第二次世界大戦において焚書を行なったナチスと、逆に兵士らへ大量の本を投入したアメリカの対比、そのための大変な労苦やその後の影響をドラマティックに描いてます。
本の力について繰り返し出てきますが、本を抑制したナチス側はどうだったのかも合わせて知りたかったところ。また、 第二次世界大戦における情報戦の一つとして本とラジオが重視されてたのが興味深い。
そしてこれらは基本男性向けに行われ、女性兵士への供給の偏りがあったというのは残念なことですね。大変面白い本でした。

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戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊) 単行本 – 2016/5/29
モリー・グプティル・マニング
(著),
松尾 恭子
(翻訳)
第二次世界大戦中、アメリカの図書館員たちは全国から寄付された書籍を兵士に送る図書運動を展開し、軍と出版界は新しい形態のペーパーバック「兵隊文庫」を発行して、あらゆるジャンルの本を世界の戦地に送り届けた。その数、およそ一億四千万冊。本のかたちを、そして社会を根底から変えた、史上最大の図書作戦の全貌とは? ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの、絶賛を博したノンフィクション! 「兵隊文庫」の全作品リスト付。
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2016/5/29
- ISBN-104488003842
- ISBN-13978-4488003845
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2016/5/29)
- 発売日 : 2016/5/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 318ページ
- ISBN-10 : 4488003842
- ISBN-13 : 978-4488003845
- Amazon 売れ筋ランキング: - 374,652位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 57,134位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
知的好奇心の保証がいかに大切かを教えてもらいました。そしてそれを守ることは民主主義社会に生きる私達の義務であると思いました。
2022年3月28日に日本でレビュー済み
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いい本です。ありがとうございました。
2019年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"そして兵隊文庫は、数知れぬ男女の兵士の心を動かした。これは、剣と同じように強い力を持った本の記録である。"独では1億冊の本が焚書される中、戦場の兵士の為に1億4000冊もの本を贈った米の図書館員、出版業界の奮闘が描かれている本書は【本の持つ力】について考えさせられます。
個人的に、前述の通りに【本の持つ力】について、あれこれ考える中で本書を手にとったわけですが。旧日本軍においても【陣中倶楽部】や【戦線文庫】といった名称で戦地へ雑誌や江戸川乱歩の作品などが送られていたとは言え、ネットで調べる限りではあまり詳細が語られていない様に見える中。本書では、米における対戦中の現地の兵士に向けて【士気を保つ為】あるいは戦後の【社会への復帰準備】に向けて、国内で様々な意見が飛び交う中で、結果として様々な種類の本が【市民の権利】として【ほとんど検閲を受けずに】贈られていた事を知って驚きました。
また、兵士が持ち運びやすいようにハードカバーではなく【ペーパーブック】が兵隊文庫として盛んに出版されるようになった事や、その中でフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』が再評価、兵士たちの人気を得ていた事も知り、仮定ではあるが、もし自分が悲惨な戦場にいたならば【どのような本を読みたくなるのだろうか?】そんな事もあれこれ考えたりしました。
本、そして読書が人間に与える影響について、あるいは第二次大戦中のアメリカの出版事情について知りたい誰かにオススメ。
個人的に、前述の通りに【本の持つ力】について、あれこれ考える中で本書を手にとったわけですが。旧日本軍においても【陣中倶楽部】や【戦線文庫】といった名称で戦地へ雑誌や江戸川乱歩の作品などが送られていたとは言え、ネットで調べる限りではあまり詳細が語られていない様に見える中。本書では、米における対戦中の現地の兵士に向けて【士気を保つ為】あるいは戦後の【社会への復帰準備】に向けて、国内で様々な意見が飛び交う中で、結果として様々な種類の本が【市民の権利】として【ほとんど検閲を受けずに】贈られていた事を知って驚きました。
また、兵士が持ち運びやすいようにハードカバーではなく【ペーパーブック】が兵隊文庫として盛んに出版されるようになった事や、その中でフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』が再評価、兵士たちの人気を得ていた事も知り、仮定ではあるが、もし自分が悲惨な戦場にいたならば【どのような本を読みたくなるのだろうか?】そんな事もあれこれ考えたりしました。
本、そして読書が人間に与える影響について、あるいは第二次大戦中のアメリカの出版事情について知りたい誰かにオススメ。
2019年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本はプロパガンダです。問題は何をプロパガンダしているのかということです。それは本を読むことの力、本を読むことが逆境を救う力、本を読むことが希望を紡ぎ出す力です。
残念なのは逆境が戦争であったということです。
作者は歴史家です。1通の手紙を発見し、そこから起こった疑問を解くべく史料を漁り、史料から得られた事実からこれだけの感動的な解釈を生み出しました。
途中で感動から胸が何度も熱くなりました。たとえば、米軍の荷物の移動を手伝うイギリス軍の兵士が兵隊文庫を見つけたときの彼の感想。オススメです。
ところでご相談なんですが(誰にや?)、いまこういう兵士にあたる人たちが巷にあふれていることにお気づきでしょうか?
