ストーリーや展開は大しておもしろいものではありません。
大抵酒を飲んでいて、誰かに会えば、そいつをぶちのめしているか、ぶちのめされているかです。
ですが読む人を物語のなかへ一気に引きずり込んでしまうような強烈な文体は飽きさせずにとてもおもしろく、
誰彼かまわずぶん殴って中指立てられたら中指立て返してさっさと立ち去ってしまうような
主人公のはちゃめちゃな行動に惹きつけられてしまい、あっという間に読んでしまいました。
ブコウスキーを楽しんで読めるようになると真面目に文学を貫いたような装飾だらけの美文を読むのが
退屈に思えてきます。
荒唐無稽な展開が起きてもこればどういう意味だろうか、とか難しく考えずに
ありのままを素直に受け入れて読めばとても楽しくなります。
文学的には〇世紀の必読書みたいなものにランクインもせず評価されないのもわかりますし、
こんなもの低俗だと馬鹿にする人がいるのもわかります。
ブコウスキーは大好きな作家のひとりになるか、大嫌いな作家になるかの極端さがあります。
私はこんなに面白い小説に久しぶりに出会えたと思えました。
訳に関しては難解な語句もなく、この方の訳をもっと読みたくなる非常に読みやすい現代を生きている文でした。
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パルプ (ちくま文庫 ふ 50-1) 文庫 – 2016/6/8
チャールズ・ブコウスキー
(著),
柴田 元幸
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
人生に見放され、酒と女に取り憑かれた超ダメ探偵が次々と奇妙な事件に巻き込まれる。伝説的カルト作家の遺作、待望の復刊!解…
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2016/6/8
- 寸法10.7 x 1.3 x 14.9 cm
- ISBN-104480433473
- ISBN-13978-4480433473
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2016/6/8)
- 発売日 : 2016/6/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 336ページ
- ISBN-10 : 4480433473
- ISBN-13 : 978-4480433473
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 14.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 212,413位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
コンディションは期待どおりで満足です
2020年8月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そこに『伝説の怪作、解禁!』『エンタメ小説の最高到達点』などという矛盾した謳い文句が並べられてありますが、無視したほうがいいでしょう。
感想としては、稀有な文学です。『パルプ』という題名だからエンタメですと決めつけるのは早計というもの。たしかにスラスラと読みやすい、会話文も多くサクサク読み進めることができます。小難しい文学ではありません。しかし文学的エッセンスが随所に散りばめられており、それがこの作品およびブコウスキーならではの妙味であり深みであると思いました。エンタメだと、たかをくくってしまうと、ややともすれば読み飛ばしてしまうので、注意深く読んだほうが良いのではないでしょうか。
感想としては、稀有な文学です。『パルプ』という題名だからエンタメですと決めつけるのは早計というもの。たしかにスラスラと読みやすい、会話文も多くサクサク読み進めることができます。小難しい文学ではありません。しかし文学的エッセンスが随所に散りばめられており、それがこの作品およびブコウスキーならではの妙味であり深みであると思いました。エンタメだと、たかをくくってしまうと、ややともすれば読み飛ばしてしまうので、注意深く読んだほうが良いのではないでしょうか。
2016年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカの作家ヘンリー・チャールズ・ブコウスキー(1920 - 1994)が1994年に発表した遺作 “PULP” の邦訳。
