2005年日本推理作家協会賞長編部門受賞作。
1860年のニューヨークを舞台にした歴史ミステリー。
日米修好通商条約批准交換のための日本使節団が、サンフランシスコを
経て、いよいよニューヨークにやってきます。その直前から、
ニューヨークでは殺人事件が連続して起こり始めます。
手の込んだ残虐な殺し方と、死体に残された聖書からのメッセージ。
不可解な謎に新聞記者ダロウと挿絵描きフレーリが、日本使節団の
取材を交えながら、挑みます。
実はミステリーがかすんでしまうほど、この時代のニューヨークが
魅力的。18世紀建築様式の家々、豪奢なホテル、新しい商業施設、
ブロードウェイといった街並み。
その暗部としてのアンダーグラウンド。文字通り、運河を引き入れた
地下に、迷路のような地下街が生まれ始めます。
また国の暗部としての黒人問題。この翌年に南北戦争が勃発します。
これらを描くとともに、日本という未知のエキゾチックな東洋人を
歓迎する人々の熱気を描きます。これほどアメリカ人を
熱狂させたことを、著者は当時の新聞から丹念に拾い、
考証を重ねています。この時代の日本人をアメリカ側から描いた
貴重な歴史小説でもあります。
さらに海外ミステリーを意識した精緻な描写と文体。
細かなしぐさや服装まで、研究し尽くされています。
物語は、政治と社会状況が事件を生み出していく過程をつぶさに
語ります。
あらためてアメリカがたどった19世紀を思いおこしました。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
剣と薔薇の夏 (創元クライム・クラブ) 単行本 – 2004/5/25
戸松 淳矩
(著)
万延元年の遣米使節団歓迎に沸き立つニューヨークで、次々と起こる不思議な事件。綿密な時代考証と本格ミステリの醍醐味。ディクスン・カーを凌ぐ歴史ミステリの傑作登場!
- 本の長さ471ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2004/5/25
- ISBN-104488012973
- ISBN-13978-4488012977
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者からのコメント
時代は19世紀のニューヨーク。物語を貫く重低音は旧約聖書。そして長尺の本格物。めんどくさそうだな~と思われるかもしれません。でも心配はご無用。道化師キャラのフレーリ君が最終章まであなた親切にナビゲート致します。「騙された!」という快感と物語を読む楽しさと。そんな作品を創ってみたくて書きました。
内容(「MARC」データベースより)
万延元年の遣米使節団歓迎に沸き立つニューヨークで次々と起こる事件。アトランティック・レヴュー社の記者ウィリアム・ダロウと挿絵画家フレーリは、日本人漂流民のジューゾ・ハザームの助けを借りながら、事件の謎を追う。
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2004/5/25)
- 発売日 : 2004/5/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 471ページ
- ISBN-10 : 4488012973
- ISBN-13 : 978-4488012977
- Amazon 売れ筋ランキング: - 65,813位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4つ
5つのうち4つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2006年1月8日に日本でレビュー済み
「第58回日本推理作家協会賞・長編部門」受賞作の早速の文庫化ということで、久々に上・下巻に及ぶ読み応えのある歴史ミステリーを味読した。
作者の戸松さんは非常に寡作な作家で、1979年のデビュー以来、26年間に4作品しか書いていない。しかも4作目の本書は前作から実に17年ぶりの新作である。
舞台は南北戦争勃発前年の1860年のニューヨーク。江戸幕府の遣米使節団の歓迎に沸き立つ最中に本格パズラー風の不可思議な殺人事件が次々と起こる。
それらを当地の新聞社の古参記者と若手挿絵画家が、当時のアメリカの社会情勢や政治状況(主に黒人奴隷問題)と有機的に結び付けて解決してゆくという非常に凝った、重層的な構造の作品で、そこらあたりが単なるパズラーや歴史ミステリーを凌ぐ重厚さをかもし出している。
当時のアメリカの社会情勢や北部の大都市ニューヨークの社会風景が極めて精緻に描かれており、日本人の作家の手によるものというより、まるでアメリカの作家の翻訳ものを読んでいるような錯覚を覚えた。
作者の戸松さんは非常に寡作な作家で、1979年のデビュー以来、26年間に4作品しか書いていない。しかも4作目の本書は前作から実に17年ぶりの新作である。
舞台は南北戦争勃発前年の1860年のニューヨーク。江戸幕府の遣米使節団の歓迎に沸き立つ最中に本格パズラー風の不可思議な殺人事件が次々と起こる。
それらを当地の新聞社の古参記者と若手挿絵画家が、当時のアメリカの社会情勢や政治状況(主に黒人奴隷問題)と有機的に結び付けて解決してゆくという非常に凝った、重層的な構造の作品で、そこらあたりが単なるパズラーや歴史ミステリーを凌ぐ重厚さをかもし出している。
当時のアメリカの社会情勢や北部の大都市ニューヨークの社会風景が極めて精緻に描かれており、日本人の作家の手によるものというより、まるでアメリカの作家の翻訳ものを読んでいるような錯覚を覚えた。