異星人の名探偵の兄妹が、宿主(男女)の周りで起きた事件を解決していくという短編集。
ラストの「温かな手」以外は単純に良質な推理物で、他の方が書いた通り「別に異星人を探偵にする必要ないのでは…」という印象を持った。
が、最後の作品を読んで納得した。ラストの「温かな手」だけは確かに異星人が探偵じゃないとダメだと。そして、そのラストのストーリーがかなりの感動作でした。書き方は淡々としていて泣けはしないのですが、じんわり胸の中が温かくなります。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
温かな手 単行本 – 2007/12/1
石持 浅海
(著)
- 本の長さ234ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2007/12/1
- ISBN-104488024335
- ISBN-13978-4488024338
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2007/12/1)
- 発売日 : 2007/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 234ページ
- ISBN-10 : 4488024335
- ISBN-13 : 978-4488024338
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,541,028位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 377,520位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年2月13日に日本でレビュー済み
探偵役が人間型の異星人?で、兄妹それぞれが人間と同居しています。
彼らは、生物学の研究者であるヒロインが、ニセクロスジギンポという魚にたとえる、いわば人間に擬態した人間エネルギーの捕食者ですが、余分な栄養エネルギーや過剰な感情エネルギーを吸ってくれるという点での共生が面白い設定です。
それぞれの同居人の身の回りの事件を、彼らは人間以上の明察でさらりと解いてしまいます。
このSFっぽい設定、何のためにミステリに必要だったのだろう、と思って読みすすめました。さいごの「温かな手」では、その謎が解けるかと思いきや、違う方向に泣かされてしまいました。
そこで、疑問はこんどは逆のものになりました。これはSFなのに・・・なぜ、ミステリ部分が必要だったのか?
そうしたらなんと著者自身が解説で、ミステリというお約束事の中の「探偵が異常に冷静で、ワトソン役もそれなり平然としている」というツッコミどころに対するひとつの回答として書いた、と述べていました。
これこそ一番すごいミステリの種明かしでした。本書のどの謎解きよりも、びっくりしました。
なるほど、そういう答えもあったのかと。
もしかして「メタ・ミステリ」?
著者は「茶々を入れるのが好きなだけ」だそうですが、してやられました。
たしかに、SFロマンにするには、もう少し兄妹のヴィジュアル描写やキャラクターを出すエピソードがあったほうがいいのかもしれませんが・・・
・
ミステリでもなく、SFでもない、不思議な作品、もっと読んでみたい、と思うと、すぐあとに東川篤哉の文庫解説で、著者の他の作品が縦横に紹介されています。これも、心憎い仕掛けだと思います。
彼らは、生物学の研究者であるヒロインが、ニセクロスジギンポという魚にたとえる、いわば人間に擬態した人間エネルギーの捕食者ですが、余分な栄養エネルギーや過剰な感情エネルギーを吸ってくれるという点での共生が面白い設定です。
それぞれの同居人の身の回りの事件を、彼らは人間以上の明察でさらりと解いてしまいます。
このSFっぽい設定、何のためにミステリに必要だったのだろう、と思って読みすすめました。さいごの「温かな手」では、その謎が解けるかと思いきや、違う方向に泣かされてしまいました。
そこで、疑問はこんどは逆のものになりました。これはSFなのに・・・なぜ、ミステリ部分が必要だったのか?
そうしたらなんと著者自身が解説で、ミステリというお約束事の中の「探偵が異常に冷静で、ワトソン役もそれなり平然としている」というツッコミどころに対するひとつの回答として書いた、と述べていました。
これこそ一番すごいミステリの種明かしでした。本書のどの謎解きよりも、びっくりしました。
なるほど、そういう答えもあったのかと。
もしかして「メタ・ミステリ」?
