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治癒神イエスの誕生 (ちくま学芸文庫 ヤ 20-2) 文庫 – 2010/8/9

4.6 5つ星のうち4.6 5個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2010/8/9)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/8/9
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 309ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480093095
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480093097
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.7 x 1.3 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 5個の評価

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山形 孝夫
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上位レビュー、対象国: 日本

2010年10月29日に日本でレビュー済み
 そもそも「治癒神イエス」とは何か? イエスが「治癒神」とは何を意味しているのか? この卓抜なネーミングで読者の心を掴んだ一般書が、文庫版として再登場した。初版がでたのは1981年、この間に何度か版を改めているが、すでに30年前である。

 「治癒神」と書くとわかりにくいが、ひらたくいってしまえば「病気直しの神様」のことだ。こう書くと、なんだか日本の新興宗教のようだが、本質的には同じことだといっていい。もしかすると、キリスト教会内部では、イエスを「病気直しの新興宗教」と一緒にするとは何事か(!)という声があったのかもしれないが、キリスト教徒ではない私には何ともいえない。いずれにせよ、イエスと使徒たちの教団もまた、最初は「新興宗教」だったことは、間違いのない事実なのである!

 本書によれば、「治癒神」であったイエスとその教団は、先行するアスクレピオス教団との、病気直しをめぐる競合が、古代地中海世界を舞台に展開したのである。アスクレピオス教団は、その代表的人物である医聖ヒポクラテスにみられるように、麻酔を使用した外科的治療も行っていた。
 古代ギリシア世界が崩壊し、ヘレニズム時代の大変動期に生きた人々は大きな不安をかかえながら生きていたのである。こういう時代背景のもと、「救い=癒し」の観点から、魂の病である精神疾患に「ニッチ分野」を発見したイエス教団は、地中海では最大勢力となっていたアスクレピオス教団との直接的な対峙と競合をうまく回避しながら、着々と自分たちの地歩を固めて行き、最終的には地中海世界での病気治しの勝利者となる。
 生老病死が最大の悩みだった時代、むしろ現代社会を先取りしたかのように、精神疾患の治癒に重点をおいたイエスとその教団の姿勢は、強い訴求性があったに違いない。これは、新興宗教のさかんな日本という国に住む日本人には、比較的理解しやすい枠組みである。

 キリスト教徒ではない私にとっても本書が非常に面白く感じられるのは、著者の山形孝夫氏がキリスト教徒でありながらも、けっして護教論的な立場からではなく、宗教人類学という学問的立場から、日本民俗学の成果も大きく吸収した視野の広い柔軟な視点で、原始キリスト教について研究しているからだ。
 その意味では、哲学者の梅原猛、ゴリラ研究者の河合雅雄、社会学者の作田啓一、牧畜社会のフィールドワークを行っていた人類学者の谷泰、中東史を専攻する歴史学者の三木亘といった異色のメンバーが参加したシンポジウムの内容は、30年たったいま読んでも、きわめて非常に新鮮である。こういう学際的な研究の見本としても格好の事例となっているといってよいだろう。

 イエス教団に敗れ去ったアスクレピオス教団は、その後どうなってしまったのだろうか? 本書では触れられていないが、地中海世界におけるイエス教団への敗北が、近代医学発生を遅らせた可能性についても考えたくなってしまうのだが・・・。

 さまざまな読み方が可能な、もはや古典といってもいいような一冊である。読みやすい本なので、ぜひ一読を薦めたい。
21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年2月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
西欧キリスト教社会の無前提でのイエス信仰をはなれ、イエスの「奇跡」を、遊行治療者としてのイエスの活動から理解しようとする試みと著者のアプローチに深い共感を覚えました。ちなみに、ムハンマドを笑い者にすることに「寛容」な西欧キリスト教社会が、教会ではなくイエスその人を笑いものにしようとする試みに果たして「寛容」でいられるだろうか、少し考えさせられました。
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