普通でない愛の形を描いている短編集である。
これが意外なメッケもんだった。まず表題作の「愛の矢車草」。ここでは小学生で父親になってしまった男の子を取り巻く世界が描かれる。何が素晴らしいといって、ここに登場する人物たちは自分の役割をこちらの期待通りに演じてくれるのである。小学生で子持ちになってしまった少年の大人びた苦悩、その少年の母の献身的な順応ぶり、少年の父の自分の過去を振り返ってのやり場のない劣等感と嫉妬からくる息子への恐怖。そしてあどけない赤ん坊。そのシチュエーションが、かなり読ませる。この作品には感心してしまった。
その他の作品も、あの『桃尻娘』にみられた青春の苦悩と、おふざけが混じりあった「愛の陽溜り」や、下着泥棒を描いているのに妙にほのぼのとさせられてしまう「愛の狩人」や、倒錯的なレスビアンの世界を描いたほのかに物悲しくてせつない「愛の牡丹雪」など、すべてなにかしら残るものがあった。期待以上の作品だった。
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愛の矢車草 (ちくま文庫 は 6-13 橋本治短篇小説コレクション) 文庫 – 2006/2/1
橋本 治
(著)
- 本の長さ295ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2006/2/1
- ISBN-104480421912
- ISBN-13978-4480421913
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2006/2/1)
- 発売日 : 2006/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 295ページ
- ISBN-10 : 4480421912
- ISBN-13 : 978-4480421913
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,241,196位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1948年東京生まれ。東京大学在学中に駒場祭のポスターで話題を集めるが、イラストレーターから小説家に転身。小説・評論・戯曲・古典の現代語訳・エッ セイ・芝居の演出など、ジャンルにとらわれず精力的に活動。『双調平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受けるなど受賞歴多数。小林秀雄賞選考委員(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 桃尻娘 (ISBN-13: 978-4591117552 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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