本作はハードボイルド小説のパロディです。メタ・ハードボイルドといって思い浮かぶのは、同じアメリカ人作家トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』。しかしながら『LAヴァイス』のばあい一応フーダニットやホワイダニットなどミステリー的構造が踏襲されている一方、本作のばあい私立探偵、謎の美女、ギャングなどお約束のモチーフが登場するものの、中身は完全に荒唐無稽。死神やら宇宙人やら喋る動物まで登場するうえ、ひたすらバカバカしい展開が続きます。
たしかに不条理な出来事ばかり起きるので万人向きではりません。けれど、美女が探偵事務所に訪れるハードボイルドの定型をパロディした、最初の数ページのくだらないやりとりを気に入れば、不器量な私立探偵ニック・ビレーンが巻き込まれる喜劇に終始クスクスやニヤニヤがとまらないはず。
また、本作の主人公の名前「ニック・ビレーン」はおそらく、映画『カサブランカ』におけるハンフリー・ボガートの役名「リック・ブレイン」のもじりです。もちろんボガードは、チャンドラーの小説『大いなる眠り』の映画版『三つ数えろ』でフィリップ・マーロウを演じた俳優。ボガートあるいはマーロウとは真逆に、硬派でもなければ、情けなくみじめで、無能な探偵にそうした名前をつける作者のいたずら心がうかがえます。
それでも本作は単なるおフザケ喜劇に終始した作品ではありません。本作の底流にはハメットやチャンドラーが生みだしたハードボイルドの精神が流れています。ニック・ビレーンは歴代のハードボイルド小説の私立探偵のように、自分自身が社会から疎外されたアウトサイダーだからこそ、理不尽な社会を冷静に見つめることができます。たとえば、彼は言います。
「善人だって通りで寝てる奴はいっぱいいる。あいつらは馬鹿なんじゃない、時代のメカニズムに噛みあわないだけだ。時代の要請なんてコロコロ変わるし。酷な話だ。夜、自分のベッドで眠れるだけでも、世の力に対する貴重な勝利だ」(pp.225-226)
ブコウスキーはビレーンのことばを借りて、本作の世界なんかよりもずっと現実世界のほうが不条理じゃないのかと問いかけているようです。アイロニックな眼差しによる社会風刺に満ちながら、けっしてシニシズムに陥らないあたたかさ。そこに、死の病の宣告を受けながらも本作を執筆し続けた、ブコウスキーの人間としての強さを感じとることができると思います。
本作はハードボイルド小説のパロディです。メタ・ハードボイルドといって思い浮かぶのは、同じアメリカ人作家トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』。しかしながら『LAヴァイス』のばあい一応フーダニットやホワイダニットなどミステリー的構造が踏襲されている一方、本作のばあい私立探偵、謎の美女、ギャングなどお約束のモチーフが登場するものの、中身は完全に荒唐無稽。死神やら宇宙人やら喋る動物まで登場するうえ、ひたすらバカバカしい展開が続きます。
たしかに不条理な出来事ばかり起きるので万人向きではりません。けれど、美女が探偵事務所に訪れるハードボイルドの定型をパロディした、最初の数ページのくだらないやりとりを気に入れば、不器量な私立探偵ニック・ビレーンが巻き込まれる喜劇に終始クスクスやニヤニヤがとまらないはず。
また、本作の主人公の名前「ニック・ビレーン」はおそらく、映画『カサブランカ』におけるハンフリー・ボガートの役名「リック・ブレイン」のもじりです。もちろんボガードは、チャンドラーの小説『大いなる眠り』の映画版『三つ数えろ』でフィリップ・マーロウを演じた俳優。ボガートあるいはマーロウとは真逆に、硬派でもなければ、情けなくみじめで、無能な探偵にそうした名前をつける作者のいたずら心がうかがえます。
それでも本作は単なるおフザケ喜劇に終始した作品ではありません。本作の底流にはハメットやチャンドラーが生みだしたハードボイルドの精神が流れています。ニック・ビレーンは歴代のハードボイルド小説の私立探偵のように、自分自身が社会から疎外されたアウトサイダーだからこそ、理不尽な社会を冷静に見つめることができます。たとえば、彼は言います。
「善人だって通りで寝てる奴はいっぱいいる。あいつらは馬鹿なんじゃない、時代のメカニズムに噛みあわないだけだ。時代の要請なんてコロコロ変わるし。酷な話だ。夜、自分のベッドで眠れるだけでも、世の力に対する貴重な勝利だ」(pp.225-226)
ブコウスキーはビレーンのことばを借りて、本作の世界なんかよりもずっと現実世界のほうが不条理じゃないのかと問いかけているようです。アイロニックな眼差しによる社会風刺に満ちながら、けっしてシニシズムに陥らないあたたかさ。そこに、死の病の宣告を受けながらも本作を執筆し続けた、ブコウスキーの人間としての強さを感じとることができると思います。
