初めて、著者の読みました。
明快な文書を欠くと思いました。
経済学の考え方を、抽出したエッセイのように感じます。
価値論を生産側から捉える「古典派」と需要の側から捉える「限界革命派」との違い、
経済社会を「飛躍せず」と連続的に捉えるマーシャルと「飛躍する」と捉えるシュンペーターの違い、
アダムスミス以来の「自由主義」とフリードマンの「自由放任主義」との違い、
現在の賃金率のような歴史的偶然の産物」を「合理的選択の原理という概念で捉えること」への、J・ロビンソンの批判、
センが感じた新古典派の「経済人」モデルへの疑問
等についての明快な説明が、ポイントを突いて心に響きました。
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経済学はこう考える (ちくまプリマー新書 100) 新書 – 2009/1/1
根井 雅弘
(著)
- ISBN-104480688013
- ISBN-13978-4480688019
- 出版社筑摩書房
- 発売日2009/1/1
- 言語日本語
- 本の長さ124ページ
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2009/1/1)
- 発売日 : 2009/1/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 124ページ
- ISBN-10 : 4480688013
- ISBN-13 : 978-4480688019
- Amazon 売れ筋ランキング: - 531,962位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年10月31日に日本でレビュー済み
「個人が利己的に行動するといっても、彼の行動は他人の「同感」が得られない限り社会的に正当であるとは認められないので、おのずと他人の同感が得られる程度にまで自分の行動や感情を抑制するからp.21」「個人が利己的な行動をしても社会に秩序が成り立つp.21」とスミスは考えた。こうして市場重視の考えが成り立つ。
しかし、ケインズによれば、「供給はそれみずからの需要を作り出すp.46」という「セーの法則」を前提としては、「非自発的失業」は説明できない。それは雇用量を決める「国民所得」は、「総供給と総需要が等しくなるところp.51」「貯蓄と投資が等しくなるところp.52」で決定されるため、完全雇用に対応する国民所得の水準に一致する保証が全くなく、「消費も投資も完全雇用をを実現するにはあまりにも足りなかったp.54」場合には、「働く意欲がありながら雇用されない非自発的失業者が大量に出現p.54」してしまうからである。「非自発的失業が生じているとき、政府は積極的に消費や投資を増やすための政策を立案し、それを実行p.54」しなければならない。
しかし、こうした総需要の管理による完全雇用の達成は「満ち足りた選挙多数派」の現状肯定主義(ガルブレイズ)、求人が多くなり労働者の交渉力が強くなることを嫌う経営者の思惑と物価上昇により保持している貨幣の価値が下がることを嫌がる富裕な人々の利害(J・ロビンソン)、受益者がアフリカ系アメリカ人であることに対する白人の反発(クルーグマン)といった政治的障害により達成されない。
このように「経済学者が経済学と社会の関係を、社会問題の解決方法をどう検討してきたか」について、スミスから現存の経済学者にまでおおまかに網羅し関連づけて説明している。「いま、教科書で「真理」のように記述されている事柄も、将来は、「真理」ではなくなる可能性もあるp.8」「時代の「通説」を鵜呑みにすることなく、その再検討を通じて新しい経済理論に辿り着p.8」く必要があることが良く解かる。おススメ。
しかし、ケインズによれば、「供給はそれみずからの需要を作り出すp.46」という「セーの法則」を前提としては、「非自発的失業」は説明できない。それは雇用量を決める「国民所得」は、「総供給と総需要が等しくなるところp.51」「貯蓄と投資が等しくなるところp.52」で決定されるため、完全雇用に対応する国民所得の水準に一致する保証が全くなく、「消費も投資も完全雇用をを実現するにはあまりにも足りなかったp.54」場合には、「働く意欲がありながら雇用されない非自発的失業者が大量に出現p.54」してしまうからである。「非自発的失業が生じているとき、政府は積極的に消費や投資を増やすための政策を立案し、それを実行p.54」しなければならない。
しかし、こうした総需要の管理による完全雇用の達成は「満ち足りた選挙多数派」の現状肯定主義(ガルブレイズ)、求人が多くなり労働者の交渉力が強くなることを嫌う経営者の思惑と物価上昇により保持している貨幣の価値が下がることを嫌がる富裕な人々の利害(J・ロビンソン)、受益者がアフリカ系アメリカ人であることに対する白人の反発(クルーグマン)といった政治的障害により達成されない。