著者は「茶々を入れるのが好きなだけ」だそうですが、してやられました。
たしかに、SFロマンにするには、もう少し兄妹のヴィジュアル描写やキャラクターを出すエピソードがあったほうがいいのかもしれませんが・・・
・
ミステリでもなく、SFでもない、不思議な作品、もっと読んでみたい、と思うと、すぐあとに東川篤哉の文庫解説で、著者の他の作品が縦横に紹介されています。これも、心憎い仕掛けだと思います。
2015年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
設定ありきの物語なのですが、面白いし考えさせられました。
私も彼らに選ばれるようなきれいな心でいたいです。
私も彼らに選ばれるようなきれいな心でいたいです。
2007年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正統派本格ミステリ短編集、ただし、探偵役が未知の生命体である事を除けば…。
もともと一編一編がしっかりしたつくりの良作ではあるのですが、それだけでは地味だったはず。
しかし、未知の生命体の不思議なキャラが、謎解きをより魅力的なものにしていると思います。
そして真の見所はラストの一編、題名にもなっている『温かな手』です。
なぜ(二体の)未知の生命体を主役に配したのか、作者の意図が、切ない真相とともに明かされます。
書き方によっては、もっと「泣ける」であろうほどの物語を、あくまでも淡々と綴っているところが、個人的には好きな作品です。
もともと一編一編がしっかりしたつくりの良作ではあるのですが、それだけでは地味だったはず。
しかし、未知の生命体の不思議なキャラが、謎解きをより魅力的なものにしていると思います。
そして真の見所はラストの一編、題名にもなっている『温かな手』です。
なぜ(二体の)未知の生命体を主役に配したのか、作者の意図が、切ない真相とともに明かされます。
書き方によっては、もっと「泣ける」であろうほどの物語を、あくまでも淡々と綴っているところが、個人的には好きな作品です。
2011年9月28日に日本でレビュー済み
探偵役が宇宙人(?)というのか、異種生命体のギンちゃんとムーちゃんの兄妹。人のエネルギーを吸って生きている、という奇抜な設定で、ミステリにこの設定がほんとに必要なのか、と思いながら読み始めたが、不思議と違和感はなかった。
人間の持つ弱さを持っていない、という部分が必要だったのかな、と思う。探偵が人間であれば、もっと人間らしさのようなもの、心理描写が必要になってくると思うが、異種生命体ということで淡々と話が進み、だからこそ、殺人という行為の愚かさが際立ってくるように思う。そう思うと、この設定でよかったのかな。
ミステリとしても素晴らしいと思う。論理はしっかりしているし、納得できる。奇抜な設定に目がいきがちだが、二人の推理は奇抜ではなく筋の通ったもので、安心して読める。
どんなにうまく共同生活を営んでいても、いずれは別れがやってくる。人間と異種生命体が結婚できるわけもないし、ずっと寄り添っていきテイクの難しい。どんな風に別れるのか、それともずっとシリーズ化するような含みを持たせて終わるのか・・・と最後まで読んで、納得。人間の感情は理解できないであろうと思っていたギンちゃんとムーちゃんは、人間よりも人間らしい生命体だった。
人間の持つ弱さを持っていない、という部分が必要だったのかな、と思う。探偵が人間であれば、もっと人間らしさのようなもの、心理描写が必要になってくると思うが、異種生命体ということで淡々と話が進み、だからこそ、殺人という行為の愚かさが際立ってくるように思う。そう思うと、この設定でよかったのかな。
ミステリとしても素晴らしいと思う。論理はしっかりしているし、納得できる。奇抜な設定に目がいきがちだが、二人の推理は奇抜ではなく筋の通ったもので、安心して読める。
どんなにうまく共同生活を営んでいても、いずれは別れがやってくる。人間と異種生命体が結婚できるわけもないし、ずっと寄り添っていきテイクの難しい。どんな風に別れるのか、それともずっとシリーズ化するような含みを持たせて終わるのか・・・と最後まで読んで、納得。人間の感情は理解できないであろうと思っていたギンちゃんとムーちゃんは、人間よりも人間らしい生命体だった。
