出せるところが凄い。
いずれも私たちの見るという行為とそれから導き出されることに関する、刺激的な評論集です。
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見るということ (ちくま学芸文庫) 文庫 – 2005/8/10
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- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2005/8/10
- ISBN-104480089306
- ISBN-13978-4480089304
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2005/8/10)
- 発売日 : 2005/8/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4480089306
- ISBN-13 : 978-4480089304
- Amazon 売れ筋ランキング: - 125,523位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 74位アート・芸術
- - 451位ちくま学芸文庫
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- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2013年2月27日に日本でレビュー済み
美術評論家、小説家、脚本家など多彩な活躍をするバーシャーによる、写真論、美術家論のアンソロジー。
特に面白かったのは、スーザン・ソンダクの『写真論』をもとに、写真を論じた、”写真を使う”と、あまり知られていない彫刻家を論じた”ロメーヌ・ロルケ”。
”写真を使う”では、写真というもの意味が、個人にとっては、単なる記憶の断片だが、社会にとっては、それが支配の道具ともなる、という側面を多面的に論じている。
”ロメーヌ・ロルケ”では、自然の石をそのままに近い形で利用する彫刻家の作品が、芸術とは何か、という根本的な問いかけを行っている、という趣旨の内容。
その他の文章も、それぞれ短く、読みやすいが、内容は、いずれも芸術の本質をついている。
特に面白かったのは、スーザン・ソンダクの『写真論』をもとに、写真を論じた、”写真を使う”と、あまり知られていない彫刻家を論じた”ロメーヌ・ロルケ”。
”写真を使う”では、写真というもの意味が、個人にとっては、単なる記憶の断片だが、社会にとっては、それが支配の道具ともなる、という側面を多面的に論じている。
”ロメーヌ・ロルケ”では、自然の石をそのままに近い形で利用する彫刻家の作品が、芸術とは何か、という根本的な問いかけを行っている、という趣旨の内容。
その他の文章も、それぞれ短く、読みやすいが、内容は、いずれも芸術の本質をついている。
2002年2月12日に日本でレビュー済み
バージャーのエッセイ集。特に写真に関するものが多いが,絵画も含めて,映像メディア全般に関するもの。