またまた未読の作品を完了。これは1986年9月28日にサンフランシスコの郊外のモールSunvalleyのdaltonという書店で購入したようだ。
著者のtuchmanは今はだいぶ忘れさられてしまったが、当時は出す作品がいつもbestsellerのtopを飾った著名な在野の歴史家だ。その作品もかなりが翻訳されている。
その後の歴史学の研究の進展で、どの程度著者の謎解きと解釈が修正されたのかは寡聞にして知らないのだが、この作品は今読んでも面白い。
まず背景として知らなければならないのがアメリカのグラスルーツにおける孤立主義の根強さ。悪の象徴ともいうべき欧州大陸の権力政治の帰結である戦争への介入を避けるべきだというべき意見が世論の大勢を占めているのだ。この状況は、基本的に第二次大戦の勃発前まで変わることはなかった。多数のドイツ移民を抱える中西部がこの孤立主義の牙城なのだ。そしてアメリカの大統領は、選挙戦略上、いつもこの世論を無視できない。
この基本構図をさらにややこしくしているのが、米国のウイルソン大統領だ。特異なパーソナリティと奇妙な宗教的な熱情を内に秘めた、この大統領は戦争の当事国としてではなく、道徳上の高みに立つ「調停者」として、この戦争を終結に導こうとするのだ。
となると、いつも出てくるのがイギリスの「狡猾」さだ。西部戦線が膠着し、戦費調達の財源が枯渇し、地上戦での勝利の見込みが望めない中で、どのようにして、アメリカの東部の親英のエリート層と共謀して、アメリカを徐々に自分の側に引き込み参戦させるかが、英国の官民挙げての関心事となる。世界を股にかけての暗号コードブックの入手などその準備と布石がいつも打たれているのだ。
脱原発と奇妙な現実認識に基づくマキャベリスティックな利益追求でロシアと中国にのめりこんだ最近のメルケル政権もそうだが、「独善的」なドイツは、どういうわけか、いつも現状認識の誤謬と大きな戦略の失敗を犯す。本書でも、もはや欧州での地上戦での勝利の見込みがなくなったドイツは、無謀な海上での戦い(無制限潜水艦作戦)と謀略にその主眼を移す。
大西洋での無制限潜水艦作戦を実施し、英国を封鎖状態に追い込み、戦争遂行を不可能ならしめようというわけ。そしてそこに追加されたのが、アメリカの手を縛るために、アメリカの裏庭ともいうべきメキシコにアメ(旧領土の回復)をちらつかせて同盟を結び、アメリカをメキシコとの戦いに追い込もうという狡猾な外交戦略だ。そしてそこに日本まで同盟関係に引き込もうというのだ。
いやはや紙の上で頭脳が独り歩きして、現実が見えなくなっている。いつも戦略と宣伝戦上の大失敗を犯すのが、本書のドイツ。日本もまさしくこのドイツの失敗をなぞるように、同じことを二十数年後に繰り返すのだ。独善的な戦争目的、米国世論の薄っぺらい分析、そして自国の暗号への過信。
本書では驚いたことに、日本の存在が大きく扱われている。もっとも著者は日本語の資料を読めないし依拠していないので、日本政府の当時の真意には接近できていない。間接的に扱われるて推量されるだけ。地中海での海上作戦に日本が連合軍の一部として従軍していたことも知らないようで、もっぱらドイツの悪行の論理的な可能性の駒として、日本の米国との潜在的な対立関係が繰り返し強調されるだけ。他の作品からも想像できるが著者は基本的に日本が嫌いなアメリカのリベラルなのだ。
最後は、英国による時機を逸しない「暗号解読」の米国への通告とドイツのチンマーマーン外相の暗号電文をめぐる不用意な声明がアメリカの世論を参戦に向かわせる。ドイツはアメリカ世論の動向を読み誤り、その取扱いにも大失敗。結果として、アメリカの即時の参戦を引き起こし、戦況の打開にも失敗。
ただ、ドイツ参謀本部の打ったもう一つの博打というか「大謀略」(レーニンの封印列車)は、ロシアでの10月革命につながり、その後の分離講和の道への布石となった経緯は忘れるべきではない。ロシアとドイツは不思議な因縁にある。
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決定的瞬間: 暗号が世界を変えた (ちくま学芸文庫 タ 23-3) 文庫 – 2008/7/9
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- 本の長さ330ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2008/7/9
- ISBN-104480091564
- ISBN-13978-4480091567
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2008/7/9)
- 発売日 : 2008/7/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 330ページ
- ISBN-10 : 4480091564
- ISBN-13 : 978-4480091567
