お届け先を選択
Kindleアプリのロゴ画像

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません

ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。

携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。

KindleアプリをダウンロードするためのQRコード

何か問題が発生しました。後で再度リクエストしてください。

知についての三つの対話 (ちくま学芸文庫 フ 27-1) 文庫 – 2007/7/1

4.8 5つ星のうち4.8 4個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2007/7/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/7/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 337ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480090827
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480090829
  • カスタマーレビュー:
    4.8 5つ星のうち4.8 4個の評価

著者について

著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
P.K.ファイヤアーベント
Brief content visible, double tap to read full content.
Full content visible, double tap to read brief content.

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう

カスタマーレビュー

星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
4グローバルレーティング

この商品をレビュー

他のお客様にも意見を伝えましょう

上位レビュー、対象国: 日本

2018年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
《ファイヤアーベント》という名前を聞いても、日本ではその名前すら「哲学愛読者」の人でさえ知らない人は少なくない。
彼は若き日に、ウィトゲンシュタインに弟子入りしようとしたが、ウィトゲンシュタインが亡くなってしまったので、カール・
ポパーに師事した科学哲学者である。
 
ポパーといえば、このレビューを書いている現在も日銀総裁として仕事をしている黒田東彦氏が「ポパリアン」であることは
有名だが、ポパーといえば「反証可能性」について論じたことで有名な世界的・科学哲学者だ。
ポパーはたった一人で様々な科学の方法論についての常識的な前提を覆し、まさに「革命的な考え方」を緻密な論理と数式を
用いて展開した人物だが、ファイヤアーベントは最初はポパーの考え方に沿って考えていたが、やがて恩師である巨人・ポパー
をも批判する立場にまわることになる。
ポパーに師事し、ポパーの考え方を徹底して理解した人間だからこそ、ファイヤアーベントのそうした真逆への転身は、彼の
著作を読むとひときわ説得力を持つように思える。
 
本書ではファイヤアーベントが「架空の対話」を設定して、ファイヤアーベント自身の考え方を展開していくという、彼の他の
著作よりも格段に読みやすい体裁をとっている。
本書でファイヤアーベントが言っていることは突き詰めれば単純なことで、本文引用ではなく、私の読後解釈として書かせて
もらうとすれば、
「今ある科学は完成された確実な体系では全くなく、これから先もその事実は変わらなく、ただ色々なことに適用できる範囲が
広くなるだけだ。」「我々よりも先んじて存在しているこの自然世界・宇宙というものを解明することは不可能であり、現在の
科学以外の方法というものがいくつも存在し得る。」「そして、人類はこれまでにもいくつもの文明を築き上げてきたが、その
文明での“科学のような体系“はあったはずだが、どの文明での“科学のような体系”も全く同じものはひとつとしてないだろう。」
というように説明できるだろうと、私は勝手ながら本書から読み取った。
つまり「科学はひとつではない、なんでもありで、いくらでもある」ということをファイヤアーベントは述べているのだと思う。
 
正直いって本書から膨大な引用をしたいくらいに、ファイヤアーベントの書いていることは斬新なのだが、それは出来ないので、
「あとがき」から本書の本文で何度も出てくる重要な箇所をピックアップしてみることにする。

 「・・・ある個人の哲学とその人の政治上の言動とが密接に結び付いているようなことはほとんどないのです。(本書320頁)」
 「フレーゲは、論理学と数学基礎論に関しては非常にシャープな思索家でしたが、政治的なことになると、日記に出てる限りで
  はおよそ幼稚としかいえません。(320~321頁)」
 
読んですぐに分かるように、いくら優れた学者であっても、その「専門学識」と「政治思想」という違うジャンルのことについて
は、たとえそれがかのフレーゲであろうと、正しい論理展開をすることが出来ていないという事実をファイヤアーベントは指摘し
ているのでしょう。
今ならば、米国の高名な言語学者・哲学者であり、「生成文法」なるものを主張しているノーム・チョムスキーのことは、哲学・
思想系分野に興味がある人ならば知っていることでしょう。
彼の「生成文法」という考え方は、米国ではスタンダードと化している前提のようなものになっているわけですが(ちなみに私は
生成文法は間違っていると思っているが)、その彼が書いている政治批判などの分野の著作は、まるで論理的なところはなく、ただ
単純に情動だけを拠り所に書いているとしか思えない程に程度の低い文章を「平気で発表できる」という幼稚さが、まさに彼の中で
は同居・共存していることを考えれば、ファイヤアーベントの指摘は非常に鋭いことを書いていると言わねばならないだろう。
さらに日本の現状を見渡しても、こうした「有名な学者」であっても、それが「政治的言説」になると、たちどころに少年少女程度
の内容しか書けないどころか、それを御当人が指摘されても、全く気がつけないという恐ろしい事実をいくらでもあげることが可能
でしょう。
 
非常に残念なことに、これだけ読みやすく、読む価値のある本でも、日本ではこうして文庫化はされたものの、即絶版状態である。
ファイヤアーベントが日本でもちゃんと読まれる日が来るには、そうとうの年月が必要であるかもしれないのが残念で仕方ない。
もし古本でも入手可能であるならば、ぜひとも購入して読むべき価値のある本であると断言できます。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年10月31日に日本でレビュー済み
本人と思われる人物とごく常識的な西欧的価値観を持つ二人の対話で進む。いつも本人が議論に勝ったような格好で終わるのはご愛嬌。著者の科学に関するアナキスト的考えが全面的に語られている(最初の1つだけは、大学でのセミナーを仮想していて登場人物は多数)。ただし、現役の研究者の何割がこの考えに賛成してくれるだろうか?それを思うと科学哲学の意義を考えなおす必要があるのかもしれない。殆どの研究者は素朴実在論ないしは実証主義的な考えで仕事をしていそうなので、この"なんでもあり"には当惑しそうだ。意見を聞いて見たい気もする。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年5月4日に日本でレビュー済み
ポール・K・ファイヤアーベントの、科学を進歩させるには教条的なのはいかんのだ、科学のためなら何をやってもよくて、占星術をインチキであるとして排斥する姿勢は現代の魔女狩りに他ならん、という知のアナーキズムとも呼ばれる思想が分かります。面白いです。プラトンの対話編風です。批判的合理主義のゴリゴリぶりや哲学書のもったいぶった言い方を徹底的に批判していて、その一方で詩や文学やオカルトにも価値があると主張する点、大変納得がいきました。言葉にすればもう失われる真理と申しますか、なにやら不確かな我々自身の生き方を
科学哲学の衣をかぶって論じていて、ファイヤアーベントの融通のよさ、人格的魅力を感じました。自伝も、『方法への挑戦』もぜひ読んでみたいものです。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート