「コンテクストを変えろ」
上の言葉は、この本で何度も出てくる。
受験英語で「context = 文脈」と覚えた自分にはすぐには意味が分からなかったが、
つまるところ「言葉が理解される背景」即ち「言葉を捕える自分の頭の価値観」を変えろということらしい。
同じ言葉でも理解する土台によって意味や効能が異なるのだ、と。
この本はそれを繰り返し言っている（何回出てくるか数えたいくらい）。
5分で5,000ドルを稼ぐ、という話を聞いた時、自分の脳みそが素直にそれを受容し興味を持つことができるか、
或いはそれが認識できる領域を超えてしまい、「ありえない」「嘘だ」とシャットアウトしてしまうか。
どんな人だってお金持ちになれる可能性があるのに、実際になれる人となれない人がいる理由はそこだ、と著者は言う。
まぁ確かに、そうかも、と思う。
私自身も（世間からしたら些細で凡庸な）成功体験があり、当時それについて周囲から疑問視されても、
自分の中では「絶対イケる」と思っていたし、それは現実になった。
今もこっそりと自分のために進めている計画があり、人に言うと笑われそうなので黙っているが、「イケる」と思って進めている。
普通の人にとって無理なことでも、「自分ならできる」と心から信じ"られる"ことが大事なのだ、という著者の主張は
フンフンと納得しつつ、自信を貰いつつ読むことができた。
この本の主張は平たく言えばそれだけだ。細かい金融の説明（コールオプションや空売り等）もあるが、オマケにすぎない。
強いて付箋を貼ったところといえば↓くらい。
・未来を見るもう一つの方法は過去を学ぶことだ。
・所得を勤労所得、ポートフォリオ所得、不労所得で考える
・明日という言葉ほど、人の人生をダメにする言葉はない
・負けた時に勝つにはどうしたらいいか？
・勝利の出口戦略を持つ
・InvestorのIはIgnorantのIではない
余談だが、このシリーズに対しては色々賛否両論あるのは知っているが、
それでもこの著者の「ものの書き方」がうまいことは認めざるを得ない。最後の鏡の国の話も個人的には愉快だった。
「金持ちになるのにリスクもお金（初期資金）も要らない世界」を鏡の国というならば、
差し詰め投資関連のHowTo本が魔導書で、我々は駆け出しの魔法使いだろうか。
そして魔導書で勉強し、自分独自の魔術体系を編み出して、この世界のどこかにある鏡の扉を見つけ出すのか。
ファンタジー系のRPGや映画は今でも好きな人間には、現実のアスファルトジャングルは無味乾燥な砂漠かもしれないが、
そのどこかに鏡の国への入り口があると思えば、もう少し頑張ってみるのも楽しいかもしれない。
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