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バネ足ジャックと時空の罠〈上〉 (大英帝国蒸気奇譚1) (創元海外SF叢書) 単行本 – 2015/1/29

4.0 5つ星のうち4.0 3個の評価

蒸気機関や優生学など科学技術の大発展により変貌した、もうひとつの19世紀ロンドン。天才探検家リチャード・バートンは首相の特命を受け、親友の詩人アルジャーノン・スウィンバーンとともに、帝都を騒がす人狼たちを追う。そのバートンを執拗に狙う怪人バネ足ジャックは、ロンドン変貌の原因とバートンの将来について重大な予言を口にする……伊藤計劃『ハーモニー』を抑えてP・K・ディック賞を受賞した快作スチームパンク!

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 東京創元社 (2015/1/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2015/1/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 336ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4488014542
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4488014544
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 3個の評価

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2015年3月4日に日本でレビュー済み
小説の設定は面白いです。
1800年代のイギリスで、遺伝子改造された白鳥が飛行機代わりになったり、犬が郵便配達したり、
時間移動を駆使してくる謎の敵がいたり、古い時代に未来を無理やりねじ込んだ世界観は特異で、
これまでにないスチームパンクの魅力を感じられます。

ただ、海外文学の常で、翻訳が直訳的になりすぎており、回りくどいです。
最悪とまではいきませんが、ある程度読みづらいです。
こういう、翻訳で損してる小説を読むと、もっと意訳してもいいのに、という気分になります。

翻訳とは関係ありませんが、登場人物、地名、組織名などの固有名詞が多く、
その一つ一つが覚えづらく、物語で再登場するときに誰だか思い出せず、
その都度、ページを逆戻りするはめになります。

ついでに、上下巻で4000円は高すぎます。せめて、3000円くらいにしてほしかった。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年2月6日に日本でレビュー済み
kindle版の上下合本版を購入しました。なので上下巻合わせての感想です。

舞台は、本来の史実よりも機械工学や遺伝学がおおきく発展した1861年のイギリス。探検家リチャード・バートンはアフリカ探検に端を発する地理的問題の討論をひかえていた。そこに討論相手ジョン・スピーク危篤の報が飛び込む。その晩、意気消沈したバートンの目の前に奇怪な姿の男が現れる。怪人はバートンにあるべき歴史を選択するように脅迫し、「おれをほうっておけ!」という言葉を残して去っていった。
おりしもバートンを呼び出した英国首相は、怪人が二十年ほど前に世間を騒がした「バネ足ジャック」ではないかとほのめかし、それら怪事件を調査するという国王の密命を伝える。バートンは王室直属の密偵として働くうちに、現在と過去の様々な事件がひとつにつながっていると気づくが…。

本作(原題:Burton and Swinburne In The Strange Affair of Spring Heeled Jack)は2010年度フィリップ・K・ディック賞を受賞した作品ですが、同年同賞の次点は伊藤計劃の『ハーモニー』です。おそらくそれを理由に本作を手に興味を持った方も多いのではないでしょうか(自分はそうでした)。
ただし本作には『ハーモニー』と異なり、実験的要素はまったくありません。ジャンルとしてはスチームパンクSFで、純粋な娯楽作品となっています。

展開としてはミステリ、とくにハードボイルド小説に則っており、物語冒頭に投げかけられた謎を主人公が体当たりで調査していきます。軽快な文体とは反対に(むしろ、同様に、でしょうか)、あっさり人が死んだりするので、慣れるまでギョッとしました。

作中では実在の偉人たちが躍動します。主人公は、アジアやアフリカを旅し、「千夜一夜物語』を英訳した、探検家リチャード・バートン。その相棒には、『アルジャーノンに花束を』のタイトルの由来にもなった、詩人アルジャーノン・スウィンバーン。生物学者ダーウィンや慈善事業家ナイティンゲールらも重要な役どころで出てきます。
カリカチュアで有名なギュスターヴ・ドレや作家オスカー・ワイルドも物語にスパイスをくわえる役割を担います。彼らの業績や人物像を少しでも知っているとニヤリとさせられます。そして何と言ってもタイトルにもなっている「バネ足ジャック」。19世紀イギリスで女性を襲ったと言われるこの怪人は、物語の軸となる存在です。

