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落下する緑 永見緋太郎の事件簿 (創元クライム・クラブ) 単行本 – 2005/11/29
田中 啓文
(著)
- 本の長さ304ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2005/11/29
- ISBN-104488012086
- ISBN-13978-4488012083
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2005/11/29)
- 発売日 : 2005/11/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 304ページ
- ISBN-10 : 4488012086
- ISBN-13 : 978-4488012083
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,608,573位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 391,899位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年9月12日に日本でレビュー済み
駄洒落小説の大家らしからぬデビュー作。誰に見せても恥ずかしくないまともな作品を書いていたとは思わなかったが、決して凡庸ではなく、ジャズ愛に溢れた熱いエンタメ作である。若き天才テナーサックス奏者が探偵役だが、連作に共通した要素としてわかり易い悪者を配して勧善懲悪で書いている事が挙げられる。これも田中啓文らしからぬ事ではあるが、エンタメ作として後味の良い作品になっていると思う。又1カ所だけくだらない脱力系の駄洒落があってオイオイと思ったが、探してみるのも一興か。私のように全く関心のない人間でも、ジャズを聞いてみようかと思わせる作品でもあった。
2021年8月1日に日本でレビュー済み
天才サックスプレーヤーを探偵役にした連作短編集で、ジャズはビバップ辺りまでしか聞かない私でも雰囲気は楽しめた。ただミステリとしては弱く表題作を始めとしてトリック的なものはすぐに分かってしまうものが多い。一番良いと思ったのは「遊泳する青」でこれもトリック的なものはすぐに分かるが最後にやられた。次点は「砕けちる褐色」、ストラディバリウスなどの弦楽器が経年変化で音が良くなるのは共鳴する胴部分が硬質化するから(硬質化がピークに達すると以後は劣化する)と言われており、作中の部分の描かれたような変化で音が良くなるとは考えにくいのだが、アイディアとしては面白い。
2009年1月12日に日本でレビュー済み
2005年に出た単行本の文庫化。7本の短篇が収められている。
実は田中氏のデビュー作は鮎川哲也編『本格推理2』に採用された「落下する緑」であった。しかし、デビュー後はジュヴナイル作品へと進んでしまったため、「落下する緑」に登場する名探偵・永見緋太郎もずっと忘れられていた。ところが、2003年に『ミステリーズ!』で連載する話が持ち上がり、奇跡の復活を遂げたのである。
永見はテナーサックス奏者。ジャズ界を舞台にしたミステリとなっており、ストーリーも音楽、楽器、コンサートを扱ったものが多い。著者の趣味の世界でもあり、凝ったディテールが面白い。
ミステリとしては、いまいち。「揺れる黄色」のトリックが素晴らしいが、あとはちょっと・・。がくっと脱力してしまうような結末も少なくない。ただし、物語としてはどれもハイレベル。ひねりがあり、人間ドラマがあり、ジャズの魅力が伝わってくる。
田中氏に特有のギャグとグロは控えめで、初心者でも安心して読める。
おすすめのレコード紹介も。
実は田中氏のデビュー作は鮎川哲也編『本格推理2』に採用された「落下する緑」であった。しかし、デビュー後はジュヴナイル作品へと進んでしまったため、「落下する緑」に登場する名探偵・永見緋太郎もずっと忘れられていた。ところが、2003年に『ミステリーズ!』で連載する話が持ち上がり、奇跡の復活を遂げたのである。
永見はテナーサックス奏者。ジャズ界を舞台にしたミステリとなっており、ストーリーも音楽、楽器、コンサートを扱ったものが多い。著者の趣味の世界でもあり、凝ったディテールが面白い。
