この卷は4卷目。7月革命の残余の中パリの市民は蜂起する。パリの浮浪児ガヴローシュの行動を追う。マリウスは、このガヴローシュと一緒にバリケードの中で戦う。そこへ密偵として侵入したジャヴェール警部を捉え私刑にしようと柱に縛り付けられ囚われの身となる。この章の中にはルソーなどの思想家の名前が挙がる。1830年の7月革命からの市民の間にくすぶり続ける不満が爆発し暴動へと発展する中にマリユスは反政府秘密結社の一員として活動、コゼットへの思いは尽きない。
1830年から1840年代のヨーロッパ諸国の思想家、文学者、政治家を論じながら自由主義と民主主義とのせめぎ合い、共産主義思想の浸潤とフランス社会が揺れる様子を歴史的に叙述しジャン・ヴァルジャンの革命軍への参加、そしてマリウスの捜索、バリケード内の様子が描かれる。
ここは、叙事詩的と言うように歴史叙述が淡々と述べられる。しかしユゴーは1830年代の社会を歴史物語として叙述する。ここはユゴーの「レ・ミゼラブル」のクライマックスにあたる。ここがユゴーが述べたいところで一巻目よりより熱弁をふるう。情景は生き生きとしている。
この卷読まずして「レ・ミゼラブル」の核心に触れることはできない。全体の核心は捕えられない。この章なくして語れない。長編で分厚い所ですが一編を一気に読み切ってしまいます。是非、一読を。
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