また産業革命を経た19世紀中葉イギリスが舞台ということで、本作では蒸気機関を用いたガジェットがいろいろと登場します。しかし、おそらく翻訳ではなく原文の問題だと思われるのですが、架空のガジェットの説明がわかりにくいです。ガジェットの描写はスチームパンクの生命線と言えるので、その辺は難点と言えます。

(以下、ネタバレをふくむ感想です)

予備知識なしでもSF小説・映画に多少なじみのある方なら、物語のわりと最初で時間改変をテーマに据えていると気づきます(そもそも邦題からして明らかですが)。

ヴィクトリア女王は1840年に銃撃されたとき史実では助かりますが、作中では女王が殺されてしまっているためヴィクトリア朝もヴィクトリア人も存在しません。
ヴィクトリア朝というと、帝国イギリスが最大版図を迎えた時代です。蒸気機関が本格的に工業に転用され、ディケンズの物語やその挿絵に描かれているように、工場の煙突からのぼる黒煙や児童労働が産業風景と化し、社会問題となりました。それだけでなく、表側では厳格であるように見える性に関するモラルも裏側ではただれていた時代でもあります。
しかし、ともすれば暗くなりがちな繁栄の時代における影も、諧謔味と活力あふれる登場人物たちによって、つまり存在していたはずなのに存在しないことになってしまった「ヴィクトリアン」たちによって笑いとばされています。そのあたりのさじ加減は絶妙です。

プロットは後半から一気に時間軸の入れ替わりが激しくなり複雑になっていくので、一気読みがオススメです。簡単に時系列がわかるメモをとっておくと、より楽しめるかもしれません。いわゆる「タイムパラドックス」などに関して設定にゆるいところはありますが、完全にエンタメ作品なのであまり考えずに読んだ方がいいでしょう。

ファム・ファタールは登場しないけれど、女によって破滅していく男が「裏」の主人公として描かれています。そういう意味では(本作は主人公による一人称の語りではありませんが)フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』やチャンドラーの『長いお別れ』に通じるものがあります。
くわえてシリーズものであり最後に次作への伏線が張られているので、次作以降のなかでヒロインとなりうる女性が、「表」の主人公バートンにどう関わっていくのか楽しみです。

本作は作者による『大英帝国蒸気奇譚』三部作の第一弾ということで、原著はすべて既刊であり、今夏に第二弾、今秋に第三弾と邦訳刊行が決定しているようです。続編に期待しています。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年10月31日に日本でレビュー済み
19世紀、探検家の主人公に奇怪な依頼が舞い込み・・・というお話。
一番最初、この小説を読み始めた際、話がバートンとスピークのナイル川に水源論争で始まるので一体どういう展開になるのか首を傾げながら読み進んだら、実際の歴史とは異なる発展をした19世紀イギリスを舞台にしたスチーム・パンクと呼ばれる作品の嫡流に位置する作品で驚きました。ぶっちゃけて言えば、類型的なスチーム・パンクの冒険小説ですが、かなり小説の隅々まで匠みな構成がなされており、こういうタイプのファンタジーを苦手という人にもお勧めできる、面妖な作品でした。取り扱っているネタもイギリスで伝説になっているというバネ足ジャックや人狼という都市伝説上の怪物で、著者はこの伝説に一つの回答を与えている様でそこら辺を面白く読めるかどうかで評価が判れそうな作品でした。実際の19世紀のイギリスとは違う異貌の19世紀のイギリスの描写も凝りに凝っており、読み応えがあります。
前述のバートンとスピークのナイル川の水源論争に関しては、故瀬戸川猛資著「夢想の研究」の「月の山脈」と「裏切る現実」の章に詳述されているので、興味のある向きは読んでみては。知らないで読んでも面白いですが、よく知ってから読んだ方が倍楽しめます。
異貌の19世紀イギリスを舞台にした面妖なスチーム・パンクの傑作。是非ご一読を。
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