例えば著者は、神慈秀明会のMIHO MUSEUMを「単なる成金の豪華な建築ではなく、施工の精度も高い、すぐれた建築だからである」として積極的に評価している。
また、創価学会の大石寺正本堂を、丹下健三の東京オリンピック総合競技場と並べて、モダニズムとファシズムの危うい関係を論じようとする。
建築学会は、近代の新宗教(天理教、金光教、大本教、創価学会など)に代表される同時代の宗教建築に対して、無視するか、キッチュでファシズムを想起させるとして否定するか、どちらかの扱いを続けてきた。一方で伝統的な宗教建築(例えば京都・奈良の寺社仏閣)を積極的に称揚しているにもかかわらず、である。
その状況を考えれば、本作の挑戦は、重要な問題提起だといえる。
新宗教は、伝統的な宗教思想では救済されない、新しい世界の環境変化に対応できないと判断した人々の信仰心の発露であると考えれば、新宗教の宗教思想を体現すべく、あるいは信仰の強化を意図すべく建てられた多くの宗教建築が、同時代の民衆の精神世界の一端を表していると考えるのが妥当なアプローチであろう。
明治以降の神社建築に関わる論争や、外国の新宗教、オウム真理教の建築思想にも触れており、大きなパースペクティブの中で新宗教の建築は論じるに値するものであることが立派に証明されている。
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新編新宗教と巨大建築 (ちくま学芸文庫 イ 35-1) 文庫 – 2007/6/1
五十嵐 太郎
(著)
- 本の長さ375ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2007/6/1
- ISBN-104480090819
- ISBN-13978-4480090812
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2007/6/1)
- 発売日 : 2007/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 375ページ
- ISBN-10 : 4480090819
- ISBN-13 : 978-4480090812
- Amazon 売れ筋ランキング: - 189,050位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 668位ちくま学芸文庫
- - 11,958位アート・建築・デザイン (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年11月1日に日本でレビュー済み
自著解説が巻末にあります
この研究をうまくアウトラインしていると思いますので引き写します
なぜ新宗教の建築を研究したのか
いかに新宗教の建築を評価するのか
なぜ新宗教の空間研究は少ないのか
アメリカの宗教都市研究はどうなっているのか
どのような天理教の空間研究があったのか
新宗教の空間建築から何を考えたのか
参考文献のリストの私には楽しめました
この研究をうまくアウトラインしていると思いますので引き写します
なぜ新宗教の建築を研究したのか
いかに新宗教の建築を評価するのか
なぜ新宗教の空間研究は少ないのか
アメリカの宗教都市研究はどうなっているのか
どのような天理教の空間研究があったのか
新宗教の空間建築から何を考えたのか
参考文献のリストの私には楽しめました
2007年8月11日に日本でレビュー済み
建築史と建築批評を専門とする学者による、「建築史の分野から近代日本の新宗教に迫るというアプローチ(自著解説より)」で書かれた作品。「新宗教と巨大建築(2001年講談社現代新書)」と「近代の神々と建築(2002年廣済堂出版)」の2作に増補書下ろし加え一冊にまとめたもの。
前者は、天理教、金光教、PL教団等の建築がどのような価値や意味を持つのか、そしてどのような経過で建てられたのかが、後者は、日本の近代と宗教建築、近代における台湾・朝鮮における神社建築、モルモン教の本拠地であるソルトレイクシティを取り上げ、建築批評家の視点から宗教そしてその建築物を論じている。
いわゆる新興宗教の建築物は、その宗教の権威付けに過ぎないと思っていたのだが、興味深く読むことができた。なかでも、建築や都市空間にこだわりを持つ天理教を論じた第1章は、著者の目論見が達せられているように感じられた。しかし、こだわりをあまり持たない宗教の章は、宗教史と建築批評が噛み合わず、単なる宗教史の概略と建築批評が併記されているに過ぎないという印象を持った。
また、写真の掲載量が非常に少なく、掲載されていても背景の写っていない小さい写真が多いので、大きさの比較ができない。そして建築に関する専門用語の説明も少ないので、建物をイメージすることが難しい。せっかく増補版として文庫化されたのだから、もう少しなんとかならなかったのだろうか。
前者は、天理教、金光教、PL教団等の建築がどのような価値や意味を持つのか、そしてどのような経過で建てられたのかが、後者は、日本の近代と宗教建築、近代における台湾・朝鮮における神社建築、モルモン教の本拠地であるソルトレイクシティを取り上げ、建築批評家の視点から宗教そしてその建築物を論じている。
いわゆる新興宗教の建築物は、その宗教の権威付けに過ぎないと思っていたのだが、興味深く読むことができた。なかでも、建築や都市空間にこだわりを持つ天理教を論じた第1章は、著者の目論見が達せられているように感じられた。しかし、こだわりをあまり持たない宗教の章は、宗教史と建築批評が噛み合わず、単なる宗教史の概略と建築批評が併記されているに過ぎないという印象を持った。
また、写真の掲載量が非常に少なく、掲載されていても背景の写っていない小さい写真が多いので、大きさの比較ができない。そして建築に関する専門用語の説明も少ないので、建物をイメージすることが難しい。せっかく増補版として文庫化されたのだから、もう少しなんとかならなかったのだろうか。
2007年6月14日に日本でレビュー済み
各新興宗教の建築や空間が、それぞれにどういう価値観や過程
を経て、どういう訳で出来上がったものなのか..ということが
書かれている。論文形式なので一気に読み通すのは難しい。
無宗教の私は、町中で目にする新興宗教の建築に対し、100%
拒否反応を起こしてしまうが、この本を読んでから少し考えさ
せられている。「なぜ、新興宗教の建物であれば、毒々しい、
と私は感じるのだろう..」と。
バプティストや長老派のキリスト教会も、韓国や中国では派手
で華美なことが多い。私はそれらを見て、やはり嫌悪感を感じ
る。新興宗教の様だ..と感じてしまう。もしや、私には..「宗
教建築とはこの様にあるべき」という偏見があるのだろうか..。
それとも、日本文化の美意識に関わることなのだろうか。
私はコンクリート造りの寺院を見ても、無性に寂しい気分、冷
たい気分がする。あなたは、どうだろうか..。この本は、そう
いうことも考えさせてくれる。
因みに著者はパリ生まれの建築科卒。なるほど..と私は思った。
興味を感じる方には、是非読んで頂きたい。
を経て、どういう訳で出来上がったものなのか..ということが
書かれている。論文形式なので一気に読み通すのは難しい。
無宗教の私は、町中で目にする新興宗教の建築に対し、100%
拒否反応を起こしてしまうが、この本を読んでから少し考えさ
せられている。「なぜ、新興宗教の建物であれば、毒々しい、
と私は感じるのだろう..」と。
バプティストや長老派のキリスト教会も、韓国や中国では派手
で華美なことが多い。私はそれらを見て、やはり嫌悪感を感じ
る。新興宗教の様だ..と感じてしまう。もしや、私には..「宗
教建築とはこの様にあるべき」という偏見があるのだろうか..。
それとも、日本文化の美意識に関わることなのだろうか。
私はコンクリート造りの寺院を見ても、無性に寂しい気分、冷
たい気分がする。あなたは、どうだろうか..。この本は、そう
いうことも考えさせてくれる。
因みに著者はパリ生まれの建築科卒。なるほど..と私は思った。
興味を感じる方には、是非読んで頂きたい。