いわゆる団塊退職組の「字が小さすぎて読めない!」世代です。ぼくもそのメンバーの一員なので、まあできるだけKindleで購入して、◯◯キルーペのお世話にならずに読めるようにしているのですが、◯◯書店のワイド版文庫のような、字の大きな古典復刊文庫をつくっていただけないでしょうか?
もちろん電子書籍で復刊されれば申し分ありませんが、人に譲れないという難点があるもので。
残念なのは逆境が戦争であったということです。
作者は歴史家です。1通の手紙を発見し、そこから起こった疑問を解くべく史料を漁り、史料から得られた事実からこれだけの感動的な解釈を生み出しました。
途中で感動から胸が何度も熱くなりました。たとえば、米軍の荷物の移動を手伝うイギリス軍の兵士が兵隊文庫を見つけたときの彼の感想。オススメです。
ところでご相談なんですが(誰にや?)、いまこういう兵士にあたる人たちが巷にあふれていることにお気づきでしょうか?
いわゆる団塊退職組の「字が小さすぎて読めない!」世代です。ぼくもそのメンバーの一員なので、まあできるだけKindleで購入して、◯◯キルーペのお世話にならずに読めるようにしているのですが、◯◯書店のワイド版文庫のような、字の大きな古典復刊文庫をつくっていただけないでしょうか?
もちろん電子書籍で復刊されれば申し分ありませんが、人に譲れないという難点があるもので。
2016年11月20日に日本でレビュー済み
平和を享受する現代日本にあって、読書離れ、活字離れが問題となっていることを考えると、アメリカの話とはいえ、戦争中に本が争うように読まれたというのは、何とも言えないものがありますが、本書を読んでいくと、兵士たちの気持ちが分からないわけではありません。
映画や劇場、音楽やダンスなどは、どうしても一定の条件下でなければ楽しめません。そのため、戦争中であれば、制限がかからざるを得ません。しかし、本書が明らかにしているように、読書は、その制限が極めて少なく、また個人でも、集団でも(例えば、作品の朗読など)で楽しむことが可能です。
第二次世界大戦終了後の日本に進駐軍が多くのペーパーバックを遺していった話にしても、終戦後にアメリカで復員軍人の多くが法の援助を受け、大学に進学したことにしても、その背景として、質と量を兼ね備えた「兵隊文庫」があったことがよく分かります。
何よりも素晴らしいのは、原則として「検閲」を否定した精神です。まだ健全だった、民主主義国家としてのアメリカの姿がかいま見えます。黒人差別や女性の社会進出を拒んでいたアメリカが、終戦後に時間をかけながらも変わっていった背景にも、おそらく戦争中の“読書”が影響していたような気がしてなりません。
映画や劇場、音楽やダンスなどは、どうしても一定の条件下でなければ楽しめません。そのため、戦争中であれば、制限がかからざるを得ません。しかし、本書が明らかにしているように、読書は、その制限が極めて少なく、また個人でも、集団でも(例えば、作品の朗読など)で楽しむことが可能です。
第二次世界大戦終了後の日本に進駐軍が多くのペーパーバックを遺していった話にしても、終戦後にアメリカで復員軍人の多くが法の援助を受け、大学に進学したことにしても、その背景として、質と量を兼ね備えた「兵隊文庫」があったことがよく分かります。
何よりも素晴らしいのは、原則として「検閲」を否定した精神です。まだ健全だった、民主主義国家としてのアメリカの姿がかいま見えます。黒人差別や女性の社会進出を拒んでいたアメリカが、終戦後に時間をかけながらも変わっていった背景にも、おそらく戦争中の“読書”が影響していたような気がしてなりません。
2018年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は、太平洋戦争時(或いは第二次世界大戦時)に、アメリカが戦場にいる兵士たちに総力を挙げて本を送った話である。それは兵隊文庫、と呼ばれた。
