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恋人たち、幸せな恋人たち (ちくま文庫 ら 6-1) 文庫 – 2009/7/8

4.3 5つ星のうち4.3 2個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2009/7/8)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/7/8
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 312ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4480424156
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4480424150
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 2個の評価

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ヴァレリ−・ラルボ−
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年5月28日に日本でレビュー済み
学生の頃、大学のフランス語テキストとして短篇「ローズ・ルルダン」を読んだことがきっかけで、ヴァレリー・ラルボー(1881-1957)に興味をもち、短篇、中篇をほぼすべて読みました(長篇『A.O.バルナブース全集』は雰囲気がちがう感じがしたので、手を出さずじまい)。
 したがって本文庫に収められている中篇2編「フェルミナ・マルケス」と「恋人たちよ…」を読んだことはたしかに記憶しているものの、すっかりその内容は忘れてしまっていました。本文庫がたまたま手に入り、何十年ぶりかで再読したしだい。

 「フェルミナ・マルケス」では、コレージュ時代を少年の目にもどって回想する匿名の語り手「ぼく」が最初そして最後にでてくるけれど、物語は、その「ぼく」ではなく、自由間接話法を用いてジョアニー・レニオという少年の視点で多く語られていて、ときにそのレニオがしだいに惹かれてゆく少女フェルミナもその内面を自由間接話法で語りだすというようなところもあります。こうして物語の語りにあいまいというかおかしなところがありますが、読んでいく分にはまあさほど気になるほどでありません。

 少年を視点人物にした小説、少年「僕」による一人称体の語りというとすぐさまアメリカ文学のたとえば『ハック・フィン』とか『ライ麦畑で捕まえて』とか『草の竪琴』などを思い出します。たとえば『草の竪琴』では、回想される16歳のときの「僕」の視点で語り手コリンはみずからの物語を語りはじめます。ともあれその16歳のときの経験が、その目に映った自然や生活など身の回りの情景もふくめ、少年時の視点と感受性でもってみずみずしくかつノスタルジックに語られています。

 しかし、17世紀以来の古典主義的文学規範が強く、ある意味大人が読むための大人の文学が求められるフランスにあっては、20世紀以前には、少年や少女を視点にして、あるいは少年や少女の感受性に焦点をあてて物語が展開する小説というのはまずなかったというべきかもしれません。〈子供の領分〉が存在することも〈子供の情景〉を描くことも文学者に意識されなかったというわけです。
 ようやく20世紀になってプルーストのあの例の長い長い小説や、アラン・フルニエの『グラン・モーヌ』、そしてこのラルボーの短篇・中篇などで〈子供の発見〉がなされたというべきでしょうか。

 少年の目を視点にすえても、ラルボーにあってはそれは「小さな大人」にはなってはおらず、この短編では少年のたわいのない悪意や将来への幼い野心、上級生をうらやむ思いなどが縷々語られ、「少年らしさ」はたしかに感じられます。
 それでもしかし、アメリカのカポーティの小説などとくらべると文学的伝統がちがうのか、ラルボーのこの中篇などフランスのものはどこまでも人間心理の観察が中心、つまり人間の内面の動きを精細にとらえようとするフランス文学伝統の心理主義小説ふうのものに傾いてしまっているように感じられます。

 なお、校正ミスでしょうが、「劣等生mauvais élève」が「劣等性」になっている箇所が2,3カ所ほどありました。
2010年10月14日に日本でレビュー済み
名門寄宿学校に突如現れた美しい少女をめぐる、少年たちの心の動きを丹念に捉えた中編小説『フェルミナ・マルケス』、恋と孤独についての内省的な独白からなる短編『恋人たち、幸せな恋人たち』がおさめられています。
作者の来歴などを述べた詳しい解説が大変有益でした。
後者の短編はジョイスの『ユリシーズ』などに見られる「意識の流れ」の技法を用いたということになるのでしょうが、日本の近代文学を読みなれた者から見ると、私小説的な饒舌体という感じですので、特に読みにくいということもないと思います。
美しく繊細な青春小説をお探しの方はこれを。
同じ作者の作品をもっと読みたくなったので、今度はあの堀江敏幸が解説を書いている『幼なごころ』(翻訳は岩崎力)を読みます。
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