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2011年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『八月の砲声』は読んだことがあったが、その筆者のタックマンがこのような作品を書いていたとは知らなかった。長らく絶版になっていたものが2008年に復刻されたとのことだが、読んでみて、今なお読むに値する傑作であると感じた。ツインメルマン電報事件についてはある程度知っていたが、これほどまでに第一次世界大戦への米国参戦に大きな影響を与えていた事案だとは知らなかった。メキシコと日本を米国に対してけしかけることで米国の参戦を防ぐとするドイツの戦略は今となっては荒唐無稽に思えるが、当時としては非常にリアリティがあった。敵の敵は友というリアリズムの論理は我々日本人にはなかなか馴染めないが、これが国際政治の現実ということなのだろう。また、本書の最大の読みどころは英国によるドイツ公電の傍受・解読というインテリジェンス活動だ。近年、日本ではインテリジェンスのブームが起きており、本書が復刻したのはこれと無縁でないだろうが、確かにインテリジェンスの観点からみても本書は極めて面白い。電報を本物と認めてしまったドイツのツインメルマン外相のインテリジェンスのセンスの無さは致命的であった。為政者にはインテリジェンスの素養が必要だというのが本書のメッセージだと思った。
また、本書で描かれている、当時の日本に対する世界の見方が非常に興味深い。ロシアを破って台頭していた日本に対する脅威感は、我々では想像できないほど強かったということが本書を読むと分かる。日本軍がカリフォルニアへ上陸するのではないか、日本がメキシコと同盟を結んで米国を攻撃するのではないか、といったことが当時は本気で信じられていた。当時の日本にそこまでの能力があったとは思えないが、黄色人種に対する恐怖感が米欧人の合理的な思考をも上回ったということなのだろう。現在の中国の台頭と、それが引き起こしている摩擦について考える上で、いろいろなヒントを与えてくれそうな書物であった。
また、本書で描かれている、当時の日本に対する世界の見方が非常に興味深い。ロシアを破って台頭していた日本に対する脅威感は、我々では想像できないほど強かったということが本書を読むと分かる。日本軍がカリフォルニアへ上陸するのではないか、日本がメキシコと同盟を結んで米国を攻撃するのではないか、といったことが当時は本気で信じられていた。当時の日本にそこまでの能力があったとは思えないが、黄色人種に対する恐怖感が米欧人の合理的な思考をも上回ったということなのだろう。現在の中国の台頭と、それが引き起こしている摩擦について考える上で、いろいろなヒントを与えてくれそうな書物であった。
2008年7月24日に日本でレビュー済み
本屋で見かけて即注文&入手です。 この本、復刻なんですね。
細かい説明が書いてないので内容が分からず困っている方も居ると思いますが、1冊まるごと「ツィンメルマン電報」の本です!
ツィンメルマン電報についてはWikipediaに詳細に載ってましたから、そちらを見て下さい。
(古い本ではツィンマーマンと書いてあったりしますが、ドイツ語読みか英語読みかの違いで同一です)
この資料は、私は覚えている限りではサンケイ新聞社出版局の「 暗号戦―敵の最高機密を解読せよ! (1975年) (第二次世界大戦ブックス〈63〉) 」にやや載っていたくらいで、
後はせいぜい数行〜十数行くらいのボリュームで暗号関係の資料で説明がある程度だと思います。
だから私も実は細かい事まで知りません...
「 八月の砲声 」の著者ですから、内容の裏取りはきっと大丈夫でしょう?
(私は、諜報関係の資料の裏を取るのは一個人ではできないと諦める事にしましたので...)
なかなか参戦を決めないウィルソン大統領にはイライラしましたが(笑)
#表紙はUボートの攻撃を受けて撃沈される英戦艦です(艦名までは不詳...)
細かい説明が書いてないので内容が分からず困っている方も居ると思いますが、1冊まるごと「ツィンメルマン電報」の本です!
ツィンメルマン電報についてはWikipediaに詳細に載ってましたから、そちらを見て下さい。
(古い本ではツィンマーマンと書いてあったりしますが、ドイツ語読みか英語読みかの違いで同一です)
この資料は、私は覚えている限りではサンケイ新聞社出版局の「 暗号戦―敵の最高機密を解読せよ! (1975年) (第二次世界大戦ブックス〈63〉) 」にやや載っていたくらいで、
後はせいぜい数行〜十数行くらいのボリュームで暗号関係の資料で説明がある程度だと思います。
だから私も実は細かい事まで知りません...
「 八月の砲声 」の著者ですから、内容の裏取りはきっと大丈夫でしょう?
(私は、諜報関係の資料の裏を取るのは一個人ではできないと諦める事にしましたので...)
なかなか参戦を決めないウィルソン大統領にはイライラしましたが(笑)
#表紙はUボートの攻撃を受けて撃沈される英戦艦です(艦名までは不詳...)
