マーク・カッツの天才の分類は面白いです。「ふつうの天才」と「魔術師的天才」。数学の発展は「魔術師的天才」に負うところが大きいです。本書の冒頭は「負の数・虚数」の導入からです。現代人が当たり前に扱っているそれらの数は、当初その存在さえ認められることはありませんでした(見えないから)。
しかし方程式の次数が高くなると同時に虚数を扱わなければならない必然が出てきます。カルダノの3次方程式、弟子のフェラリの4次方程式…長い時間を経てアーベルの証明。数学の発展は数の拡張と共にありました。負の数の対数について、log(-1)の値に焦点が当たりました。ライプニッツ、ベルヌーイ、オイラーが侃々諤々の議論を繰り広げました。ネピアの発見から130年を経て、対数は複素数という舞台に再登場しました。たいへんドラマチックな出来事だと思います。冒頭の第1章からして知的関心を刺激されるような内容です。以降、第2章「虚数から複素数へ」、第3章「複素数上の解析学」…と続きます。数の拡張は概念の拡張であり、概念の拡張は新たな学問の水平線が広がっていく道程でもあります。出てくる数式も高校の数学で十分理解できる内容と思いますので、数学の水平線が広がっていくわくわく感を味わいたい方にお勧めします。

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数学という学問: 概念を探る (2) (ちくま学芸文庫 シ 28-2 Math&Science) 文庫 – 2012/5/9
志賀 浩二
(著)
- 本の長さ267ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2012/5/9
- 寸法10.8 x 1.2 x 15.2 cm
- ISBN-104480094229
- ISBN-13978-4480094223
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2012/5/9)
- 発売日 : 2012/5/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 267ページ
- ISBN-10 : 4480094229
- ISBN-13 : 978-4480094223
- 寸法 : 10.8 x 1.2 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 482,370位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,578位ちくま学芸文庫
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書のシリーズ1に引き続き購入しました。
数の概念が複素数にまで広がっていく様子が解説されています。
その過程でコーシー、リーマンが複素数を取り込むことで関数概念を広げていく様が、時代背景と一緒に解説されているので非常に面白く読めます。
ただ、どうしても数式は多くなりますから、敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
個人的には、複素数まで数の概念が広がっていく過程で、上記のように関数として、より数が抽象化していく(数学が確立されていく)方向と、数学を生業としていない測量技師のウェッセルが、仕事上の図形的な要請から複素数を取り扱うことを主張していたといくことが、今まで全く知らない事実でもあり、大変興味深く読めました。
志賀浩二先生の筆力は相変わらず大したもので、読みやすい文書となっています。
面白い一冊でした。
数の概念が複素数にまで広がっていく様子が解説されています。
その過程でコーシー、リーマンが複素数を取り込むことで関数概念を広げていく様が、時代背景と一緒に解説されているので非常に面白く読めます。
ただ、どうしても数式は多くなりますから、敬遠してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
個人的には、複素数まで数の概念が広がっていく過程で、上記のように関数として、より数が抽象化していく(数学が確立されていく)方向と、数学を生業としていない測量技師のウェッセルが、仕事上の図形的な要請から複素数を取り扱うことを主張していたといくことが、今まで全く知らない事実でもあり、大変興味深く読めました。
志賀浩二先生の筆力は相変わらず大したもので、読みやすい文書となっています。
面白い一冊でした。
2012年6月26日に日本でレビュー済み
複素解析からフーリエ解析の数学の構築に関わった数学者と自伝、数学概念の歴史背景を知りことが
出来、大変面白く参考になりました。定理・証明ばかりで無味乾燥に書かれた数学書より数倍も楽しく
学べます。数学概念の歴史背景を知れば無味乾燥だったのがより深く意味が分かり楽しくなります。
この分野では「なっとくする複素関数」小野寺嘉孝、「イメージでとらえる ビジュアル複素関数入門」、「物理のための数学入門 複素関数論」有馬 朗人 神部 勉 、「今日から使える複素関数」飽本 一裕「工学系学生のための 複素関数攻略への一本道」も分かりやすい本です。
同じ著書の「ベクトル解析30講」「固有値問題30講」のレヴューのご覧ください。
古い本ですが「解析の表現したもの」青木和彦との共著も素晴らしい内容でした。
出来、大変面白く参考になりました。定理・証明ばかりで無味乾燥に書かれた数学書より数倍も楽しく
学べます。数学概念の歴史背景を知れば無味乾燥だったのがより深く意味が分かり楽しくなります。
この分野では「なっとくする複素関数」小野寺嘉孝、「イメージでとらえる ビジュアル複素関数入門」、「物理のための数学入門 複素関数論」有馬 朗人 神部 勉 、「今日から使える複素関数」飽本 一裕「工学系学生のための 複素関数攻略への一本道」も分かりやすい本です。
同じ著書の「ベクトル解析30講」「固有値問題30講」のレヴューのご覧ください。
古い本ですが「解析の表現したもの」青木和彦との共著も素晴らしい内容でした。