このように「経済学者が経済学と社会の関係を、社会問題の解決方法をどう検討してきたか」について、スミスから現存の経済学者にまでおおまかに網羅し関連づけて説明している。「いま、教科書で「真理」のように記述されている事柄も、将来は、「真理」ではなくなる可能性もあるp.8」「時代の「通説」を鵜呑みにすることなく、その再検討を通じて新しい経済理論に辿り着p.8」く必要があることが良く解かる。おススメ。
2015年9月18日に日本でレビュー済み
ずっと以前、根井先生(私淑しておりますのでこう呼ばせていただきます)の著作をたまたま本屋で見つけ、読んでみたのが『ケインズを学ぶ』。ケインズがただの経済学者ではないことに感動しました。読後、著者のプロフィールを見てびっくりしました。その本を書かれたのが34歳?! 最近、この『経済学はこう考える』をやはりたまたま見つけて、「あっ根井先生だ!」と懐かしくなり、買って読みました。こちらはもっとわかりやすく、高校生で経済学部を目指すぐらいの子には良いと思います。大人の方で「経済学を学んで株でも始めようか」などと思っている人は方向性が違います。なぜなら、「ケインズにとって、経済学とは目的ではなく、手段に過ぎなかったのです」という一文が出てくることでもわかるように,、人が豊かに、幸せに生きていくことが目的で、経済学はそれに供される道具だという立場を、多分、ケインズの言葉を借りながら、根井先生は表明されていると思うからです。ケインズ以外にもジョーン・ロビンソンや真逆のフリードマンなどの経済学者も出てきます。彼(彼女)らの考えも、よく要点を絞って紹介してあり、わかりやすかったです。どうしてこんなに濃い内容を124ページにできたのかと、根井先生を尊敬いたします。
2009年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代につながる経済学の基礎を作った一人であるマーシャルと、その弟子ケインズに最初の2章を割き、ケインズ理論をめぐる論争と保守派の盛衰、クルーグマンに至る現代経済学を、彼らの思想、考え方を中心に解説する。分かりやすい文章と、経済学に対する感情的な誤解を解こうとする姿勢は評価できる。
ただ、左派にやや甘く、市場重視派に冷淡だ。小泉改革の背景にあったのが「市場原理主義」で、改革が格差拡大の原因になったかのような記述はアンフェアで、知らない読者が読めばそのように受け取るだろう(格差拡大は90年代に始まっている)。
もう少し突っ込んだ内容を読みたい人には、同じ著者の『物語 現代経済学』が良い。
ただ、左派にやや甘く、市場重視派に冷淡だ。小泉改革の背景にあったのが「市場原理主義」で、改革が格差拡大の原因になったかのような記述はアンフェアで、知らない読者が読めばそのように受け取るだろう(格差拡大は90年代に始まっている)。
もう少し突っ込んだ内容を読みたい人には、同じ著者の『物語 現代経済学』が良い。
2009年2月10日に日本でレビュー済み
経済状況をめぐるニュースが毎日のように新聞・テレビから垂れ流されるが、結局何が起こり次に何が起きるのか?そもそもの原因は何か?皆目わからない。
経済学という学問が過去から研究され続け、今も多くの学者・研究者・エコノミスト・実務家がいるはずなのに、彼らの間での話も神学論争の様でもあり、宗教問答の様でもあり、永遠に結論が出ないかの様相だ。
本書は、過去の経済学研究史上の偉人と呼ばれる人々が、何を動機に経済学研究を志、何を残したか。その成果の上に次の時代の学者が、何に興味を引き付けられ、どんな言説を引き継ぎその上にどんな形で新たな成果を生み出したか、現在に残された課題は何かを中高生でも理解できることを目標に書かれた新書です。
本書は、多くの場合、実際には原典に触れることなく評論の対象あるいは状況の「戦犯」とされることの多いケインズ、マーシャル、J.ロビンソン、ハイエク、フリードマンらを、時代背景と関連させながら手際良く紹介していく。
経済学が科学の衣をまといながらも、その学説は当事者の人間に対する見方・捉え方が分岐点を成している様でもある。
根井氏は、それぞれの名を成した経済学者たちの思いに立ち返り学説の等身大の姿を紹介している。
私は、未完のケインズ左派の言説に興味を持った。
経済学という学問が過去から研究され続け、今も多くの学者・研究者・エコノミスト・実務家がいるはずなのに、彼らの間での話も神学論争の様でもあり、宗教問答の様でもあり、永遠に結論が出ないかの様相だ。
本書は、過去の経済学研究史上の偉人と呼ばれる人々が、何を動機に経済学研究を志、何を残したか。その成果の上に次の時代の学者が、何に興味を引き付けられ、どんな言説を引き継ぎその上にどんな形で新たな成果を生み出したか、現在に残された課題は何かを中高生でも理解できることを目標に書かれた新書です。
本書は、多くの場合、実際には原典に触れることなく評論の対象あるいは状況の「戦犯」とされることの多いケインズ、マーシャル、J.ロビンソン、ハイエク、フリードマンらを、時代背景と関連させながら手際良く紹介していく。
