「『言語』こそが、人間をまさに人間的たらしめている人間の秘密を、最も十全に、そして最も明白に表示している」と著者は「あとがき」で書いている。この本は、表題の「恋愛の不可能性について」を含む、序章を合わせれば全部で10の論文を一冊したものである。言語をめぐっての考察だという点では共通しているが、それぞれ独立して読めるようになっている。
序章「これは愛じゃない」と第1章「恋愛の不可能性について」は、扱うテーマが愛や恋愛なのでまだわかりやすく、愛することによってなぜ不安が生じるのかという説明が面白かった。
が、全章を通して言語哲学が絡んでいるので自分にとってはかなり難しく、この本が言いたいことの半分も理解できていないと思う。
著者の大澤真幸は社会学者であるが、同じ社会学者である宮台真司が「最近数学ができないのに哲学をやるやつが増えている」というようなことを言っていた。
その通り、数学を理解しないままこの本を読んでもしっかりとできなかったので、めちゃくちゃ悔しい。
自分にとっては、これを機会に言語哲学を勉強するぞ!とはっきりと思えた記念すべき本。
内容が理解できていないのにも関わらず評価したくないが、「評価無し」を選ぶことができないので、5点。おそらく分かる人にとってはとても面白い内容だから。
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恋愛の不可能性について (ちくま学芸文庫 オ 15-1) 文庫 – 2005/12/1
大澤 真幸
(著)
- 本の長さ309ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2005/12/1
- ISBN-104480089586
- ISBN-13978-4480089588
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2005/12/1)
- 発売日 : 2005/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 309ページ
- ISBN-10 : 4480089586
- ISBN-13 : 978-4480089588
- Amazon 売れ筋ランキング: - 575,254位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年5月3日に日本でレビュー済み
燃えるような恋愛をしたこともない不細工な社会学者がいわゆる「社会学的に」(「社会学」はそれ独自の学的対象をもっていない中途半端な「学問」にすぎないわけだが)恋愛なるものを考察すると、「恋愛の不可能性」という命題が出てくるのは、よくわかる。しかし狂い死にしそうな大恋愛の体験者から言わせてもらうと、こんな議論は屁の突っ張りにもならない。
2009年8月18日に日本でレビュー済み
橋爪大三郎と並んで現代日本を代表する社会学者である大澤真幸による論文集である。
タイトルこそ『恋愛の不可能性について』であるが、全ての論文が恋愛にかかわっているわけではない。「他者」がコンセプトとなっているような論文が多く収録されているという印象を受ける。
愛とはもう一つの宇宙を承認することである。しかし宇宙とはその定義上、一つでしかありえない。複数の宇宙は宇宙ではない。と同時に唯一の宇宙もまた、複数性を前提しなければ唯一性を獲得することができない。自己と他者、地と図の反転。言語や貨幣の問題を絡めながら、哲学的な議論が展開される。
個人的には第7章「表現の禁止を経由する表現」が興味深かった。古代ユダヤの文化(ヘブライズム)と古代ギリシアの文化(ヘレニズム)において、後者の芸術的豊饒に対する前者の芸術的貧困は何に基づくのか。大澤はユダヤが一神教であることとギリシャが多神教であることとの対比に注目する。多とは複数であり、宇宙内部での並存および表現が可能であるのに対し、唯一性とは宇宙との合一を意味するために原理上表現することができない。ユダヤ教の偶像崇拝禁止はこれに基づいており、表現の禁止に伴う芸術的貧困は必然的帰結である。またそのユダヤ教からキリスト教が、すなわちキリストの死によって成立するところの宗教が派生したというのも何やら意味深である。
大澤の著作を読んでいていつも圧倒されるのは、その広範かつ深遠な知識の量である。しかし一方でその知識が災いして、大澤自身の独創的見解が見えにくくなっていることも否めない。すでに充分な実績があるが、今後も目が離せない哲学系社会学者である。
