短い執筆期間に、これほどの作品を書き上げた非凡さに驚かされ、
短命であったことが残念でならない。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ちくま日本文学全集 36 中島敦 文庫 – 1992/7/1
中島 敦
(著)
名人伝,山月記,弟子,李陵,孤憑,木乃伊,文字禍,幸福,夫婦 他
- 本の長さ471ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1992/7/1
- ISBN-104480102361
- ISBN-13978-4480102362
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1992/7/1)
- 発売日 : 1992/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 471ページ
- ISBN-10 : 4480102361
- ISBN-13 : 978-4480102362
- Amazon 売れ筋ランキング: - 538,502位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4.7つ
5つのうち4.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
11グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年9月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みやすい、注釈がよい、短編がたくさんはいっているのがよい、です。
中島敦の本を読めと学校から指示された学生、何か感想文書かなくてはいけない学生にお勧めです。
中島敦の小説を読んでみたいと思っている方にはもちろんよいです。
純粋におもしろいです。不思議ちゃんですが。寝しなに読み始めて気がついたら午前3時でしたし・・(^0^;)
中島敦の本を読めと学校から指示された学生、何か感想文書かなくてはいけない学生にお勧めです。
中島敦の小説を読んでみたいと思っている方にはもちろんよいです。
純粋におもしろいです。不思議ちゃんですが。寝しなに読み始めて気がついたら午前3時でしたし・・(^0^;)
2013年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
国語の教科書に載っていて、気に入ってたので全集を買ってみました
人の性質の内面を的確に表現した文章が、読んでいて楽しい
人の性質の内面を的確に表現した文章が、読んでいて楽しい
2013年11月19日に日本でレビュー済み
一、
中島敦の『山月記』は、高校時代の教科書に載っており、少なからぬ感動を覚えたことを記憶している。
あれから二十五年、ふと目にした新聞の書評に触発されてもう一度読み返してみることにした。
「隴西の李徴は、・・・自ら恃むところすこぶる厚く、踐吏に甘んずるを潔しとしなかった。・・・」
再び手にした『山月記』の李徴の魂の叫びは、深い共感をもってわが胸に鳴り響き渡った。
そしてこのような作品を書き著した中島敦その人に私の関心は集中していった。作者もまた自らの境遇
を歎きつつ、哀れなる人喰い虎の言葉に身を託して、あの歎きと慟哭の言葉を語らせたのではないか。
そして『山月記』の後の作品の中に、何らかの解決の方向が示されているのではないのか。
そのような思いの中で、突き当たったのが南洋のパラオ諸島の昔話として著された『幸福』と題する
最晩年の短編であった。
二、
この作品の主人公は、名も無い“哀れな下男”である。この男は、島第一の長老の下僕として、
家中の仕事を一手に引き受け、朝は誰よりも早く起きて漁に出かけ、やっと夜になって労働から
解放された時は、ぐったりと疲れ果てて眠り込むという毎日の生活であった。
さらに長老達の前では立って歩くことを許されず、地に伏して膝で歩くという屈辱にも耐えねば
ならなかった。しかしこの賢い下男は、己の運命を格別辛いとも思わず、主人がいかに苛酷で、
課せられた仕事がいかに多くとも、耳目を塞いだり呼吸まで止めることができなかいことをもって
有り難いと思っていた。そしてある日、この男は自らが長老になり、長老が下僕になって働かされる
という逆転した不思議な夢を見た。毎日この逆転した夢を見ていくうちに、この男にとって夜の夢は
最高の楽しみとなっていった。日々の現実は、厳しい主人の下で一日中烈しい労働に追われ続ける
ことに変わりはなかったが、夜の夢の楽しさを思えばものの数ではなかった。そのうちにこの男の
顔つきは、至上の幸福に満ち溢れ光り輝くようになった。
三、
私は、この『幸福』という一風変わった物語を読んで、『山月記』の李徴のことを思い出さずには
いられなかった。李徴の場合、内なる誇り高い自己が外なる現実的自己としての下級官吏の生活を
甘んじて受け容れることができずに、内的自己と外的自己とが葛藤を起し、分裂を来たしてしまった
のであるが、これに対し『幸福』における“貧しく賢い下僕”の場合は、内なる誇り高い自己(夢の中の長老)
と外なる哀れなる下男とが“賢い下僕”の人格の中に、高い次元での統合がなされている。こ
