本書が薦めるのは「辞書をなるべく引かずに、類推しながら読む」という方法だ。
この方は、僕も英語学習の定石だと思う。
単語の意味は、知識や常識、前後の文脈などでわかる場合が非常に多いからだ。
辞書は、読み終わった後、確認のために利用する。
著者は戦後まもなくアメリカの大学に自費留学した。
結果を出さないと国外追放処分になるという状況で英語を身につけた。
窮地でのプレッシャーが後押しになった面もあるかと思うが、本書で説明されている方法で、留学2年目には「言葉(英語)に不自由はなくなりました」と本人が言い切れられるほどになった。
すこし気になったのは、「読む文章の難易度」について、著者がそれほどこだわっていないことだ。
抜粋すると、「・・・文章は、エッセイでも小説でも、子供のための物語でも、論文でも、自分の読みたいものでよいと思っています。(P97)」とのこと。
類推する力を効率的に(そして窮地に追い詰められていない状況で)高めるには、興味があるだけでは不十分だと思う。
著者の場合は、授業の課題図書や、教授の指定図書などを、難易度に関係なく読む必要があったし、それを乗り越えて英語を身につけたので、特にこだわる必要はないと考えたのかもしれない。
だが、日本語でフランス文学の知識がなかったら強制送還になっていただろうと本人も書いている。
著者は、留学前も早稲田の仏文科を卒業していた。
それなりの単語力も留学当時あっただろう。
戦争中だった少女時代は、防空壕に避難したときも、月明かりのもと、新潮社の『世界文学全集』を読むほどの著者なので、フランス文学の知識はもちろん、「文脈から単語を推測する」という能力が、人一倍勝れていたのではないかとも推測される。
僕は、多読を薦める本などでも指摘されているように、「興味があるもの」という点に加え、「簡単なものから難しいものへ」という点も強調した方が、よりよいと思う。
推量がまったくできなければわからない。進まない。つまらない。
最後に、著者が留学中実践してた、推量の力を最大限に使う「強制的にページをめくり、どんどん読む」「行を追わず、瞳の左右の動きを止め、上から下にどんどん進む」というやり方は「フォトリーディング」の技術に近いと思った。
詳しく知りたい方は検索してみるとよいと思う。
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直読英語の技術: こんなふうにやれば、どんどん読める 単行本 – 2005/8/1
加藤 恭子
(著)
- 本の長さ151ページ
- 言語日本語
- 出版社シーシーシーメディアハウス
- 発売日2005/8/1
- ISBN-104484052156
- ISBN-13978-4484052151
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登録情報
- 出版社 : シーシーシーメディアハウス (2005/8/1)
- 発売日 : 2005/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 151ページ
- ISBN-10 : 4484052156
- ISBN-13 : 978-4484052151
- Amazon 売れ筋ランキング: - 435,346位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2006年1月17日に日本でレビュー済み
英語では「読む」ことが大事で、特に「速く読む」力を
付けなければいけないという趣旨の本です。
どうやれば読む力が付くかというと、わからない単語は
丸をつけておき、「推論」しながら読むということです。
推論で意味を想像しながら読んだ後で、辞書を引いて
わからなかった単語の意味を覚えていくのです。
著者の加藤さんは戦後間もない頃にアメリカに留学され、
英語を非常な努力の中で学ばれた経験があります。
辞書を引いている暇がない忙しさの中での勉強だったらしく、
自然とわからない単語を推論するくせが付いたそうです。
付けなければいけないという趣旨の本です。
どうやれば読む力が付くかというと、わからない単語は
丸をつけておき、「推論」しながら読むということです。
推論で意味を想像しながら読んだ後で、辞書を引いて
わからなかった単語の意味を覚えていくのです。
著者の加藤さんは戦後間もない頃にアメリカに留学され、
英語を非常な努力の中で学ばれた経験があります。
辞書を引いている暇がない忙しさの中での勉強だったらしく、
自然とわからない単語を推論するくせが付いたそうです。
2006年1月15日に日本でレビュー済み
以前加藤先生がお書きになった本を、失礼ながら焼きなおしして、レイアウト替えしてさらに分かりやすく読みやすくしたご本。
前のご本(レビュータイトルが書名です)は副題が堅い感じでした。今度のご本は右開きですが、見開き頁の
右肩部分に横書きにまとめ(頁の主題)が一行あり、目を引くつくりになっています。理論ではなく自らの体験に基づいてかかれたもので、学ぶと
教えるの両方の観点からなる、すばらしいご本です。
加藤先生は終戦直後にご主人と米国に渡り、一時帰国されたときに
「青春に悔いなし」(三一書房刊)をお書きになり、なみなみならぬ根性で勉学に励まれた方です。おもいがけなくこの阪急コミュニケーションズからの本が出版され、信奉者としてはこの上なく嬉しいです。
前のご本(レビュータイトルが書名です)は副題が堅い感じでした。今度のご本は右開きですが、見開き頁の
右肩部分に横書きにまとめ(頁の主題)が一行あり、目を引くつくりになっています。理論ではなく自らの体験に基づいてかかれたもので、学ぶと
教えるの両方の観点からなる、すばらしいご本です。
加藤先生は終戦直後にご主人と米国に渡り、一時帰国されたときに
「青春に悔いなし」(三一書房刊)をお書きになり、なみなみならぬ根性で勉学に励まれた方です。おもいがけなくこの阪急コミュニケーションズからの本が出版され、信奉者としてはこの上なく嬉しいです。
2005年9月4日に日本でレビュー済み
著者の経験をもとに書いてあるので、エッセイを読んでいるような感覚で、読み易く、分かり易かい。話の展開も面白く、どんどん読めてしまう。
日本の学校でやっている勉強方法では英語が出来ないのではないかと不安だったが、この本を読んで、英語を理解するには、日本語や文法など今までやってきた事も無駄ではなかったことが実感できた。
特に、これから英語をやってみようと思ってる人や、英語が面白くないと思っている人にお勧め。また、縦書なので、年配の方にも読みやすいと思う。
巻末の付録は受験生にも役立つので、幅広い年齢の人に読んでもらいたい。
日本の学校でやっている勉強方法では英語が出来ないのではないかと不安だったが、この本を読んで、英語を理解するには、日本語や文法など今までやってきた事も無駄ではなかったことが実感できた。
特に、これから英語をやってみようと思ってる人や、英語が面白くないと思っている人にお勧め。また、縦書なので、年配の方にも読みやすいと思う。
巻末の付録は受験生にも役立つので、幅広い年齢の人に読んでもらいたい。
2005年9月1日に日本でレビュー済み
世の中に語学のための、いわゆる「ハウ・ツウ」本は五万とあるが、読んで面白いものは滅多に無い。ノンフィクション作家として著名な作者の名につられて読んでみたが、想像通り「読み物」として充分楽しめる。仕事柄欧文を読まねばならないのだが、つい細部に目が行き中々進まないのが悩みであった。所が本書は、これまでの日本の英語教育を覆すような、一刀両断の切れ味で英語読みの技術を綴られている。本を閉じたその後、会得したような自信さえも生まれた。