山田風太郎さん(以下「やまふー」)のものは小説もエッセイも大好物なので、ついつい後の楽しみにとっておいてしまいます。本書も発行後だいぶ経ち、ようやく読みました。やはりおもしろい! 解説によると、やまふーの既刊のエッセイ集『風眼抄』、『半身棺桶』、『死言状』、『あと千回の晩飯』、『風太郎の死ぬ話』に未収録のエッセイを、テーマ別に編集したとあります。その五冊シリーズの一冊目。やまふーが作家稼業に入るきっかけとなった探偵小説・推理小説に関するものを中心に収録しています。
「結婚ということは、原則として、こっちに或る心的飛躍がなければ、とても敢行できるものではない。この心的飛躍を熱情という。」という箴言から何を言うかと思えば、「……探偵小説を情婦の位置におこうと思った。」「探偵小説は、指が六本ある――乃至は一本足りない、絶世の美女に似ている。」という、やまふー独特の怪論。探偵小説・推理小説に対する若き日の情熱がうかがえます。江戸川乱歩ら探偵小説作家との交流の様子も書かれていて、先輩に当たる江戸川乱歩についても、「禿げれば尊しわが師の恩」などと飄々としているのがやまふーらしい。
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わが推理小説零年: 山田風太郎エッセイ集成 単行本 – 2007/7/25
山田 風太郎
(著)
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2007/7/25
- ISBN-104480814914
- ISBN-13978-4480814913
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2007/7/25)
- 発売日 : 2007/7/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 318ページ
- ISBN-10 : 4480814914
- ISBN-13 : 978-4480814913
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,148,698位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 31,833位エッセー・随筆 (本)
- - 102,407位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1922年、兵庫県生まれ。東京医科大学卒業。47年、「宝石」新人募集に応募した「達磨峠の事件」がデビュー作。48年「眼中の悪魔」で第2回探偵作家 クラブ賞短編賞を受賞。その後「甲賀忍法帖」を始めとした忍法帖シリーズなどを精力的に発表した。2000年、日本ミステリー文学大賞受賞。01年7月死 去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 八犬傳 下(新装版) (ISBN-13: 978-4331614044)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
山風の既刊エッセイ集は、わりあい歳を経てから書かれたものばかりでした。
そのため油が抜けきったと言いますか、達観した人生観を淡々と綴った文章が多かったものです。
しかし本書は、まだ若く作家論や作品論を模索し、隠しながらも隠しきれない覇気を抱いていた時代のものも収録しています。
その鋭い論理にははっとするものが多く、さすが天才と唸らされるものがあります。
作品論や作家論といったエッセイも、まとまって読めるとなると興味深いものがあります。
親愛の念がにじみ出た乱歩、横溝正史、高木彬光、阿佐田哲也らを語る文章の数々。
筒井康隆について書かれた二編は、この二人は似たもの同士だとわかって興味深いものが。
改めて山田風太郎の才気と情熱を発見できる、ファン必須の一冊といえるでしょう。
そのため油が抜けきったと言いますか、達観した人生観を淡々と綴った文章が多かったものです。
しかし本書は、まだ若く作家論や作品論を模索し、隠しながらも隠しきれない覇気を抱いていた時代のものも収録しています。
その鋭い論理にははっとするものが多く、さすが天才と唸らされるものがあります。
作品論や作家論といったエッセイも、まとまって読めるとなると興味深いものがあります。
親愛の念がにじみ出た乱歩、横溝正史、高木彬光、阿佐田哲也らを語る文章の数々。
筒井康隆について書かれた二編は、この二人は似たもの同士だとわかって興味深いものが。
改めて山田風太郎の才気と情熱を発見できる、ファン必須の一冊といえるでしょう。
2007年8月28日に日本でレビュー済み
今から25年ほど前、星新一『きまぐれ読書メモ』で、『風眼抄』を紹介していたのを読んだのが、山田風太郎を知った最初である。
数年後に中公文庫に収録されて読むことができ、果たして期待通り面白かった。
本書収録の「筒井康隆に脱帽」では、「ことしの直木賞は筒井さんにあげるといいな」などと、呑気らしく書いているのが風太郎さんらしい。
近ごろ評判の星さんの評伝を読むにつけ、星さんが風太郎さんのような心境でいらしたのだったらなあ、と思ってしまう。
ともあれ、本書の出版は日下三蔵氏の優れた仕事で、いつもながら有り難い。
解説によるとシリーズの予定らしいが、売れ行き次第のようにも見える。
続刊を期待する向きは、迷わず購入しましょう。
数年後に中公文庫に収録されて読むことができ、果たして期待通り面白かった。
本書収録の「筒井康隆に脱帽」では、「ことしの直木賞は筒井さんにあげるといいな」などと、呑気らしく書いているのが風太郎さんらしい。
近ごろ評判の星さんの評伝を読むにつけ、星さんが風太郎さんのような心境でいらしたのだったらなあ、と思ってしまう。
ともあれ、本書の出版は日下三蔵氏の優れた仕事で、いつもながら有り難い。
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