今までよく知られていなかったカリフォルニア・ゲイカルチャーとの関係の究明に、最初と最後を当てるという構成。その分、代表作『言葉と物』には掘り下げ不足が目立つ。
高校の頃からサルトリアンを自称していた評者としては、覇権知識人の座の後を襲ったフーコーは30過ぎて読み始めたので、あまり人物像を知らなかったが、本書で、サルトルよりむしろ興味深いかもと考えを改めた。ボーウォアールと生涯の伴侶だのマルクス主義への転向だのと、サルトルには良心的知識人臭が鼻についた。その点フーコーは逆で、市民社会の規範を最初から逸脱したところがあった。けれども、それならそれで、「5月革命」なんぞに参加せずに、最初から性的マイノリティーとしてのアジール(避難所)作りを心がけていればと思うのだが、これも後知恵というものだろうか。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ミシェル・フーコー/情熱と受苦 単行本 – 1998/12/1
- 本の長さ519ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日1998/12/1
- ISBN-104480842470
- ISBN-13978-4480842473
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
「フーコーはエイズで死ぬことを知りながらゲイ専用のバスハウスに通っていた」 噂を発端に、フーコーの友人達の証言も織り込みながら、その最も「独自」で「不穏」な力のありかへ肉迫し、「哲学的生」を鮮やかに描き出す。
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (1998/12/1)
- 発売日 : 1998/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 519ページ
- ISBN-10 : 4480842470
- ISBN-13 : 978-4480842473
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,038,419位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 806位フランス・オランダの思想
- - 1,970位西洋哲学入門
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.5つ
5つのうち3.5つ
2グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年5月5日に日本でレビュー済み
2009年12月2日に日本でレビュー済み
「フーコーはエイズで死ぬことを知りながらゲイ専用のバスハウスに通い、その病いを他の人々にうつそうとした」という衝撃的なオビの文句(ひとつの噂)に惹かれて読んでみたが、これは一人の人間フーコーに肉薄したものとしては、おそらく最も優れたものではないか?
勿論、「人間フーコー」という実存的な在り様と彼自身の哲学的業績は一応は別物である。とは言え、哲学・思想とは一人の人間から生み出される以上は、人間フーコーの身体を離れてはあり得ないことも事実ではあろう。
現今ますますアクチュアリティーが増してきたフーコー思想に興味がある読者にとって必読というばかりではない。生き難いこの世をいかにして生き延びるか、しかも一人生き延びるのではなく他者とともに生きるかを考えている御仁には、涙なくして読めない評伝でもあろうと思われる。
勿論、「人間フーコー」という実存的な在り様と彼自身の哲学的業績は一応は別物である。とは言え、哲学・思想とは一人の人間から生み出される以上は、人間フーコーの身体を離れてはあり得ないことも事実ではあろう。
現今ますますアクチュアリティーが増してきたフーコー思想に興味がある読者にとって必読というばかりではない。生き難いこの世をいかにして生き延びるか、しかも一人生き延びるのではなく他者とともに生きるかを考えている御仁には、涙なくして読めない評伝でもあろうと思われる。