の下男の外的現実は、苛酷な労働と屈辱の生活が続くのであるが、賢いこの男は、この苛酷な
自らの運命の現実を素直に受け容れ、さらに内面的世界は、誇り高い至福の境地に包まれていたのである。
『山月記』から『幸福』への主人公の変貌は、同時に作者の魂の成長の軌跡であった。
そして私は二十五年ぶりに読んだ『山月記』によって、自らの人生の課題を明確にすることができ、
さらには『幸福』という作品によって、その課題を解決する方向をはっきり掴んだのである。
中島敦の『山月記』は、高校時代の教科書に載っており、少なからぬ感動を覚えたことを記憶している。
あれから二十五年、ふと目にした新聞の書評に触発されてもう一度読み返してみることにした。
「隴西の李徴は、・・・自ら恃むところすこぶる厚く、踐吏に甘んずるを潔しとしなかった。・・・」
再び手にした『山月記』の李徴の魂の叫びは、深い共感をもってわが胸に鳴り響き渡った。
そしてこのような作品を書き著した中島敦その人に私の関心は集中していった。作者もまた自らの境遇
を歎きつつ、哀れなる人喰い虎の言葉に身を託して、あの歎きと慟哭の言葉を語らせたのではないか。
そして『山月記』の後の作品の中に、何らかの解決の方向が示されているのではないのか。
そのような思いの中で、突き当たったのが南洋のパラオ諸島の昔話として著された『幸福』と題する
最晩年の短編であった。
二、
この作品の主人公は、名も無い“哀れな下男”である。この男は、島第一の長老の下僕として、
家中の仕事を一手に引き受け、朝は誰よりも早く起きて漁に出かけ、やっと夜になって労働から
解放された時は、ぐったりと疲れ果てて眠り込むという毎日の生活であった。
さらに長老達の前では立って歩くことを許されず、地に伏して膝で歩くという屈辱にも耐えねば
ならなかった。しかしこの賢い下男は、己の運命を格別辛いとも思わず、主人がいかに苛酷で、
課せられた仕事がいかに多くとも、耳目を塞いだり呼吸まで止めることができなかいことをもって
有り難いと思っていた。そしてある日、この男は自らが長老になり、長老が下僕になって働かされる
という逆転した不思議な夢を見た。毎日この逆転した夢を見ていくうちに、この男にとって夜の夢は
最高の楽しみとなっていった。日々の現実は、厳しい主人の下で一日中烈しい労働に追われ続ける
ことに変わりはなかったが、夜の夢の楽しさを思えばものの数ではなかった。そのうちにこの男の
顔つきは、至上の幸福に満ち溢れ光り輝くようになった。
三、
私は、この『幸福』という一風変わった物語を読んで、『山月記』の李徴のことを思い出さずには
いられなかった。李徴の場合、内なる誇り高い自己が外なる現実的自己としての下級官吏の生活を
甘んじて受け容れることができずに、内的自己と外的自己とが葛藤を起し、分裂を来たしてしまった
のであるが、これに対し『幸福』における“貧しく賢い下僕”の場合は、内なる誇り高い自己(夢の中の長老)
と外なる哀れなる下男とが“賢い下僕”の人格の中に、高い次元での統合がなされている。こ
の下男の外的現実は、苛酷な労働と屈辱の生活が続くのであるが、賢いこの男は、この苛酷な
自らの運命の現実を素直に受け容れ、さらに内面的世界は、誇り高い至福の境地に包まれていたのである。
『山月記』から『幸福』への主人公の変貌は、同時に作者の魂の成長の軌跡であった。
そして私は二十五年ぶりに読んだ『山月記』によって、自らの人生の課題を明確にすることができ、
さらには『幸福』という作品によって、その課題を解決する方向をはっきり掴んだのである。
2004年6月1日に日本でレビュー済み
中島敦の名作がそろってます。中島敦が好きなら、買いです。
芥川賞候補作になった『光と風と夢』が収録されていないがちょっと残念。(→ちくま文庫で出てる『中島敦全集』全三巻なら読めます)
池澤夏樹の解説はビミョー。
芥川賞候補作になった『光と風と夢』が収録されていないがちょっと残念。(→ちくま文庫で出てる『中島敦全集』全三巻なら読めます)
池澤夏樹の解説はビミョー。
2002年8月14日に日本でレビュー済み
珠玉の短篇が詰まった、素晴らしい作品集。寡作だった中島敦の作品の多くが収録されています。中国を舞台にした有名な「山月記」や「李陵」、南洋諸島での経験を題材にした作品、その他「かめれおん日記」や、「悟浄出世」などが収められています。
自分を厳しく見つめ、いかに生きるべきかを徹底して考え抜いている中島敦の作品は、さまざまな価値観が渦巻く現代において、自分の拠って立つべき場所はどこなのかを常に自問自答する大切さを教えてくれます。「山月記」の虎、「李陵」の司馬遷、「悟浄出世」の悟浄など、魅力ある登場人物が己の生き様を見つめる姿は、心を打ちます。
池澤夏樹氏が解説を書いていて、最後に素敵なおまけが付いている感じです。日本文学好きにはお勧めの一冊です。
自分を厳しく見つめ、いかに生きるべきかを徹底して考え抜いている中島敦の作品は、さまざまな価値観が渦巻く現代において、自分の拠って立つべき場所はどこなのかを常に自問自答する大切さを教えてくれます。「山月記」の虎、「李陵」の司馬遷、「悟浄出世」の悟浄など、魅力ある登場人物が己の生き様を見つめる姿は、心を打ちます。
池澤夏樹氏が解説を書いていて、最後に素敵なおまけが付いている感じです。日本文学好きにはお勧めの一冊です。