自分がもし今、突然天に召されたとして、物に生まれ変われるとしたら。
とりつくしま係にそんな風に問いかけられたりしたら、果たしてどう答えるだろう。彼女が日中、画像処理の仕事で覗いているパソコンの画面だろうか。
若い頃、失恋した。どのくらいその人を好きだったかと言えば、その人そのものになってしまいたいくらい好きだと感じていたのだ。
この連作短篇集のなかに『名前』という作品がある。主人公はホームレスの老人。彼は、大好きな図書館司書の小雪さんのネームプレートに生まれ変わった。
ネームプレートだから、愛しい人の顔を見ることができるのは、彼女が昼休みに歯磨きしながら、鏡に写っている時だけ。それでも、彼女のふくよかな胸を感じていられるだけで嬉しいのだ。
ホームレスの男が抱く「好きな相手そのものになってしまいたい」という願望は「命を持たない物にしか生まれ変われない」規則からは逸脱していた。
それにしても、女性の作者に、こんなに男の気持ちがわかるのだということに少し驚いている。すごい。
東さんの歌集も詩集も随筆も読み、これで小説も読んだことになるが、散文はやさしい言葉を使っているのに巧いのだ。
『名前』には、嬉しい結末が待っていた。できれば生きて幸せになりたいとも強く感じた。
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とりつくしま (単行本) 単行本 – 2007/5/7
東 直子
(著)
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死んで心残りがある人は、この世の何かを「とりつくしま」にできる。妻は夫のマグカップに、母は息子のロージンに。切なくてちょっぴり苦い、不思議な10の物語。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2007/5/7
- ISBN-104480804072
- ISBN-13978-4480804075
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商品の説明
著者からのコメント
モノになって、世界を見つめ直したら、世界がとても新鮮に見え
てきました。つくづく今、生きてきるということは、まったく奇跡的で、それだ
けでひどくいとおしいことなどだ、と痛感しました。
てきました。つくづく今、生きてきるということは、まったく奇跡的で、それだ
けでひどくいとおしいことなどだ、と痛感しました。
出版社からのコメント
死んでしまったあとの魂が、もう一度会いたい人のまわりにある
モノにとりつくことで、不思議な物語が生まれます。
さらさらと流れるように入ってくる言葉が、ときにふいをついて、心にズキンと
響きます。
モノにとりつくことで、不思議な物語が生まれます。
さらさらと流れるように入ってくる言葉が、ときにふいをついて、心にズキンと
響きます。
著者について
1996年「草かんむりの訪問者」にて歌壇賞受賞。
歌集『春原さんのリコーダー』『青卵』『愛を想う』(画・木内達朗)『東直子集』
小説『長崎くんの指』エッセイ集『今日のビタミン*短歌添え*』
共著『短歌があるじゃないか。』『短歌はじまMした。』『回転ドアは、順番に』
歌集『春原さんのリコーダー』『青卵』『愛を想う』(画・木内達朗)『東直子集』
小説『長崎くんの指』エッセイ集『今日のビタミン*短歌添え*』
共著『短歌があるじゃないか。』『短歌はじまMした。』『回転ドアは、順番に』
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2007/5/7)
- 発売日 : 2007/5/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 208ページ
- ISBN-10 : 4480804072
- ISBN-13 : 978-4480804075
- Amazon 売れ筋ランキング: - 191,365位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,828位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年5月2日に日本でレビュー済み
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2021年5月23日に日本でレビュー済み
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泣ける短編物語でした。
毎日を大切に過ごさなければと思いました。
毎日を大切に過ごさなければと思いました。
2014年6月27日に日本でレビュー済み
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電車移動など「ひまつぶし」にさくっと読める短編です。モノに取り付くので、題材は”死”ですが、かすかに余韻が残る程度で重くありません。
2019年4月10日に日本でレビュー済み
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歌人という作者ならではのリズムの良さと心地よい文章で、あっという間に読める短編が詰まっています。
中学生の息子を残して旅立つ母や、新婚の夫と交通事故で死別してしまう女性、アナフラキシーショックで亡くなった男の子、実は有り得ないようなファンタジックな設定ながらもそれを現実のようにサクサクと受け入れて読み進む事ができます。
この世から去る心残りの気持ち、家族や愛する人を思う気持ちは誰の心をも揺さぶるのだなぁと改めて思い出させてくれる短編集です。
ラストのお話は芥川っぽくてこの本の余韻をますます引き立てているなと、唸りました。
流石歌詠み人ですね。
中学生の息子を残して旅立つ母や、新婚の夫と交通事故で死別してしまう女性、アナフラキシーショックで亡くなった男の子、実は有り得ないようなファンタジックな設定ながらもそれを現実のようにサクサクと受け入れて読み進む事ができます。
この世から去る心残りの気持ち、家族や愛する人を思う気持ちは誰の心をも揺さぶるのだなぁと改めて思い出させてくれる短編集です。
ラストのお話は芥川っぽくてこの本の余韻をますます引き立てているなと、唸りました。
流石歌詠み人ですね。
2016年10月27日に日本でレビュー済み
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短編集なので読みやすく短時間で読めました。
死後の話でもあるので少し悲しく、そして切ない。
「日記」「マッサージ」では思わず涙が。
とても静かに読める本です。
読んでよかった。
死後の話でもあるので少し悲しく、そして切ない。
「日記」「マッサージ」では思わず涙が。
とても静かに読める本です。
読んでよかった。
2017年6月15日に日本でレビュー済み
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私は死んだら何にとりつこうか・・・?とか死んだ父とか義母や義父は近くの何かにとりついていて何処かから見られてるのかしら?などといろいろと考えさせられました。
2007年11月5日に日本でレビュー済み
知っている人のモノになることで、色々なエピソード、想いの行き渡りが
考え付くと思うのですが、ほとんどの話で主人公の視点と主人公が見ている
対象の日常を描くことに終始していて、悪い意味で普遍的な作品になっている感じです。
あまり詩的でも無く・・・・アイデアのみで勝負でグッドデザイン賞をもらっちゃう
商品のような・・・
話によって、触覚があったり無かったりするのも、統一してほしいところ。
モノになる必然が欲しかったです。
考え付くと思うのですが、ほとんどの話で主人公の視点と主人公が見ている
対象の日常を描くことに終始していて、悪い意味で普遍的な作品になっている感じです。
あまり詩的でも無く・・・・アイデアのみで勝負でグッドデザイン賞をもらっちゃう
商品のような・・・
話によって、触覚があったり無かったりするのも、統一してほしいところ。
モノになる必然が欲しかったです。
2017年5月12日に日本でレビュー済み
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ありえない話ですが、このような設定だからこそいろいろ想像できてよいのかな?