経済学が科学の衣をまといながらも、その学説は当事者の人間に対する見方・捉え方が分岐点を成している様でもある。
根井氏は、それぞれの名を成した経済学者たちの思いに立ち返り学説の等身大の姿を紹介している。
私は、未完のケインズ左派の言説に興味を持った。
2009年5月2日に日本でレビュー済み
全4章から構成される本書は,本文120頁強の小さな作品だ。しかし単なる紹介や解説とは違い,著者である根井氏の「経済哲学」ともいうべき内容が冷静かつ平易に語られている。「ジュニア向けの本」ではあるが,あらためて「経済学とは何か」や「経済学の考え方」を真摯に学び直したい人にも優れた指針を提供するであろう。本書は「読む」というより一文一文を「味わう」作品ではなかろうか。
氏の処女作は20代の若さで刊行された『現代イギリス経済学の群像』(1989年)。本書においてもそこで扱われた論者が随所に登場し,彼自身のこれまでの経済学研究の軌跡を髣髴とさせる仕上がりとなった。マーシャル,ケインズそしてJ・ロビンソンなど,現在の学生が主体的に読まなくなった作品の魅力を明快に論じる姿勢には,彼らの学説に対する愛着が潜んでいることは当然だが,教科書で「通説」といわれるものがいつの日か「真理」でなくなり,再検討を迫られることがあるかもしれないという率直な問題意識も反映されている。更にいえば,自分なりの研究分野をしっかりともち,広い視野と謙虚な心構えで学ぶことの重要性が示唆されている。
それが本書執筆の目的であり,全体を通じて強調したいメッセージであろう。たとえば著者は,「J・ロビンソンの『経済学者にだまされるな』というモットーは、『正統』『異端』を問わず,たとえ著名な学者や研究者の言うことであっても,それを鵜呑みにすることなく,まず自分の頭で徹底的に考えてみることをすすめる教訓として捉えるとよいのではないでしょうか」(103頁)と述べている。なかなか印象深い見解だ。カッセル方程式の間違いを指摘したことをめぐる,京大教授の柴田敬氏の勇気ある行動(信念)を想起させられた。巻末にある安井琢磨氏の「日本経済学の反省」を扱った記述も示唆に富む。「経済学のさらなる発展に努めている」著者の研究動向に今後も注視したい。
氏の処女作は20代の若さで刊行された『現代イギリス経済学の群像』(1989年)。本書においてもそこで扱われた論者が随所に登場し,彼自身のこれまでの経済学研究の軌跡を髣髴とさせる仕上がりとなった。マーシャル,ケインズそしてJ・ロビンソンなど,現在の学生が主体的に読まなくなった作品の魅力を明快に論じる姿勢には,彼らの学説に対する愛着が潜んでいることは当然だが,教科書で「通説」といわれるものがいつの日か「真理」でなくなり,再検討を迫られることがあるかもしれないという率直な問題意識も反映されている。更にいえば,自分なりの研究分野をしっかりともち,広い視野と謙虚な心構えで学ぶことの重要性が示唆されている。
それが本書執筆の目的であり,全体を通じて強調したいメッセージであろう。たとえば著者は,「J・ロビンソンの『経済学者にだまされるな』というモットーは、『正統』『異端』を問わず,たとえ著名な学者や研究者の言うことであっても,それを鵜呑みにすることなく,まず自分の頭で徹底的に考えてみることをすすめる教訓として捉えるとよいのではないでしょうか」(103頁)と述べている。なかなか印象深い見解だ。カッセル方程式の間違いを指摘したことをめぐる,京大教授の柴田敬氏の勇気ある行動(信念)を想起させられた。巻末にある安井琢磨氏の「日本経済学の反省」を扱った記述も示唆に富む。「経済学のさらなる発展に努めている」著者の研究動向に今後も注視したい。
2010年8月9日に日本でレビュー済み
〜人間社会にとって幸福とは?自由とは?平等とは?
景気や雇用不安を考えるための入門書〜
と帯には書いてあるが、幸福・自由など倫理的な事柄は余り書かれてない。
だが著者は、現代経済学者ら(主にマーシャル、ケインズ、J・ロビンソン)がどのような目的を現実に対する苦悩とともに抱いて経済学者として生きたのかを論じることで、読者自身に、経済社会の中での人間の幸福や自由・平等について考えてもらいたいのではないだろうか。
難しくなりすぎないよう配慮はされているとは感じたが、第二章からは経済の専門的な内容が含まれているので、予備知識がないと途中で読み飛ばしたくなるかもしれない。
景気や雇用不安を考えるための入門書〜
と帯には書いてあるが、幸福・自由など倫理的な事柄は余り書かれてない。
だが著者は、現代経済学者ら(主にマーシャル、ケインズ、J・ロビンソン)がどのような目的を現実に対する苦悩とともに抱いて経済学者として生きたのかを論じることで、読者自身に、経済社会の中での人間の幸福や自由・平等について考えてもらいたいのではないだろうか。
難しくなりすぎないよう配慮はされているとは感じたが、第二章からは経済の専門的な内容が含まれているので、予備知識がないと途中で読み飛ばしたくなるかもしれない。