以前のヴァレリー全集とは少し違った編集方針でまとめた集成。「夢の幾何学」のタイトルで，夢や想像力，イメージ，意識,無意識，自意識，自我，などに関する論考集。哲学や精神分析（心理学？）などに近いかも。中身は「カイエ」からのものが圧倒的に多い。プレイヤード判 oeuvre からのは「人と貝殻」，「神話に関する小書簡」，あとは「混淆集」からの作品などなど小品（？）がいくつか。
それにしても，今回の新訳で（この巻に限らず）やっと「普通に読める」日本語翻訳になった（それでも内容はなかなか難解）。前回の数十年前の翻訳は（専門家に失礼ながら）学生の仏文和訳の練習みたいな文章がいっぱいあった（特に詩論の巻）。おかげで無理して原書で読み，フランス語を勉強する良い機会になったが，しかしこれだけの量を全部フランス語で読むなど，私程度の語学力ではチトつらい。これだけの翻訳をなさった先生のご苦労は相当のものであったと思われる。しかもお1人で。 塚本先生有難うございました。そしてお疲れ様でした。
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