「植民地美術」としてのラテンアメリカ美術という視点のもつ射程は広い。征服者であるヨーロッパ人がつくった他者表象を利用し、改変しつつも、いわばそれと骨がらみになることで生みだされていく植民地的表象。それはひるがえって、美術というもののあり方自体を問い直す契機をはらんでいるだろう。
現代にまでいたるラテンアメリカ美術の展開を、ベタッと書くのではなく、こうした明確な問題意識に基づいて輪郭づけた本書は、ヨーロッパ人でもなくラテンアメリカ人でもないわれわれがこの地域の「美術」を見たり考えたりする際に必要な姿勢を教えてくれる。それが、目をみはる多数のカラー写真とあいまって、本書を最良の入門書としていると思う。
明快な文章による案内で、現地調査に基づく数々の写真を経巡ったあと、末尾近くに掲げられたディエゴ・リベラの見開き写真に接したとき、私はその迫力に「ああ、やられた!」と感じたことを告白しておきたい。
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ラテンアメリカ 越境する美術 (単行本) 単行本 – 2014/9/25
岡田 裕成
(著)
征服という形で異文化が出会った時、人々の想像力は何を生み出したか? グローバル化の本質を原点から問い直し、大航海時代以後の近代史を読み直す美術史の挑戦。
- 本の長さ350ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2014/9/25
- 寸法14 x 2.8 x 19.5 cm
- ISBN-104480873775
- ISBN-13978-4480873774
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2014/9/25)
- 発売日 : 2014/9/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 350ページ
- ISBN-10 : 4480873775
- ISBN-13 : 978-4480873774
- 寸法 : 14 x 2.8 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 441,268位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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岡田裕成: 大阪大学教授。著書に『ラテンアメリカ 越境する美術』(筑摩書房、木村重信民族藝術学会賞)、『帝国スペイン 交通する美術』(編著、三元社)、『南米キリスト教美術とコロニアリズム』(齋藤晃と共著、名古屋大学出版会)、Painting in Latin America 1550-1820 (J. Brown, L.E. Alcalá 編 [共著]、Yale University Press)など。2020年、レパント戦闘図屏風(香雪美術館蔵)に関する研究で國華賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年1月28日に日本でレビュー済み
なかなか知られていないと思うが、ラテンアメリカ美術の発展を記した書。
ラテンアメリカとは、征服者から見た世界。ネイティヴたちのプリミティブアートではなく、ヨーロッパからの移植された文化、美術がどのように発展、そして習合していったかを長年の研究に基づいて表した一般向きの書である。
欧州では二流だった(キリスト教の)芸術家がアメリカ大陸でどう腕を振るったか、美術は現地の伝説や王族・貴族と結びついたか、差別を受けながらもヨーロッパ美術を会得した現地出身の芸術家たち。グローバル化(というより西欧化。考えてみれば日本だってそうだ)とは今日始まったわけではない。これはラテン音楽にも通ずることですね。
ラテンアメリカとは、征服者から見た世界。ネイティヴたちのプリミティブアートではなく、ヨーロッパからの移植された文化、美術がどのように発展、そして習合していったかを長年の研究に基づいて表した一般向きの書である。
欧州では二流だった(キリスト教の)芸術家がアメリカ大陸でどう腕を振るったか、美術は現地の伝説や王族・貴族と結びついたか、差別を受けながらもヨーロッパ美術を会得した現地出身の芸術家たち。グローバル化(というより西欧化。考えてみれば日本だってそうだ)とは今日始まったわけではない。これはラテン音楽にも通ずることですね。