ミステリとしては、いまいち。「揺れる黄色」のトリックが素晴らしいが、あとはちょっと・・。がくっと脱力してしまうような結末も少なくない。ただし、物語としてはどれもハイレベル。ひねりがあり、人間ドラマがあり、ジャズの魅力が伝わってくる。
田中氏に特有のギャグとグロは控えめで、初心者でも安心して読める。
おすすめのレコード紹介も。
2016年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品探してました。状態もよくてありがたかったです。また、何かありましたら、よろしくお願いします。
2019年6月16日に日本でレビュー済み
普段、あまり本を読まないのですが、「落下する緑」と「真鍮の虫」をネットで買って 一気読みしました。
特に「ー緑」からは、著者の 人間と音楽と落語 に対する愛が伝わってきました。
推理ものって割と好きなんですけど、人間の悪いところとか、悲しいところ、どうしようもないところを抉る内容になりがちなので、余韻が重いのがどうもね。 この本は読後感 さわやかです。
特に「ー緑」からは、著者の 人間と音楽と落語 に対する愛が伝わってきました。
推理ものって割と好きなんですけど、人間の悪いところとか、悲しいところ、どうしようもないところを抉る内容になりがちなので、余韻が重いのがどうもね。 この本は読後感 さわやかです。
2008年11月30日に日本でレビュー済み
田中啓文が「日常の謎」系本格を書くというと、何か意外な感じがします。実際編集者からこの本の依頼があった時、
1.グロ
2.ギャグ
3.駄洒落
を禁止されたそうです。1.はおおむね抑制されていて、2.もかなり我慢しているようですが、さすがに3.の禁止則までは守りきれなかったようです。ともかく、編集者氏と作者のがんばりのおかげで、家族の目に触れても支障がない、誰かに勧めても白い眼で見られることを恐れなくてもいい、そんな(田中作品としては珍しい)一冊になっています。
筋立てとしては、ずーじゃもといジャズのテナーサックス奏者が探偵、バンマスのペット奏者がワトソン役になって、バンドの周囲におこる「日常の謎」を解いていくというシリーズです。それ以外は普通の本格ものですが、舞台が舞台だけに、それなりにアレな登場人物が出てきますから、飽きません。おまけに解説はなんと山下洋輔!
ジャズを知らなくてもついていけますが、ジャズを知っているともっと楽しめ、楽器の経験があるともっともっとおいしく読めるでしょう。本人が謎のテナー奏者なので、探偵もテナー吹きなのでしょうが、次はボントロ奏者を肴にしてくださいな。
1.グロ
2.ギャグ
3.駄洒落
を禁止されたそうです。1.はおおむね抑制されていて、2.もかなり我慢しているようですが、さすがに3.の禁止則までは守りきれなかったようです。ともかく、編集者氏と作者のがんばりのおかげで、家族の目に触れても支障がない、誰かに勧めても白い眼で見られることを恐れなくてもいい、そんな(田中作品としては珍しい)一冊になっています。
筋立てとしては、ずーじゃもといジャズのテナーサックス奏者が探偵、バンマスのペット奏者がワトソン役になって、バンドの周囲におこる「日常の謎」を解いていくというシリーズです。それ以外は普通の本格ものですが、舞台が舞台だけに、それなりにアレな登場人物が出てきますから、飽きません。おまけに解説はなんと山下洋輔!
ジャズを知らなくてもついていけますが、ジャズを知っているともっと楽しめ、楽器の経験があるともっともっとおいしく読めるでしょう。本人が謎のテナー奏者なので、探偵もテナー吹きなのでしょうが、次はボントロ奏者を肴にしてくださいな。
2006年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者のデビュー作である「落下する緑」をはじめ、「揺れる黄色」「反転する黒」「遊泳する青」「挑発する赤」「虚言するピンク」「砕け散る褐色」と、全てが色繋がりのクールな題を持つ連作。『音楽ミステリー』という、いかにもありそうでなかったジャンルを打ち立てることに著者は本作で大成功している。ここまで見事にジャズとミステリーが融合するとは。音楽に詳しくない人でも、文章に確かな表現力を持つ著者の華麗な演奏描写を読んでいるだけで心地いいはず。もちろん物語として読んでもかなりの完成度。特異な魅力を持つある一人の人間を、語り部である主人公が描写するという手法、そして最後に残る爽快感や温かみは伊坂幸太郎にも通じるものがある。必読です。