先だってみた新聞コラムが面白かったので,ランダムにこの本
を買った。
2000年ごろの書評をタレント本、ベストセラーなどいく
つかの部類に分類し、5,60冊の本を書評しているが、名前
を知っている本は何冊かだけで、ほとんどが見たことのない本。
人の好みは様々である。
しかし、面白くないことはない。
とくに、最後のベストセラーの2、3冊。
もし世界が100人の村だったら」については。
富の60%を6人のアメリカ人が持っており、20人は栄養が
不十分だが、15人は太りすぎ、大学教育を受けているのが1
人で、14人は文字が読めない。
こういう有名な文句の後に、著者は本書の読者を100人に
ちじめたばあい、8人が自分の豊かな生活を反省し、5人が悲
惨な国の人々に心を痛め、4人が反戦メッセージと受け止め、
3人が反感を覚えるだろう、
残る80人は心が癒され、「私はまだまだ幸せだ」「日本人に
生まれてよかった。」と脳天気に考えるのだ、と。
たしかに、なんとお目出度い感想だろう。
藤原正彦、「国家の品格」は300万部も売れた大ベストセラ
ーだ。
山本七平「日本人とユダヤ人」、養老孟司「バカの壁」に並ぶ
ベストセラーであって、いずれも、'イ)海外体験に基づくこと、
ロ)日本を西洋と比較して論じる、'ハ)著者の本業でなく、余
技の作品であること、という共通点がある。
国家の品格は、論理を、西洋が作った論理を否定し、日本人の
情緒を評価することを基調とし、知性嫌いの日本人に迎合するも
のだが、これが大ヒットの原因であろう、と。
さて藤原氏は、経歴書にも数学者が本業といっており、、この
本は余技なのだが、さて、著者の本業の数学書はどれなのだろう。
その他
「声に出して読みたい日本語」斉藤孝とか、「国民の歴史」西尾
幹二とか。の書評が面白い
孝さんには、最近、「一日24時間フル回転で脳を動かしている
んですよ、」というグルコサミンか何かのTVCMがある
斉藤さんの書評の方法は、ただひとつ。
誰でも、偉い人でも、まさに偉いがために、何かに熱中していて、
傍からみると、なんだかおかしく見えることがある。
今で言えば、どこかの国の首相の自らを憲法を超越した高みに置
くハイテンションとか、
さきの藤原氏の、論理や人類史の成果を無視して、自分の持つ古
風な感覚を絶対視する「誇り」の感覚など。
注意すれば、どこにもユーモアの種は見えるのである。d
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趣味は読書。 (ちくま文庫 さ 13-3) 文庫 – 2007/4/1
斎藤 美奈子
(著)
- 本の長さ364ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2007/4/1
- ISBN-104480423133
- ISBN-13978-4480423139
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2007/4/1)
- 発売日 : 2007/4/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 364ページ
- ISBN-10 : 4480423133
- ISBN-13 : 978-4480423139
- Amazon 売れ筋ランキング: - 496,881位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
後世の「日本文学史」や「日本思想史」、真面目な研究者の書くそれらの本には決して登場しないだろう、ベストセラー本の数々。実にくだらなさそうな、とても今さら読む気など起らないが、やたら売れたそれらの本をちゃんと読んで書評した本書は、ある年代の日本の姿を映したとても意義ある貴重な資料だと思う。
2016年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一行(一言)でベストセラー本の中身が分かる便利な本です。
「酔っ払ったおっちゃんの呑気な居酒屋談義」
「読むほどにだんだん頭が悪くなっていく」
「気宇壮大な援助交際の物語」
「ぼけ防止」
「老人応援歌」
「包茎文学」
「微笑みがえし」、等々
斎藤さんが読書代行してくれたので、これ一冊読めば十分。無駄な時間が省けてうれしい。
「酔っ払ったおっちゃんの呑気な居酒屋談義」
「読むほどにだんだん頭が悪くなっていく」
「気宇壮大な援助交際の物語」
「ぼけ防止」
「老人応援歌」
「包茎文学」
「微笑みがえし」、等々
斎藤さんが読書代行してくれたので、これ一冊読めば十分。無駄な時間が省けてうれしい。
