高齢化する団塊世代をあてこんでか、老後の生活をテーマにした本がやたらに増えてきた。定年後をどうすごすか、定年後は本を読もう、死に方、などなど、うーむ、いかにも小市民的ではないか。
「還暦以後」は、そんな定年本と似たようなタイトルだけど中身はまったく違う。還暦をキーワードに歴史上の人物たちが、どのように還暦を迎え、どのようにその後の人生を送ったのか。江戸末期から戦後まで、人物相互の関係性をたもちつつまるでしりとりのように繋げに繋げた還暦後の人生27人分。
あとがきに著者自身が書いているように、途中で方向性が似通ってきて読んでいて中だるみすることもあるので、そうなったら伊藤整あたりまでいったん飛んで、やや新しい人たちの還暦後やらエロスやらを読んでリフレッシュ、そうするとまた途中の人たちを楽しむことができるようになる。
「還暦」というだけあって、また著者が幕末・明治がメインの研究フィールドであるからか、明治の改暦の前後での日付の考え方や、干支についてかなりこだわりがあるようで、最初はそれがわずらわしいが、最後まで読むとそれもまた味わいなんだと思える。
何度かは読み直したくなりそう、また文章のテンポがいいので他の著作も読んでみたくなる。
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還暦以後 (ちくま文庫 ま 30-1) 文庫 – 2006/6/1
松浦 玲
(著)
- 本の長さ339ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2006/6/1
- ISBN-104480422366
- ISBN-13978-4480422361
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2006/6/1)
- 発売日 : 2006/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 339ページ
- ISBN-10 : 4480422366
- ISBN-13 : 978-4480422361
- Amazon 売れ筋ランキング: - 992,931位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,412位ちくま文庫
- - 14,419位日本史一般の本
- - 141,708位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2012年4月30日に日本でレビュー済み
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私は歴史はシロウトですが、勝海舟についての著者の関連文献から、この本に行きつきました。著者は海舟研究の第一人者(wikipedia参考)です。他の著書は学術的で、あまり著者が研究対象である海舟に抱いている著者自身の感想や思いは書かれていないように思いました。しかし、シロウトとしては、海舟のことをもっともよく知る人が、どのように海舟を評価するのかが知りたくてこの本を読みました。序章と1章のみが海舟で、それ以後は今の私にはまったく興味がない人物のことも書いてあります。ですが、その序章と1章のみでも、私には価値ある1冊でした。他の記載については、かなりその人物について知っていなくては楽しめない内容と思われ、正直私には難しすぎました。したがって星3つにしています。
2007年9月11日に日本でレビュー済み
長らく歴史の著述に携わってきた著者によれば、かつて見えてこなかったものが今になって見えてくるという体験がある。それは例えば、歴史的人物たちの「老年」期の身体的状況であったり、様々な思い・興味関心であったり…。こうした諸々は、博学博識をもって鳴る著者にして、同様の年齢を重ねて初めて腑に落ちることであったという。
確かにそういうことはあるかも知れぬ。そう思えば、還暦を過ぎた歴史家が歴史的人物たちの「還暦以後」に焦点を当てた歴史語りが興味深くないはずはない。還暦を過ぎて自らの幼少期や青春を振り返ると何が浮かび、何が沈むのか。還暦を過ぎたとき、何に、あるいは誰に魅せられるのか。勝海舟・徳富蘇峰に始まり、渋沢栄一・徳川慶喜に終わる叙述は、いまだその齢に及ばぬ読み手を未知への想像へと誘う。
遡っては法然、下っては松田道雄に至る、縦横無尽な27人の人物語りの中で、個人的にとりわけ興味を引いたのは、伊藤整・中村真一郎をめぐる「還暦以後の性」であった。これはもう、評者としては「そういうもんなんですかね…」と指をくわえて眺めている他ない。
参りました。まだまだ勉強させていただきます。
確かにそういうことはあるかも知れぬ。そう思えば、還暦を過ぎた歴史家が歴史的人物たちの「還暦以後」に焦点を当てた歴史語りが興味深くないはずはない。還暦を過ぎて自らの幼少期や青春を振り返ると何が浮かび、何が沈むのか。還暦を過ぎたとき、何に、あるいは誰に魅せられるのか。勝海舟・徳富蘇峰に始まり、渋沢栄一・徳川慶喜に終わる叙述は、いまだその齢に及ばぬ読み手を未知への想像へと誘う。
遡っては法然、下っては松田道雄に至る、縦横無尽な27人の人物語りの中で、個人的にとりわけ興味を引いたのは、伊藤整・中村真一郎をめぐる「還暦以後の性」であった。これはもう、評者としては「そういうもんなんですかね…」と指をくわえて眺めている他ない。
参りました。まだまだ勉強させていただきます。
2015年3月4日に日本でレビュー済み
あとがきに、曰く「・・それから何十年を経過すると、前には気付かなかったものがみえてくる」「還暦以後を、余生とみるのではなく、そこを足場にさまざまな人生を照射する。」と。
私は、未だ六十代の後半ですが、実感として解る部分もあります。歳を重ねる事は悲しみもあるが、楽しみもあります。
若い頃読んだ本を、歳を重ねてから読み直す事は、新たな発見や自分の変化に気づき、読書の醍醐味です。
この本を読んで、関心を持った人は、石川丈山、依田学海、松崎慊堂、伊藤整、松田道雄、杉田玄白達です。
丈山の富士山の漢詩は既読だが略歴は知らなかった。「学海日録」も面白そうであるし、松田道雄の老後の著作も読みたいし、杉田玄白の「耄耋独語」も読んでみたい。又、読みたい人・本が増えた!
私は、未だ六十代の後半ですが、実感として解る部分もあります。歳を重ねる事は悲しみもあるが、楽しみもあります。
若い頃読んだ本を、歳を重ねてから読み直す事は、新たな発見や自分の変化に気づき、読書の醍醐味です。
この本を読んで、関心を持った人は、石川丈山、依田学海、松崎慊堂、伊藤整、松田道雄、杉田玄白達です。
丈山の富士山の漢詩は既読だが略歴は知らなかった。「学海日録」も面白そうであるし、松田道雄の老後の著作も読みたいし、杉田玄白の「耄耋独語」も読んでみたい。又、読みたい人・本が増えた!
2022年6月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あまり期待していなかったが、大変興味深い内容で、これまで知らなかった人物について見識が深められてよかった。徳川慶喜の公爵じゅしゃく後の日記の存在がわかってよかったです。