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夜露死苦現代詩 (ちくま文庫 つ 9-7) 文庫 – 2010/4/7
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- 本の長さ391ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2010/4/7
- 寸法10.8 x 2.2 x 15 cm
- ISBN-104480427023
- ISBN-13978-4480427021
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2010/4/7)
- 発売日 : 2010/4/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 391ページ
- ISBN-10 : 4480427023
- ISBN-13 : 978-4480427021
- 寸法 : 10.8 x 2.2 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 118,527位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1956年、東京生まれ。76年から86年までポパイ、ブルータス誌で現代美術、建築、デザイン、都市生活などの記事をおもに担当する。89年から92年にかけて、1980年代の世界の現代美術の動向を包括的に網羅した全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆活動、書籍編集を続けている。1993年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。1996年発売の『ROADSIDE JAPAN』で第23回・木村伊兵衛賞受賞。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中である。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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ヒップポップ、不良学生の学生服の刺繍、ラップは、個人的にはあまり興味を持てませんが、生生しいことばたち、不条理なことばたちに圧倒されます。
胸にせまるのは、死刑囚の俳句。
綱 よごすまじく首拭く寒の水(74頁)
統合失調症の少年が書いた、母におくる詩(231頁)は泣けます。
それから、相田みつをを黙殺しつづける、業界への問題提起もあります。
91年に亡くなってから現在まで、文学の分野からも書の分野からも、まともな評論がひとつとして出ていない。不思議だ、ほんとうに。(328頁)
ポーンと素材を投げ出されて、私たちは呆然とする。文学って何だっけ? 詩をどこか高尚なものだと神棚に供えてしまった、虚ろな自分の姿が見えてくるが、かといって、そこから何かを導き出したりもできない。でもそれは、嫌な感覚ではない。
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いま文庫も出ましたが、私は両方持ってます。
「都築響一」というフィルターを通すことで、取り上げる対象に自動的に付加されるのは、サブカル、あるいはアートの化粧だ。これが鼻についてしまう人も確かに存在するだろう。
だが、本書で取り上げられた「詩」の原典は、痴呆老人の独白であり、餓死した親子の日記であり、ネット上に溢れるエロサイトの宣伝文句であり、通常のジャーナリスト的アプローチでは、読むのが苦しくなるほど陰惨になったり、取り上げること自体がタブー視されるものも多く含まれている。
本書では、本来、こうした題材を書くのに、どうしても必要とされる大義(あるいは言い訳)を排除することで、言葉の持つ魅力を鮮やかに引き出している。これを可能たらしめたのは、やはり都築響一という特権的おしゃれフィルターがゆえだろう。冒頭の「詩は死んでなんかいない。死んでるのは現代詩業界だけ」というアジテーションも見事。編集者として、理想の仕事だと思う。
そして、都築氏の編集技術すら不要なほどの高みに到達しているのが、故・玉置宏氏の話芸だ。果たして今、ここまで美しい日本語が存在するのだろうか。
本来、言葉のプロを自称している文学者や評論家の面々が、いま日本で生まれ消えていこうとしている「リアルな言葉」を集め、論じ、記録する責務を負っているのではないか?彼らはその任を放棄してはいないか?そんな詩壇や文壇への怒りを源泉として本書は執筆されている。
著者はそれをたった一人、仲間もなく続けようとする。あらゆる場所に詩があって、あらゆる人に言葉がある。
暴走族の「夜露死苦」は、彼らの行き場のない衝動を漢字に込めた現代詩だ。
道端に落ちている言葉を丹念に拾い集める孤高の使命感が感動的な一冊。
個人的には玉置宏の話芸(歌謡曲のイントロで語る曲紹介)に触れた章が好きだ。
文学者や評論家が見向きもしない、あるいは敢えて無視しているような言葉が、ある確かな力を持って人々の心を動かしている。
詩や文学と呼ばれるものが持っていたはずの役割をいま放棄しているとすれば、
プロの文学者が語る「詩」「文学」は何を担い、どこに向かって進んでいるのか。
そんな状況に対するプロの文学者の「リアルな言葉」こそが、著者が本当に聞きたいことなのかもしれない。
精神的に普通でない人が書いた言葉とか、とある神社の参道に吊るされたエロ川柳とか、見世物小屋の口上だとか、
ワープロ変換のミスにより生まれた珍妙なフレーズとか、アメリカのHIPHOPのトップチャート曲とか、内容は実に多岐に渡る。
未発見のユニークな言葉を知ることができる良書だと思う。
ただ、筆者がやたらに現代詩業界に対して突っ掛かる点はどうかと思った。
巻末の谷川俊太郎氏との対談にまでその妙な反感を持ち込むに至っては辟易させられた。
どうも筆者は「力のある言葉、カッコいい言葉、リアルな言葉」を発見して世に知らしめるところまでを詩人の職責と考え、
それがなされていないことを現代詩業界の怠慢や驕りのように捉えているようだが、それは個人的にどうかと思う。
本書のような、市井の詩の紹介する試みがこれまであまり為されていなかった責任を、
マーケティングに極めて不熱心な詩オタクのみに帰するのは少々酷ではなかろうか?