2010年5月30日に日本でレビュー済み
謎の生命体が探偵役という変わった設定の連作短編ミステリ。石持作品は『月の扉』に続き2作目の読了。
謎の生命体ですが、なかなかに面白い設定です。同居しているワトソン役が極めて論理的にポジティブに受け入れているところがまた面白い。
また、設定自体が相当に変わっているものの、ミステリ自体もなかなかよい出来です。別にこういう特殊な設定にしなくても短編として十分いけるんじゃないか。そういう意味で『月・・・』と比べると、ミステリとしての完成度は高いですね。
最終話もふんわりと終わらせる感じになっていて良い感じです。
謎の生命体ですが、なかなかに面白い設定です。同居しているワトソン役が極めて論理的にポジティブに受け入れているところがまた面白い。
また、設定自体が相当に変わっているものの、ミステリ自体もなかなかよい出来です。別にこういう特殊な設定にしなくても短編として十分いけるんじゃないか。そういう意味で『月・・・』と比べると、ミステリとしての完成度は高いですね。
最終話もふんわりと終わらせる感じになっていて良い感じです。
2009年7月12日に日本でレビュー済み
人のエネルギーを吸い取って生きる異世界の生物(でも姿形は人間と変わらない)を探偵役に、その異性物兄妹(ぎんちゃんとムーちゃん)と暮らす男女との関わりをコミカルに描いた短編集。
石持さんの描く人はどうしても人の汚さが見えてしまうので、小説を読んでいても心から楽しめないところがあったのですが、異性物2人(匹?)の存在がその汚さを客観的に見ている視点があって、結構楽しく読み終えることができました。
一編一編の長さが良くて、ラストの一作の占め方も巧い。もう少し、この2人の活躍が見てみたいなぁとおもいましたが、このラストが良いのかもしれません。
石持さんの描く人はどうしても人の汚さが見えてしまうので、小説を読んでいても心から楽しめないところがあったのですが、異性物2人(匹?)の存在がその汚さを客観的に見ている視点があって、結構楽しく読み終えることができました。
一編一編の長さが良くて、ラストの一作の占め方も巧い。もう少し、この2人の活躍が見てみたいなぁとおもいましたが、このラストが良いのかもしれません。
2008年1月3日に日本でレビュー済み
帯に地球最強の名探偵兄妹とか書かれてて「はあ?」とか一瞬思ったけど、著者を信じて購入。
短編7つは連作ですので、最初から読むのがおススメ。いずれも完成度の高い論理展開と鮮やかな謎解きで痛快にさえ感じる。舞台もさまざまで飽きさせない。ともすれば、失笑しかねない設定の探偵役の正体だが、見事に描き切っておりさすがと思わせる。まさに「石持ワールド」か。一度でも著者の作品を読んだことがあれば分かっていただけると思う。
ちょっと棘があるけど、実は温かいみたいな。
以前は、人物の心理描写に独特のものがあり、入り込みにくい部分もあったが、今作ではすんなり入り込めた。素晴らしい。
この設定で、あと何冊かは書けそうな気もするし、実際読んでみたいが、ラストを読むとこれでよかったと思う。
探偵兄妹やそのパートナー2人の心理を思うとじんわりと泣けてくる。ああ、どうか彼らに幸あれと。きっと大丈夫だけど。
この本を読んでちょっと反省した。自分の魂はきれいだろうかと。
作中の畑さんや北西君のようにきれいな魂でいたいと思った。
短編7つは連作ですので、最初から読むのがおススメ。いずれも完成度の高い論理展開と鮮やかな謎解きで痛快にさえ感じる。舞台もさまざまで飽きさせない。ともすれば、失笑しかねない設定の探偵役の正体だが、見事に描き切っておりさすがと思わせる。まさに「石持ワールド」か。一度でも著者の作品を読んだことがあれば分かっていただけると思う。
ちょっと棘があるけど、実は温かいみたいな。
以前は、人物の心理描写に独特のものがあり、入り込みにくい部分もあったが、今作ではすんなり入り込めた。素晴らしい。
この設定で、あと何冊かは書けそうな気もするし、実際読んでみたいが、ラストを読むとこれでよかったと思う。
探偵兄妹やそのパートナー2人の心理を思うとじんわりと泣けてくる。ああ、どうか彼らに幸あれと。きっと大丈夫だけど。
この本を読んでちょっと反省した。自分の魂はきれいだろうかと。
作中の畑さんや北西君のようにきれいな魂でいたいと思った。