Amazonで購入させていただきました。
著者は、
①引きこもり
②ラカンの精神分析
③病跡学(『関係の化学としての文学』で2010年の日本病跡学会賞を受賞)
④思春期・青年期の精神病理学
が専門の精神科医です。
本レビュー執筆当時(2016/8/24)には著者の母校・筑波大学の教授になっていらっしゃいます。
本書は表題のとおり、「キャラクターを精神分析する」というものです。
そして結論はというと、単行本版のレビュアーの方も書いていらっしゃいますが、
「キャラとは同一性(のコンテクスト)(だけ)を伝達する記号」
というものです。
あるいは、
「人間」ー「単独性」=「同一性」(=「キャラ」)
とも変奏されます。
そして、その「キャラ」とは「DID(解離性同一性障害」(昔は多重人格障害と呼ばれたもの。たとえば『24人のビリー・ミリガン』)の交代人格と同じものとされます。
著者の他の著書で読んだことがありますが、かっての「人格障害の時代」(『17歳のカルテ』がいい例ではないでしょうか)から「解離の時代」に現代はなっているみたいです(そういえば著者には『解離のポップスキル』という著書もあります)。
日本に「キャラ」文化が膾炙した時期と「解離性同一性障害」の患者数が増加した時期が期を一にするのは偶然ではない、とされます。
著者は、「文庫版のあとがき」で「キャラの統一場理論」を目指そうとした、と書いています。
たしかに、目次を以下に列挙すると、
第1章「キャラ」化する若者たち
第2章「キャラ」の精神医学
第3章「キャラ」の記号論
第4章 漫画におけるキャラクター論
第5章 小説におけるキャラクター論
第6章 アートとキャラの関係性について
第7章 キャラの生成力
第8章 キャラ”萌え”の審級ーーキャラクターとセクシュアリティ
第9章 虚構としてのキャラクター論
第10章 キャラクターとは何か
という風になっています。
たしかに、いろいろな角度から「キャラクター」(もしくは「キャラ」)を考察しています。
著者の博覧強記ぶりが伺えます。
ぼくはこの本を読みおわったあとに、本書の内容と通底する『文脈病』(結論は「顔はコンテクストである」)と『戦闘美少女の精神分析』(結論は「戦闘美少女はファリック・ガールである」)をまた読みたくなってしまいました。
ぼくはこういった「キャラ」や「キャラクター」に興味がなかった人間ですが(というより、門外漢というべきでしょうか)一個の批評作品として純粋に楽しめました。デビュー作品である『文脈病』の硬い感じの書き方ではなく(もちろんあの文体も好きですが)、本書は非常にリーダブルですので2、3時間程度でサクサクと読めます。
オススメです。
*文庫版は単行本版を増補や改訂をしたものではありません。
**解説を書かれているのは造形作家で批評家の岡崎乾二郎さんです。
註)ぼくは「キャラクター」や「キャラ」や「精神分析」について無知であることをお断りしておきます。
そのため、上記の文章に間違いが含まれるかもしれません。
その点、ご寛恕願えれば幸いです。
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キャラクター精神分析: マンガ・文学・日本人 (ちくま文庫 さ 29-7) 文庫 – 2014/11/10
斎藤 環
(著)
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ゆるキャラ、初音ミク、いじられキャラetc.。現代日本に氾濫する数々のキャラたち。その諸相を横断し、究極の定義を与えた画期的論考。
- 本の長さ327ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2014/11/10
- 寸法10.8 x 1.4 x 14.8 cm
- ISBN-104480432264
- ISBN-13978-4480432261
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2014/11/10)
- 発売日 : 2014/11/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 327ページ
- ISBN-10 : 4480432264
- ISBN-13 : 978-4480432261
- 寸法 : 10.8 x 1.4 x 14.8 cm
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上位レビュー、対象国: 日本
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2022年4月1日に日本でレビュー済み
斎藤環さんの『戦闘美少女の精神分析』を読んでみたら文章がめっちゃ読みにくくて、この『キャラクター精神分析』も読みにくいのかなあ…と不安になりながら読んでみました。読了後の感想としては、『戦闘美少女の精神分析』と比べてかなり読みやすい文章だったなと思います。それにしても斎藤さんの評論には独特の読みづらさがありますね。
第1章はスクールカーストなどで「キャラ化」する若者たちについて。第2章は精神医学で「キャラ」を考えます。第3章は「キャラ」の記号論です。
