以前からこの本を読んでみたかったので、今度、文庫で出ているのを知って、さっそく買ってみた。
この本は、もともと、1984年に出版されたもの。この段階ではまだ「フェルマーの大定理」はワイルズによって証明されておらず、時流に乗って企画/出版されたのとは訳が違う。
著者の足立氏はもともと、整数論や数学史などが専門で、「フェルマーの大定理というプリズムを通して見た整数論史」という目論見で書かれた。だから、内容も、サイモン・シンの大傑作とは異なり、かなり専門的で、難しい数式がバンバン出てきます。
それが、ワイルズの証明が発表され、そこにギャップが見つかり、サスペンデッドになった時期に、増補再販が出された。
足立氏自身は、すぐにギャップが埋められるとは考えておられなかったようだが、ほどなく、ワイルズ自身によって不備は正され、本書もさらに増強され完結となる。
こういった専門書が3回も版を重ねるのは異例らしいが、さらに、今回文庫本化されるにあたって、「易しく書き直しましょうか」という著者の申し出に対して、編集者は「本物の迫力が読者に受ける」と答えたとか。本書の出版史を巡る、なんとも感動的(?)な逸話ではないか!?
さて、足立史は、かつてカッパサイエンスに残した名著からも伺えるが、非常に文才がある。数式が出てくる専門的な数学的部分は仕方が無いとしても、地の文だけを読んでいると、自分のようなド素人がヨタヨタしながらも、なんとなく最後まで読めてしまえるから、不思議だ。そして、読み終わった後、また、何度か気になる章や頁をめくってみたくなる。
本書が文庫に選ばれたのは、編集者の見識によるものである。
サイモン・シンの本でフェルマーに興味を持った方は、かなり難しいけど、本書にアタックしてみるのも、無益ではないと思う。
ちなみに、講談社ブルーバックスからも足立氏のフェルマー本が出ているが、そちらは、証明後新たに企画出版されたもの。本書が整数論の切り口から書かれたものとすると、そちらは楕円曲線論から論じられたもので、全くの別書である。
そちらもおもしろかったので、両方併読をお薦めします。
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フェルマ-の大定理: 整数論の源流 (ちくま学芸文庫 ア 24-1) 文庫 – 2006/9/6
足立 恒雄
(著)
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- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2006/9/6
- ISBN-104480090126
- ISBN-13978-4480090126
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2006/9/6)
- 発売日 : 2006/9/6
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 349ページ
- ISBN-10 : 4480090126
- ISBN-13 : 978-4480090126
- Amazon 売れ筋ランキング: - 167,229位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2024年1月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表紙に折れ、破損、本体にページの潰れ(22ページ分)あり、残念ですが返品させて戴きたく思います。満足度100%のバリューブックさんとしてはめずらしい不良です。
2013年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
早々に御届け頂き,有り難うございます。内容も充分に満足できるものでした。
2006年10月7日に日本でレビュー済み
以前、サイモン・シン著「フェルマーの最終定理」を読んで非常に感動・興奮した訳ですが、「この物語で語られていた数学とは実際にはどんなものなのだろうか?」という疑問・好奇心を持ち続けていました。そして本書を読んでみようと気軽に手に取ってみました。(以前、足立先生の「無限の果てに何があるか」を面白く読んでいたので)
数学の史実を忠実に追っているところに好感を持てます。(ここが★4つ) しかしながら、数学を専門にしていない読者(私のこと)には、やはりハードルが高かったみたいです。クンマーの登場辺りから、自分の数学力では内容が捉えきれませんでした。歯応えありすぎ。クンマー以後の話は、字面を追って証明までの流れを確認したに留まりました。そういう訳で「サイモン・シンを読んでフェルマーの最終定理をなんとなく分かったつもりになった読者」の横っ面をバシッと張り手してくれる本です。(アントニオ猪木の『気合い注入』のように)そして目が覚めました。分かった積もりになっていた私が悪うございました、と平伏するのみ。_(._.)_ と同時に、一般読者にも「フェルマーの最終定理」を(数式を殆ど使わず)分かった積もりにさせたサイモン・シンの力量(強腕?)に脱帽した次第です。
このままではなんとも悔しいので、足立先生のブルーバックス「フェルマ−の大定理が解けた!」にも挑戦してやろう、と考えています。
数学の史実を忠実に追っているところに好感を持てます。(ここが★4つ) しかしながら、数学を専門にしていない読者(私のこと)には、やはりハードルが高かったみたいです。クンマーの登場辺りから、自分の数学力では内容が捉えきれませんでした。歯応えありすぎ。クンマー以後の話は、字面を追って証明までの流れを確認したに留まりました。そういう訳で「サイモン・シンを読んでフェルマーの最終定理をなんとなく分かったつもりになった読者」の横っ面をバシッと張り手してくれる本です。(アントニオ猪木の『気合い注入』のように)そして目が覚めました。分かった積もりになっていた私が悪うございました、と平伏するのみ。_(._.)_ と同時に、一般読者にも「フェルマーの最終定理」を(数式を殆ど使わず)分かった積もりにさせたサイモン・シンの力量(強腕?)に脱帽した次第です。
このままではなんとも悔しいので、足立先生のブルーバックス「フェルマ−の大定理が解けた!」にも挑戦してやろう、と考えています。