タイトルこそ『恋愛の不可能性について』であるが、全ての論文が恋愛にかかわっているわけではない。「他者」がコンセプトとなっているような論文が多く収録されているという印象を受ける。
愛とはもう一つの宇宙を承認することである。しかし宇宙とはその定義上、一つでしかありえない。複数の宇宙は宇宙ではない。と同時に唯一の宇宙もまた、複数性を前提しなければ唯一性を獲得することができない。自己と他者、地と図の反転。言語や貨幣の問題を絡めながら、哲学的な議論が展開される。
個人的には第7章「表現の禁止を経由する表現」が興味深かった。古代ユダヤの文化(ヘブライズム)と古代ギリシアの文化(ヘレニズム)において、後者の芸術的豊饒に対する前者の芸術的貧困は何に基づくのか。大澤はユダヤが一神教であることとギリシャが多神教であることとの対比に注目する。多とは複数であり、宇宙内部での並存および表現が可能であるのに対し、唯一性とは宇宙との合一を意味するために原理上表現することができない。ユダヤ教の偶像崇拝禁止はこれに基づいており、表現の禁止に伴う芸術的貧困は必然的帰結である。またそのユダヤ教からキリスト教が、すなわちキリストの死によって成立するところの宗教が派生したというのも何やら意味深である。
大澤の著作を読んでいていつも圧倒されるのは、その広範かつ深遠な知識の量である。しかし一方でその知識が災いして、大澤自身の独創的見解が見えにくくなっていることも否めない。すでに充分な実績があるが、今後も目が離せない哲学系社会学者である。
2020年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
思索の楽しさに満ちているが、ではこの本に書いてあるようなことを理解してくれる女性がいるかというと、相当教養のある女性でもそうそういないんじゃないかな。
つまりそれこそが、恋愛の不可能性なのかも。
つまりそれこそが、恋愛の不可能性なのかも。
2012年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大澤真幸は言う事はだいたい一貫している。他者を理解する事は可能だろうかなど。難解な箇所も随所にあったが、言おうとしている事は掴めた気がした。
2007年9月26日に日本でレビュー済み
『恋愛』
という現象、或いは行為、もしくは状態について凄く独創的な考察をしてる本だと思います。
ルージュモンやスタンダールなど、恋愛について考察した人は世界的に有名な者だけでも過去に数人いますが、大澤真幸がこの本でしている考察は、多分もう少し本質的なものです。他者を好きになる=一緒にいたい、いるだけで幸せ、キスしたい・・・などの欲求が恋愛からは不可分であり、むしろそれらの欲求の総体が恋愛であるともいえるかもしれませんが、この本ではつまりそれら欲求が「どういう共通構造から発生してくるのか」ということを問うことによって、「だから最終的に恋愛とは不可能性をその本質に内包している」という結論に至るという、かなりアヴァンギャルドな本です。
恋愛してる人、フられた人、とりあえず一回は読むべし。
という現象、或いは行為、もしくは状態について凄く独創的な考察をしてる本だと思います。
ルージュモンやスタンダールなど、恋愛について考察した人は世界的に有名な者だけでも過去に数人いますが、大澤真幸がこの本でしている考察は、多分もう少し本質的なものです。他者を好きになる=一緒にいたい、いるだけで幸せ、キスしたい・・・などの欲求が恋愛からは不可分であり、むしろそれらの欲求の総体が恋愛であるともいえるかもしれませんが、この本ではつまりそれら欲求が「どういう共通構造から発生してくるのか」ということを問うことによって、「だから最終的に恋愛とは不可能性をその本質に内包している」という結論に至るという、かなりアヴァンギャルドな本です。
恋愛してる人、フられた人、とりあえず一回は読むべし。
2003年2月28日に日本でレビュー済み
恋愛とは何か、他者とは何か。相手を理解するということはどういうことなのか。こういった疑問に言語学の立場からひとつの答えを与えてくれる本である。
多少難解な部分もなくはないが、言語学用語を用いて説明されることで、愛することによって不安が生じるのはなぜなのか、理解ができる気がした。
文化、メディア、コミュニケーションについても触れているので、今の社会の人との関係性などを考える契機となったように思う。
多少難解な部分もなくはないが、言語学用語を用いて説明されることで、愛することによって不安が生じるのはなぜなのか、理解ができる気がした。
文化、メディア、コミュニケーションについても触れているので、今の社会の人との関係性などを考える契機となったように思う。