第4章は漫画におけるキャラクター、第5章は小説におけるキャラクター、第6章はアートにおけるキャラクターについて。
第7章は「初音ミク」「せんとくん」「AKB48」など、当時話題になったキャラについて。第8章は「萌え」に関するかなり込み入った話。第9章は東浩紀の「データベース理論」「ゲーム的リアリズム」への応答が多かったです。
そして第10章で、斎藤さんは「キャラクターとは何か」という彼なりの究極の定義に到達します。
この本は『キャラクター精神分析』という題名が付いていますが、私が読んだ限りでは『キャラクター存在論』という題名にしたほうが正鵠を射ていると思います。確かにこの本では斎藤さんのご専門であるラカン理論がしょっちゅう出てくるのですが、それ以上に「キャラクターとは何か」の定義を与える記述が多いと感じた。この本を最終章まで読んで、この考察は結局キャラクターの存在論的な定義を探求する冒険だったんじゃないかと思いました。
第1章はスクールカーストなどで「キャラ化」する若者たちについて。第2章は精神医学で「キャラ」を考えます。第3章は「キャラ」の記号論です。
第4章は漫画におけるキャラクター、第5章は小説におけるキャラクター、第6章はアートにおけるキャラクターについて。
第7章は「初音ミク」「せんとくん」「AKB48」など、当時話題になったキャラについて。第8章は「萌え」に関するかなり込み入った話。第9章は東浩紀の「データベース理論」「ゲーム的リアリズム」への応答が多かったです。
そして第10章で、斎藤さんは「キャラクターとは何か」という彼なりの究極の定義に到達します。
この本は『キャラクター精神分析』という題名が付いていますが、私が読んだ限りでは『キャラクター存在論』という題名にしたほうが正鵠を射ていると思います。確かにこの本では斎藤さんのご専門であるラカン理論がしょっちゅう出てくるのですが、それ以上に「キャラクターとは何か」の定義を与える記述が多いと感じた。この本を最終章まで読んで、この考察は結局キャラクターの存在論的な定義を探求する冒険だったんじゃないかと思いました。
2020年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文壇へ向けた提案的な向きが強い本だと思います。
色々な本から概念を引っ張り出してくるのですごいこと言ってるみたいな箔が付いてますが、
全体的に一般人向けの説明が少なく、「この程度の概念は分かるだろう、有名な本だから読んでて当然だろう」という前提でポンポン話が進みます。
記号学、哲学、精神分析、とりわけラカン周辺の概念についてはもはや何から引いてきたかすら言うまでもなかろうといった感じ。
「僕の言いたいことはもうお分かりだろう」「○○を読まれた方は気付いただろう」という言い回しが象徴的です。内輪でやり取りされたもの、あるいは飛躍する独り言を読んでる感じです。
さいわい私には心理学と記号学についての初歩的な理解と美術的な経験があったので、本書が言わんとすることは大筋は察せました。
しかしラカンや言語学、哲学を引用して深淵な言い回しをする場面では、一文ずつ単語を調べながらつぶさに読んでも文章レベルで何を言ってるのか分からないレベルでした。追々リベンジしたいと思います。
執筆に八年かかる「難産」だったそうですが、非の打ち所がない用に主張しようとしてかえって掴みどころがない感じ。
精神科医だからこそ、人格形成に関連する事柄を単純明快に言い表すことは許されないのかもしれませんが、この人の中でもいまいち消化不良のようにも感じました。単純に私の理解が足りてないのでしょうが。
「漫画のキャラ」と、DIDやポストモダンにおける「円滑に生きるためのキャラ」についての関連は、精神科医ならではの発想でなるほどと思いました。
色々な本から概念を引っ張り出してくるのですごいこと言ってるみたいな箔が付いてますが、
全体的に一般人向けの説明が少なく、「この程度の概念は分かるだろう、有名な本だから読んでて当然だろう」という前提でポンポン話が進みます。
記号学、哲学、精神分析、とりわけラカン周辺の概念についてはもはや何から引いてきたかすら言うまでもなかろうといった感じ。
「僕の言いたいことはもうお分かりだろう」「○○を読まれた方は気付いただろう」という言い回しが象徴的です。内輪でやり取りされたもの、あるいは飛躍する独り言を読んでる感じです。
さいわい私には心理学と記号学についての初歩的な理解と美術的な経験があったので、本書が言わんとすることは大筋は察せました。
しかしラカンや言語学、哲学を引用して深淵な言い回しをする場面では、一文ずつ単語を調べながらつぶさに読んでも文章レベルで何を言ってるのか分からないレベルでした。追々リベンジしたいと思います。
執筆に八年かかる「難産」だったそうですが、非の打ち所がない用に主張しようとしてかえって掴みどころがない感じ。
精神科医だからこそ、人格形成に関連する事柄を単純明快に言い表すことは許されないのかもしれませんが、この人の中でもいまいち消化不良のようにも感じました。単純に私の理解が足りてないのでしょうが。
「漫画のキャラ」と、DIDやポストモダンにおける「円滑に生きるためのキャラ」についての関連は、精神科医ならではの発想でなるほどと思いました。