2016年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読む前に“鬼が出るか蛇(邪)が出るか”とつぶやいたが、出た!死神と宇宙人(しかも蛇形)「俺の予知能力!」まぁ冗談は置いといて…グダグダの探偵物語、依頼された案件は成り行き任せで呑んだくれ、会うやつ皆に絡まずにいられない暴力的で刹那的、アンチハードボイルドか、形而上文学を気取ってか、実人生に対する諦観なのか?死が隣り合わせの不可解なライトノベル。
2016年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ちくま文庫版も持ってるのですが
装丁が素晴らしいので新潮文庫版も
購入しました。
装丁が素晴らしいので新潮文庫版も
購入しました。
2021年11月6日に日本でレビュー済み
不良性どころではない、飲み物はアルコールしか存在していない小説を描くブコウスキー。上記作は著者の遺作です。
アルコール中毒に三度の離婚、放浪生活と作者自身が体現しており(!)数々の著作に、ヘンリー・チナスキーの名で自身の分身も登場しています。
正直、上品さと真逆の文体、人間の欲を丸裸にした内容は、生理的にお嫌いな方は多そうです……。
私はというと、俗に塗れながらも、ルイ=フェルディナン・セリーヌ、ヘミングウェイに心酔する彼の本音が見え隠れしつつ、パースペクティブな描写に惹かれてしまいます。
ゴロツキで『自称・LAいちの名探偵』ニック・ビレーンの元に、<30年以上前に死没した>作家・セリーヌを見かけたので探してほしいと、<死の貴婦人>から依頼が。死んだ作家の追跡と同時に、不倫調査と赤い雀探しの依頼まで舞い込みます。
競馬と酒に明け暮れ、訳ありな輩達に脅されていると、突然ニックの前に超美女の宇宙人が現れて……。
「SF展開なの?」 と思いきや、そうでもない。亡くなっている筈の作家・セリーヌそっくりさんとの邂逅で様々なピースが嵌められ、すぐにぶち壊されます。
ラストシーンには唖然、絶対にミステリ小説とは言えません!(笑)
けれど、どうしようもない欠陥ばかりのニックを嫌いになれない、彼の世の中の見つめ方はどこか冷静で、愛らしくもあります。
編集者・安原顯さん、作家・高橋源一郎先生は愛読者に挙げています。
小説家だけが持つ大胆なのに繊細な視線が、ブコウスキーの不思議な魅力じゃないかと個人的には思います。短編集『ありきたりの狂気の物語』等でも、えぐ味をふんだんに味わえます。
アルコール中毒に三度の離婚、放浪生活と作者自身が体現しており(!)数々の著作に、ヘンリー・チナスキーの名で自身の分身も登場しています。
正直、上品さと真逆の文体、人間の欲を丸裸にした内容は、生理的にお嫌いな方は多そうです……。
私はというと、俗に塗れながらも、ルイ=フェルディナン・セリーヌ、ヘミングウェイに心酔する彼の本音が見え隠れしつつ、パースペクティブな描写に惹かれてしまいます。
ゴロツキで『自称・LAいちの名探偵』ニック・ビレーンの元に、<30年以上前に死没した>作家・セリーヌを見かけたので探してほしいと、<死の貴婦人>から依頼が。死んだ作家の追跡と同時に、不倫調査と赤い雀探しの依頼まで舞い込みます。
競馬と酒に明け暮れ、訳ありな輩達に脅されていると、突然ニックの前に超美女の宇宙人が現れて……。
「SF展開なの?」 と思いきや、そうでもない。亡くなっている筈の作家・セリーヌそっくりさんとの邂逅で様々なピースが嵌められ、すぐにぶち壊されます。
ラストシーンには唖然、絶対にミステリ小説とは言えません!(笑)
けれど、どうしようもない欠陥ばかりのニックを嫌いになれない、彼の世の中の見つめ方はどこか冷静で、愛らしくもあります。
編集者・安原顯さん、作家・高橋源一郎先生は愛読者に挙げています。
小説家だけが持つ大胆なのに繊細な視線が、ブコウスキーの不思議な魅力じゃないかと個人的には思います。短編集『ありきたりの狂気の物語』等でも、えぐ味をふんだんに味わえます。
2017年5月11日に日本でレビュー済み
この作品の主人公の私立探偵は、美人の宇宙人から
「あんたは三流よ、ビレーン」と言われます。(129頁)
この作品は「悪文」に捧げられています。
のんべんだらりの、「悪文」に捧げられた三流探偵の小説、
そんなパルプ小説を書きまくるブコウスキーは、
三文小説家をワザと自認しているかのようです。
すべての文学のジャンルをごちゃ混ぜにしたような、しないような
スカスカの文体は、「文学のジャンル」分けそのものをスカシテ
茶化しているように見えます。