2007年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちょっと笑える部分はあるがあまりにも毒がありすぎると思う。
読んだことのあるベストセラーの説明をみても共感できる部分もあればちゃんと本の内容を理解していないのではないかと思ってしまうところもある。
大事なのはアマゾンに書かれている感想などよりも自分でその本を体験することだと思う。
この本の内容はベストセラーになったような本の感想をひたすら書いてある本です。
読んだことのあるベストセラーの説明をみても共感できる部分もあればちゃんと本の内容を理解していないのではないかと思ってしまうところもある。
大事なのはアマゾンに書かれている感想などよりも自分でその本を体験することだと思う。
この本の内容はベストセラーになったような本の感想をひたすら書いてある本です。
2006年10月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ぱっぱと読めて、面白い。
「ベストセラーを読んでいる人は、まわりにいない」という問題意識からはじまったコラムをまとめたもの。確かに本好きでベストセラーを読んでいる人は少ない。反対にベストセラーだけを読んでいる人も多いが。
読書家を自認する方は一度この本で、自分の読書傾向をチェックしてみたら面白いかも。
ここに出てくるカテゴリーで言えば、わたしは好きな本ばかりやたら読む偏食派。でも家にあれば何でも読んで、それなりに満足するタイプ。(いまいちカテゴライズしきれず)
「趣味は読書」の人は、この本は絶対読まないんでしょうね。本を偏愛する人々へのエールにもなっています。
「ベストセラーを読んでいる人は、まわりにいない」という問題意識からはじまったコラムをまとめたもの。確かに本好きでベストセラーを読んでいる人は少ない。反対にベストセラーだけを読んでいる人も多いが。
読書家を自認する方は一度この本で、自分の読書傾向をチェックしてみたら面白いかも。
ここに出てくるカテゴリーで言えば、わたしは好きな本ばかりやたら読む偏食派。でも家にあれば何でも読んで、それなりに満足するタイプ。(いまいちカテゴライズしきれず)
「趣味は読書」の人は、この本は絶対読まないんでしょうね。本を偏愛する人々へのエールにもなっています。
2022年10月25日に日本でレビュー済み
標題の通りです。
ちょっと古くなりましたが、確かにありました。「今は昔」を体現する著作のオンパレードで、こんな本、ありました。あったことだけ、微かな記憶があるだけです。古典として生き残れなかった著作の末路みたいです。かつて、ベストセラーとして一世を風靡した忘れられた本の数々を読破し、その書評集を出版された斎藤さんの読書への執念には頭が下がります。
ベストセラーなんて、所詮はいっときもので、いっときが過ぎれば過去の遺物。そのいい見本集か。でもやっぱりベストセラーになると凄い販売部数になるので、著者と版元の出版社は笑いが止まらないか?
こんな本を出すとベストセラーを購入するなんて無駄遣いだぞ!これを裏付ける動かぬ証拠となって、本の売れ行きに悪影響を及ぼしかねないので、よくぞ出版してくれました!その勇気と度胸の良さを褒めたたえたいです。
また、ベストセラーの傾向と対策か?これで書くとベストセラーで一攫千金を狙っているライター、特に貧困なフリーライターもどきと出版不況に悩む出版社に感謝されるのではありませんか?
そういう不逞の輩が出ないことを祈念します。
しかし、よくこれだけの本のネタバレを避けつつ解説する著書、斎藤美奈子さんのレベルの高さには敬意を表したいです。素敵な本、読ませてもらってありがとうございます。
重ねて面白い内容満載の斎藤ワールドに乾杯❣️
ちょっと古くなりましたが、確かにありました。「今は昔」を体現する著作のオンパレードで、こんな本、ありました。あったことだけ、微かな記憶があるだけです。古典として生き残れなかった著作の末路みたいです。かつて、ベストセラーとして一世を風靡した忘れられた本の数々を読破し、その書評集を出版された斎藤さんの読書への執念には頭が下がります。
ベストセラーなんて、所詮はいっときもので、いっときが過ぎれば過去の遺物。そのいい見本集か。でもやっぱりベストセラーになると凄い販売部数になるので、著者と版元の出版社は笑いが止まらないか?
こんな本を出すとベストセラーを購入するなんて無駄遣いだぞ!これを裏付ける動かぬ証拠となって、本の売れ行きに悪影響を及ぼしかねないので、よくぞ出版してくれました!その勇気と度胸の良さを褒めたたえたいです。
また、ベストセラーの傾向と対策か?これで書くとベストセラーで一攫千金を狙っているライター、特に貧困なフリーライターもどきと出版不況に悩む出版社に感謝されるのではありませんか?
