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盤上の夜 (創元日本SF叢書) 単行本 – 2012/3/22
- 本の長さ283ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2012/3/22
- ISBN-104488018157
- ISBN-13978-4488018153
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2012/3/22)
- 発売日 : 2012/3/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 283ページ
- ISBN-10 : 4488018157
- ISBN-13 : 978-4488018153
- Amazon 売れ筋ランキング: - 477,987位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 133,117位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1979年、東京都生まれ、1992年までニューヨークに在住。早稲田大学第一文学部卒。2010年に短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞、2012年に連作短編集『盤上の夜』として刊行し単行本デビュー(第33回日本SF大賞)。2013年に第6回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞受賞。ほか、『ヨハネスブルグの天使たち』(第34回日本SF大賞特別賞)、『彼女がエスパーだったころ』(第38回吉川英治文学新人賞)、『カブールの園』(第30回三島由紀夫賞受賞)、『あとは野となれ大和撫子』(第49回星雲賞日本長編部門)、『遠い他国でひょんと死ぬるや』(第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞)など。これまでの作品の一覧は以下を参照ください。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=3599396050117284&id=263006690422920
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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人はなぜボードゲームなどに熱中するのだろうか。ボードゲームの盤上には、別な次元が展開されているのだ。観る者もまたそれを感じ、共有するのだ。それはいつしか哲学的になり、宗教性を帯びさえする。
原爆が落ちた後、碁石を並べ直し手続きを打つなどということは、狂気の沙汰とは思えない。しかし、それは実際に行われたことなのだ。
作品としては、やはり「盤上の夜」が頭一つ抜き出ているように感じられた。
落ち着いた語り口もよい感じ。こんな表紙じゃなくて(失礼!)SFジャンルにしなければもっと売れるのに、と思ってみたり。
素人にもわかりやすく書いてありますが(いやむしろ素人では不備が見えないのか)、麻雀の話は詳しくないと楽しめない感じでした。
(知ってる人はすご~く面白いらしい麻雀の漫画について語られた時のことを思い出す)
盤上から世界を語る(らしい)企画の関係か、無理やりっぽい短編もあるものの、仕事が丁寧なのでいやな感じはいたしませんね。
文庫なら強力プッシュ。
頭脳だけで勝負できる、囲碁、将棋、麻雀はやはり特殊な世界で、その頭脳が狂気に向かうのはむしろ必然的のような気がします。
この分野では、「狭き門に対する狂おしさ」を題材にしたものが多い気がしますが、狂気を前面にした小説も面白いですね。それも、それぞれのゲームごとに種類の違う狂気が描かれていて、圧倒されます
狂気ってこういうのを言うんでしょうか。
私にはプレイヤーの心があまり理解出来なかったのですが、
怖いもの見たさで物語から離れられず、強烈な余韻を後に残しました。
この短編集では何かを失うことによって才能を手に入れるというテーマが何度か繰り返される。それは狂気、あるいは天才が天才である1点のみで盤上を制するというロマンチックな物語だ。でも、現実には狂気や供犠によってAlphaZeroのような他のプレイヤーを絶する能力を獲得することはない。多くの天才たちのヴァリエーションの勝敗をわけるのは羽生善治氏の言葉を引用するなら「深い集中」だけだ。そして、仮に完全解がなされたとしてもあいも変わらず「人の一手」に一喜一憂するというドライな結果が、今現在の状況だ。
「神の一手」が人の手から離れようとしている時代に、語り手は天才の幻想を追いかける(後天的に天才を作ろうとする、というのも天才幻想のひとつだ)。作者はこうしたウェットな甘さを手頃に調理している。
ダルマ人間とかで伝わる、日本人旅行者が四肢を切断されて見世物にされているっていう奴なんだろう。読んで真っ先に思い起した。
そんなネタから「もしも」を積み重ねて出来上がった作品なのだな。作者の発想力、構成力、抽斗の多さを感じさせる。
舞台は基本“盤上”であり、所詮大きくても麻雀卓サイズだが、作者の語る世界は、時空を超えて壮大かつ深遠である。
また、四肢欠損や近親相姦、あるいはオカルトめいた描写もあり、一見“キワモノ”めいた印象を与えるが、深い思索に基づいた哲学的な叙述で“人”を“世界”を語っており、単なるエンタメ小説には止まっていない。(むしろ難解に過ぎて追いついていない部分があるかもしれない…)
6編の中では『清められた卓』『象を飛ばした王子』が秀逸。
『清められた卓』は、四人によるゼロサムゲームであり、かつ勝負は運に左右される部分が大きい、あるいはイカサマや様々なルールといったゲームとしての麻雀の特性に、各々特異なキャラクターを持つ4人の人間模様を重ねることで極めてエンターテイメント性の高い面白い作品に仕上がっている。
古代チェスを題材にした『象を飛ばした王子』は、6編の中では最も“おとなしい”作品と言えるだろう。だが、ゴータマ・シッダールタの一人息子の王子 ラーフラが古代チェス=チャトランガに込めた平和への思いが心を打ち、切なくも癒しの傑作となっている。
最終章『原爆の局』は、表題作である『盤上の夜』の対をなす作品である。ストーリーが整理されておらず、今一歩わかりにくい部分はあるが、作者の志の高さがあらわれた作品と理解したい。
いずれにしろ、次回作を期待させる怪作にして快作だ。