先に読んだ、「日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実」とは打って変わっての軍隊のありようである。この本を読んで、文化度において、いや、人間性・社会性、と言ってもいいかもしれないが、日本とアメリカのあまりの違いに驚いた、そしてアメリカはえらいと思った。兵隊文庫は、何の娯楽も無い戦地における唯一の兵士たちの楽しみとなった。結果としては戦意高揚政策の一環だったかもしれないが、そういう発想をするアメリカと言う国の文化度や民度において既に日本とは大きな差がついている。
日本とて、決して無知蒙昧な国民の集まりではなかったはずだ、江戸時代には既に識字率は先進西洋国家並み或いはそれ以上の70%前後だったと言うが、そのような文化国家が何故に精神主義に走って兵隊をいじめたり、精緻な計算無しの無謀な作戦を立てて多くの兵士を無駄死にさせたのか、このへんも日本国民が富国強兵時代に学生に与えた読書と関係があるのかもしれない。即ち、海軍兵学校や陸軍兵学校は哲学や倫理、思想を教えなかったのではないだろうか、指揮官や参謀となる彼らがそういう教養を学んでいれば、軍隊のあり方も違ったものになったのではないか、と思い巡ったものである。
先に読んだ、「日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実」とは打って変わっての軍隊のありようである。この本を読んで、文化度において、いや、人間性・社会性、と言ってもいいかもしれないが、日本とアメリカのあまりの違いに驚いた、そしてアメリカはえらいと思った。兵隊文庫は、何の娯楽も無い戦地における唯一の兵士たちの楽しみとなった。結果としては戦意高揚政策の一環だったかもしれないが、そういう発想をするアメリカと言う国の文化度や民度において既に日本とは大きな差がついている。
日本とて、決して無知蒙昧な国民の集まりではなかったはずだ、江戸時代には既に識字率は先進西洋国家並み或いはそれ以上の70%前後だったと言うが、そのような文化国家が何故に精神主義に走って兵隊をいじめたり、精緻な計算無しの無謀な作戦を立てて多くの兵士を無駄死にさせたのか、このへんも日本国民が富国強兵時代に学生に与えた読書と関係があるのかもしれない。即ち、海軍兵学校や陸軍兵学校は哲学や倫理、思想を教えなかったのではないだろうか、指揮官や参謀となる彼らがそういう教養を学んでいれば、軍隊のあり方も違ったものになったのではないか、と思い巡ったものである。
2016年9月10日に日本でレビュー済み
今次大戦時にアメリカ軍では「兵隊文庫」という軍隊仕様のペーパーバックが無償で支給されていたことに驚きました。
本書は開戦前に増強される軍隊で娯楽と教育のため国内の不要図書を寄贈してもらう図書運動(図書館員が主導!)から参戦後、書籍業界各社が協力して軍隊仕様のペーパーバックの開発、供給、そして終戦後は復員兵の社会復帰に寄与したのち解散し、再び図書館員が主体となって平時の図書運動に移行するまでが時系列に沿って述べられています。
「なんのために戦場で戦うのか」という大義を考えてもらうため教科書ではなく小説、歴史書、ルポルタージュを供給し兵士自らに自覚してもらおうという方針に彼我の差を痛感しました。
図書は書籍としての仕様(サイズ、材質、製造コスト)と共に供給する作品についても吟味する必要があるという点に改めて気付かされました。
本書は開戦前に増強される軍隊で娯楽と教育のため国内の不要図書を寄贈してもらう図書運動(図書館員が主導!)から参戦後、書籍業界各社が協力して軍隊仕様のペーパーバックの開発、供給、そして終戦後は復員兵の社会復帰に寄与したのち解散し、再び図書館員が主体となって平時の図書運動に移行するまでが時系列に沿って述べられています。
「なんのために戦場で戦うのか」という大義を考えてもらうため教科書ではなく小説、歴史書、ルポルタージュを供給し兵士自らに自覚してもらおうという方針に彼我の差を痛感しました。
図書は書籍としての仕様(サイズ、材質、製造コスト)と共に供給する作品についても吟味する必要があるという点に改めて気付かされました。