だから、この作品は、純文学や純粋な恋愛に疲れた人、
変愛中の偏愛者におすすめのお笑い小説です。
この緊張感ゼロの作品を一気読みしちゃい、脱力すること必死。
ブコウスキーの言う「悪文」とは、
やはり訳者の柴田元幸先生が言うような、「文学」から限りなく
「遠いところにいる」文章(ちくま文庫版あとがき)なんですね。
でも、「ブコウスキー、やっぱりすごい」。
文学から遠すぎて、漫画の、屁のような「吹き出し」に近い乗りの
セリフが、妙にクサくて面白い。クセになりそう。とにかく文句なし。
他に、色とりどりの色彩が出てくるので、総天然色の映画のように
ケバケバしく美しく気味悪い。
例えば、美人の宇宙人が出たり入ったりするときの「紫の光」。
「赤い雀」に「赤く染めたカナリア」。イエロー・ページ。
「赤い雀」のくちばしの内部の、とてつもなく大きな「黄色の光の渦」。
原色の、原則の無い、無秩序の配色がアンバランスで、
この作品の不安感をかき立てています。
特に、緑は、競馬馬の「グリーン・ムーン」。
チューブから絞り出した「緑色」の歯磨き剤。
バーテンの爪に描かれた「小さな緑色の十字架」。
「赤いドレス」を着た若い美人の「瞳は緑」。
弁護士の着ている「ダークグリーンのシャツ」。
おっと、忘れてはいけない。
表紙の安野光雅の絵の中の、壁に貼られた映画のポスターを。
美女にせまる、気味悪い、頭でっかちの「緑の宇宙人」に注目。
うっとりする表紙です。
B級映画の最高傑作「禁断の惑星」。原作はシェークスピア。
ブコウスキーの快作『パルプ』が、この「ちくま文庫版」で復活したのは、
最初の学研版から数えると、なんと37年も経っているのだそうです。
それなのに、この作品は、ちっとも色あせていません。
「パルプ・マガジン」は読み終わったらゴミ箱直行、
なので色あせる暇もないようです。
272頁で、女がハンドバッグを開けて、いろんなものを引っぱり出した
なかに「ビールの栓抜き」が出てきました。
そういえば昔、居酒屋でビールを頼むと
必ず女が栓抜きでプシュッと栓を抜いて
おっとっと言いながらコップに注いでくれたな。
「あんたは三流よ、ビレーン」と言われます。(129頁)
この作品は「悪文」に捧げられています。
のんべんだらりの、「悪文」に捧げられた三流探偵の小説、
そんなパルプ小説を書きまくるブコウスキーは、
三文小説家をワザと自認しているかのようです。
すべての文学のジャンルをごちゃ混ぜにしたような、しないような
スカスカの文体は、「文学のジャンル」分けそのものをスカシテ
茶化しているように見えます。
だから、この作品は、純文学や純粋な恋愛に疲れた人、
変愛中の偏愛者におすすめのお笑い小説です。
この緊張感ゼロの作品を一気読みしちゃい、脱力すること必死。
ブコウスキーの言う「悪文」とは、
やはり訳者の柴田元幸先生が言うような、「文学」から限りなく
「遠いところにいる」文章(ちくま文庫版あとがき)なんですね。
でも、「ブコウスキー、やっぱりすごい」。
文学から遠すぎて、漫画の、屁のような「吹き出し」に近い乗りの
セリフが、妙にクサくて面白い。クセになりそう。とにかく文句なし。
他に、色とりどりの色彩が出てくるので、総天然色の映画のように
ケバケバしく美しく気味悪い。
例えば、美人の宇宙人が出たり入ったりするときの「紫の光」。
「赤い雀」に「赤く染めたカナリア」。イエロー・ページ。
「赤い雀」のくちばしの内部の、とてつもなく大きな「黄色の光の渦」。
原色の、原則の無い、無秩序の配色がアンバランスで、
この作品の不安感をかき立てています。
特に、緑は、競馬馬の「グリーン・ムーン」。
チューブから絞り出した「緑色」の歯磨き剤。
バーテンの爪に描かれた「小さな緑色の十字架」。
「赤いドレス」を着た若い美人の「瞳は緑」。
弁護士の着ている「ダークグリーンのシャツ」。
おっと、忘れてはいけない。
表紙の安野光雅の絵の中の、壁に貼られた映画のポスターを。
美女にせまる、気味悪い、頭でっかちの「緑の宇宙人」に注目。
うっとりする表紙です。
B級映画の最高傑作「禁断の惑星」。原作はシェークスピア。
ブコウスキーの快作『パルプ』が、この「ちくま文庫版」で復活したのは、
最初の学研版から数えると、なんと37年も経っているのだそうです。
それなのに、この作品は、ちっとも色あせていません。
「パルプ・マガジン」は読み終わったらゴミ箱直行、
なので色あせる暇もないようです。
272頁で、女がハンドバッグを開けて、いろんなものを引っぱり出した
なかに「ビールの栓抜き」が出てきました。
そういえば昔、居酒屋でビールを頼むと
必ず女が栓抜きでプシュッと栓を抜いて
おっとっと言いながらコップに注いでくれたな。