2010年1月27日に日本でレビュー済み
まず文句なく面白い。日本人にはなじみの薄い(参戦しているのに!)第一次世界大戦のアメリカ参戦にまつわる事実を丹念に追いながら読者を退屈させず一度読み始めるとやめられない面白い本に仕立て上げるタックマンの筆力に感謝。同じ第一次大戦ものの「八月の砲声」にはちょっと劣るかもしれないことと、日本に関する記述は後知恵でいろいろ知っている日本人には確かにちょっと不満という点で星4つにした。
しかし、逆に言えば、当時の日本が欧米の政治家や知的な人々からこのように見られていた(連合国から離脱してメキシコとともに米国を攻撃する可能性がある)という事実は衝撃的だ。
日本人の多くは第一次大戦の米国参戦と言えば「客船ルシタニア号のUボートによる撃沈」に怒ってという理解ではないか。しかし本書を読めばわかるようにそれほど単純ではない。米国にはドイツ系住民が多くまたドイツの巧妙な世論工作や、元から強い戦争を嫌う世論などから客船一杯程度の撃沈では参戦に踏み切れなかった。しかし、ドイツがメキシコと日本を組み合わせて背後から米国を攻撃する工作を行っていたとすればもはや米国の中立はあり得ない・・・
英国の暗号解読能力の高さ。それも日本のように役人が主導するのではなく、能力のある民間人の能力を最大限活用しながら。この本の主役は間違いなく英国の暗号戦を勝利に導いた海軍のホール提督だ。部下の能力を活用できただけでなく最高の瞬間に最も効果的に解読した情報を利用した。
第一次大戦中の日本といえば、大隈と寺内の内閣だ。後世の我々が良く知っているように日本に米国を攻撃する力などなかったし、そんなことを現実に考えていた有力政治家・軍人はいなかったろう。しかし、おそらくタックマンの情報源は当時の米国の諜報筋なのだろうが、どうも多くの軍人や外交官が不用意な個人的な発言をあちこちで行い、それが情報として米国政府関係者に上げられていたようだ。それが連合国の間に日本への不信感を呼び、結局日本は損をした。その後の日本に対する英国や米国の政策にも悪影響を与えたに違いない。
タックマンはドイツの政治家・軍人は自信過剰で相手の能力の高さを理解しなかったと非難する。日本の政治家・官僚などはそれよりも能力が低いわけだが、もし、日本に能力の高い政治家や外交官が当時いたなら、当時の状況をうまく活用し連合国側に誠意を見せ付けることによりはるかに大きな見返りを得られたのではないか・・・・などと いろいろ考えられるところが歴史の面白さだ。
しかし、逆に言えば、当時の日本が欧米の政治家や知的な人々からこのように見られていた(連合国から離脱してメキシコとともに米国を攻撃する可能性がある)という事実は衝撃的だ。
日本人の多くは第一次大戦の米国参戦と言えば「客船ルシタニア号のUボートによる撃沈」に怒ってという理解ではないか。しかし本書を読めばわかるようにそれほど単純ではない。米国にはドイツ系住民が多くまたドイツの巧妙な世論工作や、元から強い戦争を嫌う世論などから客船一杯程度の撃沈では参戦に踏み切れなかった。しかし、ドイツがメキシコと日本を組み合わせて背後から米国を攻撃する工作を行っていたとすればもはや米国の中立はあり得ない・・・
英国の暗号解読能力の高さ。それも日本のように役人が主導するのではなく、能力のある民間人の能力を最大限活用しながら。この本の主役は間違いなく英国の暗号戦を勝利に導いた海軍のホール提督だ。部下の能力を活用できただけでなく最高の瞬間に最も効果的に解読した情報を利用した。
第一次大戦中の日本といえば、大隈と寺内の内閣だ。後世の我々が良く知っているように日本に米国を攻撃する力などなかったし、そんなことを現実に考えていた有力政治家・軍人はいなかったろう。しかし、おそらくタックマンの情報源は当時の米国の諜報筋なのだろうが、どうも多くの軍人や外交官が不用意な個人的な発言をあちこちで行い、それが情報として米国政府関係者に上げられていたようだ。それが連合国の間に日本への不信感を呼び、結局日本は損をした。その後の日本に対する英国や米国の政策にも悪影響を与えたに違いない。
タックマンはドイツの政治家・軍人は自信過剰で相手の能力の高さを理解しなかったと非難する。日本の政治家・官僚などはそれよりも能力が低いわけだが、もし、日本に能力の高い政治家や外交官が当時いたなら、当時の状況をうまく活用し連合国側に誠意を見せ付けることによりはるかに大きな見返りを得られたのではないか・・・・などと いろいろ考えられるところが歴史の面白さだ。
2008年8月7日に日本でレビュー済み
著者のタックマンには、ケネディ大統領が米国の外交政策立案者らの必読書に指定した『八月の砲声』という名著があるが、本作品も前著に勝るとも劣らない傑作である。『八月の砲声』は第一次世界大戦が定説のとおり、当事国が故意に起こしたのではなく、大国の不注意や誤謬、失敗、過信などが開戦を惹起したことを明らかにしたが、ヨーロッパを舞台にした戦争であり、連合国と同盟していた日本にとっては遠い出来事と言う印象であった。ところが、第一次大戦の転換点を記す「決定的瞬間」を読んで、せいぜい日本の動きは三国干渉で取り上げられた失地回復をアジアで図り、あわよくば大陸進出を考えていた程度と考えていたことがいかに誤りであったか痛感した。両世界大戦に大国アメリカのプレゼンスは圧倒的だが、まさか、ここにメキシコ、そして日本が大きく登場しようとは思わなかった。文章も正確かつスピーディーで一気に読了してしまった。巻末に「ツィンマーマン」電の暗号文とドイツ語と英語の復号後の対比表が収録されており、臨場感が一層高められた。今から50年前の作品であることを全く感じさせない。