そういう不逞の輩が出ないことを祈念します。
しかし、よくこれだけの本のネタバレを避けつつ解説する著書、斎藤美奈子さんのレベルの高さには敬意を表したいです。素敵な本、読ませてもらってありがとうございます。
重ねて面白い内容満載の斎藤ワールドに乾杯❣️
2017年9月18日に日本でレビュー済み
米原万里が書評集『打ちのめされるようなすごい本』(米原万里著、文春文庫)の中で絶賛している『趣味は読書。』(斎藤美奈子著、ちくま文庫。出版元品切れだが、amazonで入手可能)を手にしました。
1999年から2002年までのベストセラー41冊が俎上に載せられていますが、これらのベストセラーを私がほとんど読んでいないことに驚かされました。私のベストセラー嫌いが影響しているのでしょう。
その数少ない既読書のうちの一冊、『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク著、松永美穂訳、新潮文庫)に対する斎藤の辛辣な批評に、またまた驚かされました。驚きの連続攻撃です。
これは「包茎文学」だと、ばっさり切り捨てているではありませんか。
「少年ミヒャエル(主人公の『ぼく』、15歳)、性にめざめる」、「青年ミヒャエル、衝撃の事実を知る」、「中年ミヒャエル、再び朗読者になる」と、物語の概略を紹介した後で、「おわかりでしょうか。『朗読者』って、ものすごく『インテリの男に都合がいい小説』なのですよ。都合いいでしょう、どう見ても。少年・青年・中年期を通して『ぼく』は終始一貫『いい思い』しかしていない。少年時代には頼みもしないのに性欲の処理をしてくれて、青年時代にはドラマチックな精神の葛藤を提供してくれて、最後に(21歳年上の)彼女が死んでやっかい払いができるなら、『いい思い』のうちですよ。だいたい、この『ぼく』ってやつがスカしたヤな野郎なのだ。自分はいつも安全圏にいて、つべこべ思索してるだけ。で、この小説は、そんな知識階級のダメ男をたかだか『朗読』という行為によって、あっさり免罪するのである」と続きます。
「インテリの男性が好むインテリ男に都合のいい小説。なんてわかりやすいんだろう」。
「少年の心に知識の皮をかぶせて悶々とするぼくちゃん文学。身も蓋もないむき出しの小説ばかりの時代だから、こういうのが世紀の大傑作になっちゃうのか。知識人のおじさんたちって・・・いや、最後まではいわないでおきます」。これだけ言いたい放題で、未だ言い足りないというのでしょうか。
ことほどさように、驚かされると同時に、楽しめる辛口書評集です。
1999年から2002年までのベストセラー41冊が俎上に載せられていますが、これらのベストセラーを私がほとんど読んでいないことに驚かされました。私のベストセラー嫌いが影響しているのでしょう。
その数少ない既読書のうちの一冊、『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク著、松永美穂訳、新潮文庫)に対する斎藤の辛辣な批評に、またまた驚かされました。驚きの連続攻撃です。
これは「包茎文学」だと、ばっさり切り捨てているではありませんか。
「少年ミヒャエル(主人公の『ぼく』、15歳)、性にめざめる」、「青年ミヒャエル、衝撃の事実を知る」、「中年ミヒャエル、再び朗読者になる」と、物語の概略を紹介した後で、「おわかりでしょうか。『朗読者』って、ものすごく『インテリの男に都合がいい小説』なのですよ。都合いいでしょう、どう見ても。少年・青年・中年期を通して『ぼく』は終始一貫『いい思い』しかしていない。少年時代には頼みもしないのに性欲の処理をしてくれて、青年時代にはドラマチックな精神の葛藤を提供してくれて、最後に(21歳年上の)彼女が死んでやっかい払いができるなら、『いい思い』のうちですよ。だいたい、この『ぼく』ってやつがスカしたヤな野郎なのだ。自分はいつも安全圏にいて、つべこべ思索してるだけ。で、この小説は、そんな知識階級のダメ男をたかだか『朗読』という行為によって、あっさり免罪するのである」と続きます。
「インテリの男性が好むインテリ男に都合のいい小説。なんてわかりやすいんだろう」。
「少年の心に知識の皮をかぶせて悶々とするぼくちゃん文学。身も蓋もないむき出しの小説ばかりの時代だから、こういうのが世紀の大傑作になっちゃうのか。知識人のおじさんたちって・・・いや、最後まではいわないでおきます」。これだけ言いたい放題で、未だ言い足りないというのでしょうか。
ことほどさように、驚かされると同時に、楽しめる辛口書評集です。
2005年8月21日に日本でレビュー済み
斎藤氏の観察眼には感心します。単に本を観察するだけでなく、読み手に対しても
しっかり観察します。そのエッセンスは次の文章に集約されているでしょう。
善良な読者のお茶の間パワーにはかなわない。善良な読者は我田引水な誤
読の能力に長けている。逆にいうと、本の側にも誤読を許す「ゆるさ」があ
る。著者のメッセージを曲解するくらいは朝飯前。「この本に元気をもらい
ました」「これからも自分を大切にして生きていこうと思います」。何を読
んでも同じ感想をもてるようになったら、あなたも一人前の善良な読者であ
る。そして「てやんでえ。こんなゆるい本」と毒づく読者は、永遠に敗北し
続けるのである。
私も敗北し続けてもいいから、この観察眼を見習いたいと思いました。
しっかり観察します。そのエッセンスは次の文章に集約されているでしょう。
善良な読者のお茶の間パワーにはかなわない。善良な読者は我田引水な誤
読の能力に長けている。逆にいうと、本の側にも誤読を許す「ゆるさ」があ
る。著者のメッセージを曲解するくらいは朝飯前。「この本に元気をもらい
ました」「これからも自分を大切にして生きていこうと思います」。何を読
んでも同じ感想をもてるようになったら、あなたも一人前の善良な読者であ
る。そして「てやんでえ。こんなゆるい本」と毒づく読者は、永遠に敗北し
続けるのである。
私も敗北し続けてもいいから、この観察眼を見習いたいと思いました。