『偶然の本質』というタイトルに惹かれて買いましたが、
内容はそれについての議論というよりは、ESP(超感覚知覚)というものも、
現代の科学でおいてはマジメに考えることができるものなんですよ、ということを丁寧に、
120%文系の人間にもわかりやすくて慎重な文章で、滔々と案内してくれる、そういう内容の本でした。
結局人間は人間のものの見方でしか世界を見ることができず、
また現在その「人間の見方」とされているものの見方は西洋が古代ギリシャ・ローマ時代より培ってきた
思想的背景を基盤とするもので、それに倣って科学的探求を続けてきた結果、
どうもその範疇の言葉では表現しきれない状況になってきた、そこでそういう状況になったときに、
これまでそういう見地から「非科学的」と目されてきた超能力
(もっと言うと、こういう超能力という仮定の仕方だって、ものすごく西洋的、
キリスト教的なものの見方の反映に他ならないのですが。)だとか、
そういうものを洗いざらい俯瞰してみたときに、どうもこれは何か今の科学では解明できない、
ものすごく大きな力が働いているに違いない、という結論に達した、とまとめてみればなんだそれ、
というくらい月並みな表現に落ち着いてしまいましたが、
とにかくそういう何かについて探求した結論を述べた本というよりかは、
何かについての探求の最新の状況をルポした、そんなふうな本でした。
けれども初版が1972年の本なので、もちろん今の科学はこれよりも進んでいるはず。
今読んで何か有意義な知識が得られるかどうかは正直よくわからない、
上述したとおり120%文系の僕でも古臭く感じる記述が多々見受けられた本なので、
この著者、アーサー・ケストラーさんの本をたくさん読みたい!
という方以外には特にアピールする点のない本かもしれません。
文系だけどこういう文系の内容交じりな理系本を読みたいという方にもオススメです。
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偶然の本質: パラサイコロジーを訪ねて (ちくま学芸文庫 ケ 1-2) 文庫 – 2006/7/1
- 本の長さ260ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2006/7/1
- ISBN-104480090053
- ISBN-13978-4480090058
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2006/7/1)
- 発売日 : 2006/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 260ページ
- ISBN-10 : 4480090053
- ISBN-13 : 978-4480090058
- Amazon 売れ筋ランキング: - 826,264位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年8月4日に日本でレビュー済み
副題通りESPを論じたもので、A・ケストラーらしく
そのいかがわしさを充分わきまえたうえで抑制の利いた
記述に留意はしている。
現代物理学(量子論)が切り開いた常識を超える世界観
を因果律とは異なるもう一つの(非因果的)原理を開示
するものととらえる点は、F・カプラの「タオ自然学」
でエポックになったニューサイエンスにもはやおなじみ
の図式だ。
ESP(超感覚知覚)とPK(念動)をきちんと峻別し、
後者の可能性を疑問視するのも、エネルギー的原理(要
は因果律)とは異なる原理を想定するからだ。
同様の関心から、心的動機が物理的身体の変化の原因と
なる原理(何故「腕をあげよう」という意思が脳のパル
スという物理的現象を引き起こしうるのか)や、獲得形
態の遺伝などが論じられている。
ちなみに、前者はまさに所謂「心の哲学」でライルやサ
ールが論じた問題でもある。
ケストラーはESPの存在は認めざるをえないものであ
るという立場(本書で明言している)。
よりどころとしては、本書でも頻繁に引用されるJ・B・
ラインらによる実験結果を客観的と評価してのことのよ
うである。獲得形態の遺伝についても認めるような記述
がある。
これらも彼のいう非因果的原理の現われ方の一つ、とい
うことなのだと思うが、シェルドレイクの「形態形成場」
と同様に客観的な事例がない限りは(可能性は否定しな
いが)形而上学としてしか読めない。
ESP物に限らず一般向け科学書は本質的には皆同じな
のだが、実験結果の詳細について読者は判断が下せない
ので、どうしても「ほんまかいな?」は残ってしまうし、
テーマがテーマだけに本書は余計そういう読後感が強い。
所謂「反証可能性」という観点からは、明らかに科学と
しては認められないのでしょう。
そのいかがわしさを充分わきまえたうえで抑制の利いた
記述に留意はしている。
現代物理学(量子論)が切り開いた常識を超える世界観
を因果律とは異なるもう一つの(非因果的)原理を開示
するものととらえる点は、F・カプラの「タオ自然学」
でエポックになったニューサイエンスにもはやおなじみ
の図式だ。
ESP(超感覚知覚)とPK(念動)をきちんと峻別し、
後者の可能性を疑問視するのも、エネルギー的原理(要
は因果律)とは異なる原理を想定するからだ。
同様の関心から、心的動機が物理的身体の変化の原因と
なる原理(何故「腕をあげよう」という意思が脳のパル
スという物理的現象を引き起こしうるのか)や、獲得形
態の遺伝などが論じられている。
ちなみに、前者はまさに所謂「心の哲学」でライルやサ
ールが論じた問題でもある。
ケストラーはESPの存在は認めざるをえないものであ
るという立場(本書で明言している)。
よりどころとしては、本書でも頻繁に引用されるJ・B・
ラインらによる実験結果を客観的と評価してのことのよ
うである。獲得形態の遺伝についても認めるような記述
がある。
これらも彼のいう非因果的原理の現われ方の一つ、とい
うことなのだと思うが、シェルドレイクの「形態形成場」
と同様に客観的な事例がない限りは(可能性は否定しな
いが)形而上学としてしか読めない。
ESP物に限らず一般向け科学書は本質的には皆同じな
のだが、実験結果の詳細について読者は判断が下せない
ので、どうしても「ほんまかいな?」は残ってしまうし、
テーマがテーマだけに本書は余計そういう読後感が強い。
所謂「反証可能性」という観点からは、明らかに科学と
しては認められないのでしょう。
2008年3月21日に日本でレビュー済み
ESPを科学しようとする態度は、危険なものに向かっていく子供のようなものかもしれません。訳者の村上陽一郎もあとがきで書いているように、題材が危険なため、取り扱いには注意が必要だと思われます。
長らく読まずに、積ん読にしていましたが、読み返してみて、P20-21,P24-25が落丁していることに気がつきました。ここまで読み進んでいなかったか、ESPのついては読み飛ばしていたのかもしれません。
続きのレビューは全部揃ったら書きます。ごめんなさい。
長らく読まずに、積ん読にしていましたが、読み返してみて、P20-21,P24-25が落丁していることに気がつきました。ここまで読み進んでいなかったか、ESPのついては読み飛ばしていたのかもしれません。
続きのレビューは全部揃ったら書きます。ごめんなさい。